金が上昇率1位、銀も上昇。その他は下落が目立つ

 先週は、の上昇が目立ちました。同じ貴金属のが4位に入りました。

 一方、先々週までの複数の週で上昇率1位だった原油は、先週、一転して下落率1位となりました。NYダウ、S&P500、日経225も下落しました。新型コロナウイルスの感染拡大によってダメージを受けた世界経済が、近い将来、立ち直るだろう、という期待が下支えしていましたが、先週、6月10日(水)のFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の発言により、ムードが悪化したことが大きな要因と言えます。

 主要株価指数だけでなく、小麦トウモロコシプラチナパラジウムなどのコモディティ(商品)銘柄、ビットコインも下落しました。同議長の発言が幅広い市場に、リスクオフ(リスクを嫌気して投資を手控えること)のムードを広げたのだと、考えられます。

 全体的には、上昇銘柄数が5(前回は16)、下落銘柄数が18(前回は7)、最大と最小を除く変動率の平均は+1.8%(前回は▲1.5%)でした。5月29日(金)から6月5日(金)の週については、“おおむね弱かった”と言えると思います。

※金や銀など貴金属の展望については、今週の週刊コモディティマーケット『「銀」相場に異変?!コロナ×ESGで貴金属相場の常識が変わる!』をご参照ください。

6月5日(金)から6月12日(金)までの週のジャンル別騰落率

注:楽天証券のマーケットスピードⅡのデータより楽天証券作成
注:ビットコインは楽天ウォレットのビットコイン価格を参照。日本時間の前々週土曜日午前6時と前週土曜日午前6時を比較
注:プラチナ、パラジウムは楽天証券のマーケットスピードCX内「海外市場」のデータを参照
注:騰落率は週足の終値をもとに算出(前週終値-前々週終値)

今週の見通し

 先週、金と銀などの一部の銘柄を除いた幅広い銘柄が売られた主なきっかけは、やはり、6月10日(水)のパウエルFRB議長の発言だったと考えられます。

 先進国では、この数週間、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために行われていたロックダウンや自粛などが、続々と解除され、本格的な経済再開に向けた一歩を踏み出しつつありました。

 ようやく経済活動を再開できる、コロナ前の状態に戻れるかもしれない、などのような、前向きなムードが拡大しました。そして、人々のこのような前向きなムードに応えるかのように、3月のショック以降、株価は順調に上昇してきました。

 しかし、パウエル議長の発言は、株価の上昇はもちろん、先進国の人々の間に出始めていた前向きなムードを冷ましました。

 2021年まで、コロナ禍が続く可能性があるのか…という落胆・失望は、個人も、企業も、国家も関係なく、抱かされた思いだったと思います。

 期待が一転し、落胆・失望し、多くの市場が下落したわけですが、今後、反発するきっかけをどこに探せばよいのでしょうか? まずは、経済指標だと思います。経済指標は、数字です。期待や懸念という思惑ではなく、数字が示す実態です。

 実態が経済回復を示せば、期待だけの時よりも、安定した株価推移になると、考えられます。また、実態が伴えば、それにつられてさらに期待が高まり、実態と期待の相乗効果も期待できます。

 6月15日(月)は、中国の5月の小売売上高、5月の鉱工業生産、ユーロ圏の4月貿易収支、 英国の5月の失業率、6月16日(火)は、ドイツの6月のZEW景況感調査、米国の5月の小売売上高、5月の鉱工業生産、ロシアの5月実質鉱工業生産、6月17日(水)は、日本の5月貿易統計、ロシアの1-3月期実質国内総生産、6月19日(金)は、英国の5月小売売上高などが公表されます。

 また、6月16日(火)、17日(水)、19日(金)に、パウエルFRB議長の発言が予定されています。先週の発言は悲観的な内容を含んでいたため、引き続き要注意です。

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