※このインタビューは2018年11月30日に実施し、2018年12月19日に初回掲載したものです。
rennyさんの保有ファンドなどに関する最新の情報は、コロナ・ショック後に実施したインタビューをご参照ください。

 アクティブファンドをメインに運用する、人気投信ブロガー、rennyさんインタビューの中編をお届けします。今回は、どんなファンドを保有しているのか、何を基準に選んでいるのかなどを聞きました。

一押しは「ひふみ」「結い」「スパークス」

──前回、直販系を中心に買ってみたいと思うアクティブファンドがずいぶん増えてきたとおっしゃいました。いくつか具体例を挙げていただけますか。

 例えば僕が毎月買い付けているファンドのひとつに、レオス・キャピタルワークスという会社が販売している「ひふみ投信」があります。この会社は、世の中を良くするような事業を展開している中小中堅企業に長期にわたって投資する、「資本市場を通じて社会に貢献します」という理念を掲げています。事実、「ひふみ投信」に組み込まれている銘柄を見ると、応援したくなるような企業が数多く含まれています。また、鎌倉投信という会社が設定、販売している「結い2101」というファンドもお気に入りのひとつです。ここも「これからの社会に必要とされる“いい会社”」に投資するとはっきり打ち出しています。

──どちらも最近、話題ですよね。テレビなどでもよく取り上げられていますし。

「ひふみ投信」も「結い2101」もファンドが設定されたのはずいぶん前ですが、僕と同じような考えをもつ人も少なくないようで、どんどん人気が高まっています。それに連れてファンドの規模もかなり大きくなっているようです。

──他にありますか?

 スパークス・アセット・マネジメントという会社が設定している「新・国際優良日本株ファンド」(愛称・厳選投資)も非常に好きなファンドです。じつは数年前、このファンドを知ったとき、すごく驚いたんですね。というのも当時のアクティブファンドは数十銘柄、数百銘柄に分散投資している商品が多かったんです。だから、アクティブといっても、日経株価平均やTOPIX連動のインデックスファンドと似たような値動きをするものも少なくありませんでした。分散投資すればするほど平均値に近くなるわけですから。ところが、この「新・国際優良日本株ファンド」はわずか十数銘柄しか組み込んでいないんです。「厳選投資」という愛称の通り、ファンドマネージャーが選びに選び抜いた銘柄だけで構成されているわけです。

──それってそうとう自信がないとできませんよね。

 その通りです。だから、スゴイなと。

──運用成績はどうだったのですか。

 それもかなりよかったんです。それで、これこそが本来のアクティブファンドではないかと考え、すぐに毎月買い付けるようになりました。

情報開示に力を入れているかどうかをチェックする

──rennyさんが保有するファンド一覧を見ると、独立系投資信託会社の商品が多いですね。

 そこにこだわっているわけではないんです。実際、大手系列のファンドも保有していますし。ただ、小さい会社には投資方針や理念を明確に打ち出しているところが多いんです。僕は自分が共感できるということを大事にしているので、そういう会社を選ぶことが多くなるのだと思います。

rennyさんの保有ファンド一覧

種類 投資対象 ファンド名 運用会社
(略称)
インデックス
ファンド
海外株 SMTグローバル株式インデックス・オープン 三井住友
トラスト
バランス型 セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド セゾン
アクティブ
ファンド
海外株 セゾン資産形成の達人ファンド セゾン
日本株 ひふみ投信 レオス
結い2101 鎌倉
スパークス・新・国際優良日本株ファンド スパークス
スパークス・日本株式スチュワードシップ・ファンド スパークス
SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ
(年2回決算型)
SBI
三井住友・中小型株ファンド 三井住友
ニッセイアセットげんせん投信 ニッセイ

※インタビュー実施時(2018年11月30日)時点のデータです。

──他に何かファンド選びの基準はありますか。

 なぜそのようなポートフォリオにしたのか、それぞれの銘柄を組み込んだ根拠はどこにあるのか、今後の値動きをどう分析しているのか、そうしたことをきちんと開示しているかどうかをかなり重視します。上場企業はどこもIR資料を作成し、誰でも見られるように企業HPなどで公開しています。投資家はそれらを参考にして、投資するかどうかの判断を下すわけです。当然、投資信託会社も投資判断の元になるデータや分析結果を提供すべきだと思うのですが、きちんと公開しているところは決して多くないんです。

──運用報告書や月次レポートは発行しているわけですよね。

 はい、でも、通りいっぺんのことしか書かれていなかったりします。

──そういう投資信託会社は好感が持てない?

 そうですね。じつは以前、ポートフォリオが気に入って、あるファンドを買ったら、月次レポートがあまりにひどく、「改善してほしい」とメールしたことがあるんです。そうしたら「そのつもりはない」とはねつけられました。こんな会社とは付き合いきれないと思い、すぐに売却しました(笑)。

──ということは、今、保有しているファンドについては月次レポートなども満足している?

 まあ、そうですね。これは僕の私感ですが、独立系の会社には情報開示に力を入れているところが多いように思います。先ほど話したスパークスの月次レポートとか、とにかく内容が濃くて、読み応えがあります。また、レオス・キャピタルワークスや鎌倉投信は、顧客向けにセミナーや勉強会を開いたりもしています。顧客と一緒に歩んでいくという姿勢が伝わってきて、好感が持てます。

ポートフォリオがころころ変わるファンドはオススメできない

──ファンド選びについて他に何かありますか。

 ポートフォリオの中身がころころ変わる、つまり頻繁に銘柄が入れ替わるファンドは保有する気になれないですね。

──でも、ファンドマネージャーの立場に立つと、期待薄の銘柄に見切りをつけ、有望な銘柄に入れ替えるというのはひとつの方策では?

 たしかにそうなのですが、じゃあ、なぜその銘柄を組み込んだのか、ということです。本当に優秀なファンドマネージャーなら、初めからそんな銘柄は選ばないでしょう。もちろん、どんなに優秀な人でも見誤ることはあるでしょうから、たまに入れ替えくらいはするでしょう。でも、ころころ入れ替えるというのは、見誤ってばかりいるということですから、やっぱり信用する気にはなれないですね。

──たしかにそうですね。

 それにそういうファンドマネージャーはマーケットしか見ていないんだと思います。本来、投資会社は企業を育てるという役割を負わなければならないわけですが、そんなことはこれっぽっちも考えていないのでしょう。だから、上昇気配が見て取れたらファンドに組み込もうとするけれど、少しでも下り気味になったらポイと捨てる。あたかも乗り物を乗り継ぐように次々と乗り換えていく。そんなファンドマネージャーは個人的には御免被りたいですね。

──ちなみにスパークスの「厳選投資」は十数銘柄で構成されているとのことですが、入れ替わりはないのですか。

 十数銘柄中半数以上は設定時から変わっていないと思います。その事実からも投資会社としての姿勢が伝わってくるし、それに加えてファンドマネージャーの力量を感じます。

──ともあれ、ポートフォリオがころころ変わるファンドは要注意だと?

 僕はそう思います。なかには3カ月もするとガラッと中身が変わっているファンドもあります。アクティブファンドを購入する予定のある人はチェックしてみるといいと思います。

「好きなファンドマネジャーを探せ!」投資方針や理念に共感できることを大事にしている

※このインタビューは2018年11月30日に実施し、2018年12月19日に初回掲載したものです。

後編『投資ビギナーはどんなファンドを選べばいいの?』へ続く>>

コロナ・ショック緊急インタビュー!個人投資家はどう動いた? アクティブ投信・rennyさん編(2020年4月掲載)