原油、上昇率1位に返り咲き
先週は、原油の上昇が目立ちました。次いで、主要な株価指数のナスダック、S&P500、上海総合、NYダウ、日経225など、さらには、先々週に続き金と銀も上昇しました。
原油や主要株価指数は、景気動向に連動する傾向がありますが、先週、この景気動向を上向かせる期待が強まる出来事がありました。6月17日(水)のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の米下院での議会証言です。
パウエル議長は議会に対し、財政支援策を性急に終了しないよう、要請をしました。この発言が景気回復期待を増幅させ、上記の景気動向に連動する傾向がある銘柄の上昇要因になったとみられます。
一方、比較的値動きが大きい、パラジウム、ビットコイン、天然ガスなどの下落が目立ちました。
全体的には、上昇銘柄数が14(前回は5)、下落銘柄数が9(前回は18)、最大と最小を除く変動率の平均は+0.1%(前回は+1.8%)でした。6月12日(金)から6月19日(金)の週については、“おおむね強かった”と言えると思います。
※原油の今後の展望については、今週の週刊コモディティマーケット「“コロナ第2波”警戒でも、原油は40ドル台で定着と読む理由」で述べています。
6月12日(金)から6月19日(金)までの週のジャンル別騰落率
今週の見通し
6月10日(水)のパウエル議長の発言は、2021年まで、コロナ禍が続く可能性があることを示唆し、個人も、企業も、国家も関係なく、落胆・失望を抱かされ、幅広い銘柄が下落する要因になりました。
しかし、その1週間後の6月17日(水)、パウエル議長は、今度は市場に期待を抱かせる発言をして、幅広い銘柄の上昇要因を作りました。先々週から先週にかけて、市場は、要人の発言に振り回されるように、下がったり、上がったりしたわけです。
要人の発言は、さまざまな市場の変動要因になり得ますが、主に、市場が材料視するのは、発言の中にある、“分かりやすい、将来へのメッセージ”です。過去の振り返りや詳細な数字ではありません。
6月17日(水)のパウエル議長の発言は、「財政支援策を性急に終了することは、懸念を引き起こす」「中小企業への支援を続けることを検討すべき」「今後の景気回復のために、今、支援が必要」などでした。
このような“分かりやすい、将来へのメッセージ”が、景気を良くする期待を膨らませ、幅広い銘柄が上昇したと考えられます。
一方、このような要人の“分かりやすい、将来へのメッセージ”は、何か具体的に大きなことが現実のものになったのではなく、そうなりそう、そうなるとよい、などの期待を強めるに留まる傾向があります。要人の発言と同時に、期待(思惑の正の側面)ではなく、実態も、確認する必要があります。
今週は、6月23日(火)、フランス・ドイツ・ユーロ圏・英国・米国の6月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値)、25日(木)、米国の1-3月期四半期実質国内総生産(GDP、確定値)、5月耐久財受注(前月比)、などの発表があります。
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