6月19日(金)、2020シーズン開幕戦!

 2020シーズンの開幕カードはオリックス! 6月19日(金)18:00~京セラドーム大阪にて無観客にて対戦します! 熱い戦いにご期待ください!

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2月の沖縄キャンプをおさらい!

 2月19日、沖縄・浦添市民球場。グラウンドは、13時からのヤクルトとの練習試合を前に、活気に満ちあふれていました。フリーバッティングを終えた選手から順番に、仕上げとばかりに野村克則作戦コーチによるバント練習が行われます。

晴天の浦添市民球場

 野村コーチからは、「ノーアウト1、2塁」「セーフティスクイズ」と1球ずつ場面を想定したボールが投げ込まれます。コーチの「ラスト、スクイズ! 行くぞ、一発勝負だ!」の声の後、この日出場する内野手・内田靖人がバントを失敗。野村コーチは「それだとゲッツーだ(笑)」と苦笑い。また腰が引き気味なオコエ瑠偉には、野村コーチが「(バントは)気・合・い!!」と快活に笑いかけています。 

試合前:三木監督&ヤクルトに移籍した嶋選手との談笑

 試合時間が近づくと、バッティングゲージの後ろで見ていた三木肇監督の元に、1人の男が現れました。昨年までイーグルスに在籍し、今年から新天地であるヤクルトに移籍した嶋基宏です。嶋も三木監督も相好を崩して、しばし談笑。この後、スワローズナインたちによる内野守備練習も行われ、両球団とも非常に声が出ており、キャンプの雰囲気の良さが窺えました。

 いよいよ試合開始の13時。日差しが強く、ジリジリと焼けるため、気温は19度でも体感はそれ以上。前日の沖縄本島はこの冬一番の寒さで、冬装備をしたプロ野球ファンたちが、1枚また1枚と上着を脱いでいきます。中には半袖Tシャツだけの人もチラホラ。先生に引率された地元中学生たちも見つめる中、一軍スタメンを狙う若手選手主体のヤクルトとの練習試合がスタートしました。

ドラフト1位の小深田が走攻守全ての面で猛アピール

 スワローズの先発は5年目の高橋奎二。イーグルス打撃陣で特に気を吐いたのは、今季ドラフト1位で入団し、この日1番で起用された小深田大翔でした。

 初回、ストレートで押す高橋に対し、小深田は7球目をライトにヒット。ライトの雄平がクッションボールに手間取る中、2塁を蹴ってスリーベースヒットに。打撃だけでなく、好走塁も見せます。さらに3番ウィーラー、4番DHのブラッシュがいずれも四球を選ぶと、二死満塁で迎えた6番田中和基は、「こういう時こそ冷静に! カモン!」とコーチから声が飛ぶ中、6球目を選んで押し出し。イーグルスが早くも1点先制した瞬間でした。 

 この初回の打席を小深田はこう振り返ります。「初回一番バッターが出塁すると試合に勢いが出るので、まずは簡単にアウトにならないという意識で打席に入りました。雄平さんのポジショニングがセンター寄りだったので、抜けたら3塁まで行けると思い、迷わず行きました」。また毎試合ヒットが出ていますが、「今後エース級のピッチャーが登板した時もしっかり対応したい。打順は1番とこだわらず、チャンスがあればしっかりアピールしていきたいです」と、ぬかりがありません。サードも守れる中、この日はセカンドで出場し、ノーエラーと堅実な守備も見せ、6回表には盗塁も成功させました。

 また小深田に次いで猛アピールしたのが、この日ショートを守った2番の山﨑剛でした。4回表には見事3塁方向にバントを決めて1塁ランナーの小深田を進塁させ、6回表には四球を選び、2番打者としての役割を果たします。8回表にはツーベースヒットも放ちました。「バントを一発で決められたところは良かったです。でも、課題もありました。初回ノーアウト3塁の1点欲しいところで、1本ヒットが出なかったところです」と、山﨑は反省点も忘れません

 レギュラー陣には、ショートもサードも守れる茂木栄五郎のほか、内野ならどこでも守れる鈴木大地がロッテから新加入。山﨑の行く手は険しいですが、今年は新たなチャレンジをしています。「今年から内野だけでなく、外野の守備もしているので、しっかりと守れるようにしたいです。目の前の課題は、1球1球の守備をきちんとこなすこと。そして、とにかく出塁することです」と語ります。

オコエ選手のタイムリーヒット

 この日の打撃陣は大量12得点を奪取。2回表はキャッチャー下妻がレフトにホームラン。3回表はスワローズのエラーの間、オコエのタイムリーで一気に4点を奪い逆転に成功します。さらに4回表、2塁ランナーが小深田の場面で途中出場の岡島豪郎がライト前へタイムリー。6回表は小郷裕哉のタイムリー、さらに8回表は猛攻。和田恋内田靖人ドラフト2位の高卒ルーキー黒川史陽がいずれもタイムリーを放ち、一挙4点を奪いました。

初回こそ乱れたものの大きな収穫を得た4年目・藤平尚真

 イーグルスの先発は藤平尚真。昨年は一軍3試合登板で未勝利に終わりましたが、二軍のイースタン・リーグ優勝に貢献し、2試合連続完封勝利を含む9勝に輝いています。

ー軍なるか、藤平選手

 一軍先発の一角を担いたい藤平は、1番坂口智隆、3番山田哲人、4番雄平など、スワローズ不動のレギュラーに対し、2番エスコバー、3番山田とフルカウントの末に四球を連発してしまいます。

 ベンチから「ハイ、尚真! ゲッツーだよゲッツー」とコーチから声がかかる一死1、2塁の場面、4番雄平がレフト前にタイムリー。さらに5番西田明央、6番濱田太貴もタイムリー。7番太田賢吾が1塁線のボテボテの当たりの中、さらに1点追加され、この回は4失点でした。 

 ただし2回以降はしっかりと修正します。昨年まで楽天に在籍した嶋基宏、坂口をいずれもライトフライに。エスコバーの打球こそヒットになってしまったものの、次の山田をショートゴロに切って取り、球数もグッと減らすことに。また3回裏は雄平を四球で歩かせながらも、西田をショートフライ、濱田は134キロのスライダーでショートへのダブルプレーに仕留めました。

2回以降しっかり修正した、藤平選手

 藤平はこの日の投球をこう振り返ります。「立ち上がりをしっかりして、試合を作らなくてはいけない中で、ストレートが高めに行ってしまいました。今日はマウンドでしっかりと立つことができず、体が前に突っ込んで投げていた。今はボールがどんどん良くなっている時期なので、何かを大きく変えることなく、まずはブルペンでバッターをしっかり立たせて準備をしていきたいです」

 また秋のキャンプから伊藤智仁投手コーチと取り組むシュートが、この日は収穫でした。「ストライクゾーンに投げるシュートと、右打者の内に食い込ませるシュートを、今日はきちんと投げ分けられました。右バッターに対してはシュートがあるのとないのとでは、外のボールの目付けがだいぶ変わってきます。シュートを投げることで、外に向かうスライダーもカーブも、もっと有効になると思います」。

守護神生まれるか、森原選手

 藤平が3イニングを務めた後、ドラフト6位入団の瀧中瞭太が2イニングを投げました。その後、森原康平、津留﨑大成、高梨雄平、酒居知史が1イニングずつ投球。津留﨑、高梨は三者凡退。中でも期待がかかるのは、昨年フル回転で活躍した森原です。この日もヒットを2本打たれたものの、非常に球が走っていました。

「この試合で良かった点はあまりなかったです」と森原は答えます。理由は「三振を取りたいと思って投げた決め球を打たれてしまったから」。松井裕樹投手が先発転向する中、いよいよ守護神に抜てきされるのかとファンの間で期待が高まる森原選手。「今シーズンは、クローザーをもちろんやりたいです。クローザーとして試合をしっかり締めて、チームの勝利に貢献したいです」と力強く語ってくれました。

 また、ロッテから新加入した酒居は「先頭打者に出塁を許しましたが、連打を浴びなかった点と、その後でしっかりと三振を取れたのが良かったです」と試合を振り返ります。昨年は54登板、20ホールド。とにかくマウンドに立ちました。「どのポジションでも任されたところで投げて、チームに貢献したいです」。新天地にかける思いが伝わってきます。

 力のある投手がチーム内で鍔(つば)ぜり合いをする現在のイーグルス。昨年二軍監督だった三木監督が、今年は一軍監督に就任しました。若手の成長を誰よりも見つめてきた三木監督は、今季どの選手をレギュラーにするのでしょうか。

 この試合で躍動した若手選手も含め、今季のポジション争いはアツくなること間違いなし。イーグルスの今シーズンの躍進に期待が高まります。

勝利で試合を追え、微笑んだ酒居選手と太田選手

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執筆者:横山 由希路

フリーランスライター・編集者
ぴあ株式会社での情報誌編集・執筆業を経て、フリーランスとして独立。スポーツ、演劇などのエンターテインメント、ビジネス分野のほか、「週刊『SPA!』」「YEN SPA!」などでやわらかマネー記事も執筆する。「東洋経済オンライン」などで介護記事も。広瀬宏之「『ウチの子、発達障害かも?』と思ったら最初に読む本」(永岡書店)で一冊構成。