今回は『デイトレで勝てない人のためのブログ』をはじめ、いくつものブログを運営、2020年からYouTubeチャンネル『デイトレ塾』でも情報発信を行っている、デイトレーダーのRょーへーさん(ブログのお名前はRさん)にご登場いただきました。

 デイトレーダーというと、毎日何十万、何百万円という金額を動かしているというイメージを持つ人も多いと思いますが、Rょーへーさんは1日2~5万円を目標にコツコツ稼ぐというスタイルを取っています。

 そんなRょーへーさんにデイトレーダーとはどのような仕事なのか、どのような方法で利益を得ているのかなどを伺いました。

上昇相場よりも下落相場のほうが勝ちやすい

──新型コロナウイルスによる自粛期間中ということで、リモート取材になりますが、よろしくお願いします。さっそくですが、今日も午前中は取引されたのですか。

 はい、いつも通り、市場が開く9時前にパソコンの前に座り、トレードを始めました。

 これまでの経験だと午後から予定が入っているときって、あまり成績がよくないんですね。時間が限られていると、気持ちに焦りが出てしまうのか。

 ただ、今日は6,500円ほどプラスで終えることができました。

──午後も取引すればもっと勝てたかもしれないのに申し訳ないです。

 いえいえ、反対にプラスを吐き出したかもしれませんし。

──今はデイトレードが本業なんですよね。

 はい、ただし、専業トレーダーというわけでもないんです。

 前は学習塾を経営しながらでしたし、その学習塾を閉じた後はブログで収入を得られるようになりました。今はYouTubeの収入も増えつつあります。

──他にも仕事をしながら、毎日市場に参加しているのですか。

 はい。会社員の方も、朝起きて今日は仕事がしたくないと思っても出勤するわけじゃないですか。それと同じ感覚です。実際、市場が開いている平日に休むのは年に1日か2日程度です。

──コロナ・ショックの影響で、株式市場は荒れに荒れています。投資家の中には大きく資産を減らしている人もいるようですが、こういう時期も毎日取引されているんですか。

 たしかに中長期投資とか、スイングトレード(※)をメインにしている人は影響を避けられないでしょう。

 でも、僕らデイトレーダーにとっては相場がどうかは、あまり関係ないんです。日々、買っては売り、買っては売りを繰り返していて、長く株を保有することがないので。

※スイングトレード…短期トレードの1つ。数日から数週間で売買を完結させる。

──今は全体的に株価が下落しているので、一定期間保有しているとマイナス収支に終わる可能性が高い。でも、下落している銘柄であっても、1日というスパンで見ると、1日中下がり続けるわけではなく、上がったり下がったりする。だから、1日の中で安いときに買って高いときに売れば一定の利益を得られる…ということでしょうか。

 はい、そういうことです。

 それと1つつけ加えると、僕は下落局面で買う「逆張りデイトレード」をメインにしています。だから、下落している銘柄が多いときのほうがチャンスをつかみやすいんです。

──上昇相場よりも、今のような下落相場、暴落相場のほうが勝ちやすいのですか。

 僕の場合はそうです。実際、3月は月間収支が久しぶりに100万円を超えました。まあ、4月は20万円弱だったので、3月はちょっと出来過ぎではありましたが……。

──なるほど、今はチャンスといえるわけですね。

 はい。ただし、今回に限っては手放しで喜ぶ気にはなれません。

 不運にもコロナに感染して生命の危機にさらされている人が大勢いるし、仕事を失って路頭に迷っている人もいます。そうでなくても多くの人は自粛を強いられ、重苦しい日々を過ごしています。それを思うと、たとえ勝ってもうれしくないというか。

 ともあれ、1日でも早く平穏な日々に戻ることを願うばかりです。

1年間で550万円の貯金が底をついた

──Rょーへーさんが得意とする「逆張りデイトレード術」については追って詳しくお伺いします。まず、投資を始めた経緯をお聞かせいただけますか。

 僕より早く投資を始めていた弟に誘われたのがキッカケです。

 当時、僕はパチンコやスロットで生計を立てていたのですが、いつまでも稼ぎ続けられるとは限りません。それで、550万円ほど貯金があったので、それを元手にデイトレードを始めました。 

 2006年のことですから、14年ほど前になります。

──始めるにあたり、勉強されたのですか。

 弟もデイトレードを行っていたので、具体的にどうやるのか教えてもらいましたが、本を読んだりはしなかったですね。

──不安はなかったのですか。

 僕から見ても弟はけっこう優秀なんですよ。身内を持ち上げるのは気が引けますが(笑)。そんな彼でも勝ったり負けたりしてましたから、そううまくはいかないだろうなと思っていました。

 ただ、僕はパチンコやスロットではかなり勝っていたんですね。自分なりにいろいろ研究して勝率を高めてきました。だから、勝つための思考法みたいなものはそれなりに身についている、それを生かせばそこそこやれるんじゃないかという思いはありました。

 もっとも、その思いはすぐに打ち砕かれるのですが。

──パチンコやスロットのようにはいかなかった、ということでしょうか。

 最初の取引は大成功だったんです。買ってすぐ値が上がり、たった1分で2万円利益を出しました。

 ところが、そこからパタッと勝てなくなりました。証券口座のお金がなくなってきては入金、減っては入金と繰り返し、気付けば貯金もなくなっていき、1年後にはほぼ全額失いました。

──そのときの敗因は何だと思いますか。

 100万円、200万円と負けると、後に引けなくなるわけです。何とかして取り戻したいという思いにとらわれます。

 そうすると、ちょっとした勝ちでは満足できなくなり、大きく勝とうとします。結果、それが裏目に出て、さらにマイナスを背負い込んでしまう…。こういうパターンが多かったですね。

──初心者が陥りがちなパターンでしょうか?

 そうですね。今、売ればプラスなのに「もう少し粘ればもっと上がる」と考えて持ち続けた結果、大幅に下落し、やむにやまれず損切りするとか。

 あと、あまりに下がって売るに売れなくなり、ナンピン(※)を繰り返す。それでも下がり続けるので、どうしようもなくなって、翌日に持ち越し、さらに損失を大きくする……みたいなパターンもよくありました。

※ナンピン…保有銘柄の株価が下がったとき、買い増しして買い値を下げること

──なるほど。

 途中からは数日持ち越すことが普通になっていて、もはやデイトレードではなくスイングトレードばかりになっていました。

自分を信じて、奇跡の復活を遂げた

──でも、そこから復活を遂げました。

 初心に返るというか、もう一度、デイトレードに戻ろうと考えたんです。自分にはスイングトレードは向いていない、1日で売買を完結させる手法に徹しようと。

 といっても、すでに資金はつきかけていましたから、あと何度か挑戦し、それでダメだったら、投資で生計を立てるのはきっぱり諦めて、就職しようと思っていました。

──その切り替えによって結果的にうまくいった、ということでしょうか。

 はい、それで持ち直し、生き長らえることができたんです。

──最初はデイトレードで勝てず、スイングトレードに移行していったということでしたが、デイトレードに戻って勝てたのはなぜですか。

 1年間なぜ負け続けたのかじっくり考えてみたら、思い当たることがいろいろあったんです。そこで、少しやり方を変えました。

──例えばどんなことですか。

 まず自分が買いだと思ったらすぐに買う、売りだと思ったらすぐに売るということを徹底しました。

──基本に立ち返った、というところでしょうか。

 デイトレードの経験がある人ならわかると思うのですが、これが案外、簡単ではないんです。例えば、朝から下がり続けていた銘柄が上昇の気配を見せたとします。それで買おうと思っても、その瞬間にはなかなか決断できないものなんです。

 なぜなら、その段階では上がるという確信が持てないからです。だから、もうちょっと様子を見て、本当に上がったら買おうと考えるわけです。

──なるほど。

 でも、その一瞬の迷いが命取りになるケースが多いんです。様子を見ているうちにどんどん上がっていき、買いのタイミングを逸してしまったり、あるいは買ったときにはもう下落局面に入っていたり。

──安全策を取ったことが裏目に出てしまう…。

 はい、僕自身、何度もそういうミスをしでかしました。だから、自分が買いだと思ったら迷わず買おうと心に決めたんです。

──でもやはり、その判断が間違っていることもありますよね。

 もちろんです。でも、僕は結果はともかく、1年間全力でデイトレードに取り組んできました。だから、ある程度はどういう動きをするのかわかってきたし、少しは先を読めるようにもなった。

 だから、余計なことを考えず自分の思う通りにやってみよう、自分を信じてみようと思ったんです。崖っぷちに立たされたからこそ、そういう心境になれたのかもしれません。

──他に変えたことはありますか。

 大勝ちを狙うのをやめました。

 さっき話したように、欲を出して勝ち損なったことが数え切れないくらいありました。だから、いっぺんに550万円取り戻そうとするのでなく、少しずつ、コツコツ取り返していこうと考えたんです。

──Rょーへーさんは今、毎日数万円の利益を目標にしていますよね。そのスタイルはその頃、始まったのですね。

 そうです。

──では、次回はRょーへーさん流の「逆張りデイトレード術」についてお伺いします。

Rょーへーさんの投資ヒストリー

 2006年に株デビュー。「会社に雇われずに自由な生活を送るお金がほしい」というのがその理由でした。2008年からは兼業トレーダーになり、現在に至ります。

 メインの投資スタイルであるコツコツ型の逆張りデイトレードを確立したのは2007年、なかなか勝ち方がつかめず資金ショート寸前という時でした。また、同じ時期にオリジナルの「ズレ手法」(自分の感覚が実際の相場とどれくらいずれているのかを認識し、そのズレの分だけ指値の位置をずらす方法)も使い始めました。

 2017年に開設したブログ、2019年に出版した著書、2020年に始めたYouTubeチャンネルは、いずれも元学習塾の経営者であるRょーへーさんならではの、読者・視聴者に寄り添う視点と明快でわかりやすい解説が魅力です。

プライベート 投資のトピック トレード成績
2006 大学卒業
パチンコ・スロットで生計を立てる
弟のすすめで株デビュー。
初取引は2万円の利益、しかしビギナーズラックはすぐ終わった。
スイングで一発逆転を狙うも大惨敗。
▲270万円
2007  

8月までで累積▲550万円に。そこから資金36万円・現物のみから反撃し、口座資金を出金しつつ104万円まで回復させた。破産寸前で、大もうけは諦めコツコツ型に転向し、徐々に勝ち方を覚えた。「ズレ手法」を使い始める。

▲180万円
2008 家庭教師を始め、兼業トレーダーに サブプライムローン、リーマン・ショックを経験。 +220万円
2009   リーマン・ショックを経て、暴落相場はデイトレーダーに有利ということに気付き、下落相場を得意にできるよう努力した。 +178万円
2010    5月、1回の大負けからずるずる連敗を経験。 +114万円
2011 学習塾を起業
ご結婚
学習塾が忙しくトレードから離れ、プチ退場を経験。 +50万円程度
2012   塾が忙しく、トレードはチャンスと思った時のみ 収支無し
2013   アベノミクス相場だったのでデイトレードに復帰。
大量監視によるトレードで順調に利益を出す。
チャンスを多く見つけるため、マーケットスピードで最強の監視ツールを作成。
+558万円
2014 第一子誕生 スイングトレードを開始。400万円購入したが、2カ月で含み損が大きくなった。
年末に買ったフルッタフルッタ(2586)は短期間で逆テンバガーに。
+61万円
2015   学習塾が減収見込みで本格的にデイトレに復帰。
子育てや生活とのバランスを取ってトレードは前場のみだが、モチベーションは上昇。 
+260万円
2016 家を買うという目標ができる フルタイムトレーダーに復帰、一番集中して取り組んでいた時期。
自分でできる最大限のトレードをするため、テーマ株を多く取り扱うようになる。
+705万円
2017 ブログ開設、収益化を目指す 平均月50万円の利益を目標にする。 +520万円
2018 第2子誕生
学習塾を閉鎖
家を購入
2月、1日あたりの最高勝ち額51万円を達成。育休を取りながらも満足のいく結果に。 +432万円
2019 書籍を出版 子育てや生活とのバランスを取るスタイルに。
勝負はせず安定を取ることに決め、堅実に利益を出す。
+272万円
2020 YouTubeで「デイトレ塾」の配信を開始   +160万円(3月時点)

>>中編:「逆張りデイトレード術」を大公開!
>>後編:まずは「兼業デイトレーダー」を目指そう!