日経平均はもみ合い。2万円台乗せラリーもあり得る

 先週末4月17日(金)の日経平均株価は1万9,897円で取引を終えました。前週末終値(1万9,498円)比では399円高、週足ベースでも2週連続の上昇です。

 新型コロナウイルスの感染拡大に対して、これまでに各国の政府や中央銀行は大規模かつ矢継ぎ早に政策を打ち出してきました。こうした経済への悪影響や信用不安に備える動きが株式市場を落ち着かせてきたわけですが、このタイミングに欧米の感染拡大にピークアウト感が出てきたことや、経済活動の再開に向けた動きが見られたこと、ウイルス治療薬開発への期待が高まったことなどが重なり、株高の追い風となりました。

 市場のムードが改善してきている印象ですが、今週の株式市場も株高への意識がポイントになりそうです。今週は、日米企業の決算が相次ぐ一方で重要な経済指標の発表は少なく、そしてFOMC(米連邦公開市場委員会)が翌週(4月27日週)に控えていることもあり、相場の地合いはそのムードに左右されやすいと言えます。さらに、大型連休前による需給整理などの動きが加われば、日経平均2万円台乗せのラリーもありそうです。

 確かに、足元においてはやや警戒感を解いても良いのかもしれませんが、これまでのレポートでも指摘している通り、日経平均は日柄調整がしばらく続きそうであることや、下落再加速のシナリオもくすぶっているという見方に変わりはありません。

 そこで、今回は大型連休前の楽観と警戒のバランスについて考えてみます。まずは、いつもの通り足元の状況から確認です。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2020年4月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均ですが、週末17日(金)の高値が1万9,922円と2万円台まであとわずかにせまる場面が見られたものの、週を通じては5日移動平均線を挟んだもみ合いが中心となりました。14日(火)と17日(金)に出現した大きめの陽線によって相場の堅調さが保たれた格好です。

 また、直近高値を更新する17日(金)のローソク足が出現したことによって、前回紹介した「三角もちあい」の形成から「上昇ウェッジ」型のもちあいの形成へと変化したようにも見えます。もちあいと見なされるには、一般的に株価の上げ下げが5回以上繰り返すと言われていますが、先週末時点でのカウントは3番目ですので、引き続きもみ合いながら株価を切り上げていく可能性があります。25日移動平均線の向きが上方向になったことも明るい材料です。

 目先の上値のメドとしては、(1)節目の2万円の他、(2)2月6日高値から3月19日安値の下げ幅の半値戻し(2万176円)、(3)3月6日から9日にかけて空けた「窓」埋め(2万749円)などが考えられます。

中長期トレンドはまだ下向き

 次に、中長期のトレンドについても見ていきます。下の図2は週足ベースの平均足とMACDの組み合わせです。

■(図2)日経平均の平均足(週足)とMACD(2020年4月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上段の平均足については4月に入って陽転していますが、下段のMACDについては、まだMACDがシグナルを上抜けるクロスが出現していません。そのため、中長期的なトレンドはまだ上向きになっておらず、日柄調整がしばらく続きそうであることが分かります。

 となると、「短期的な上方向への意識」と、「中長期的な日柄調整への意識」の絡み合いが値動きを決めそうです。

次のトレンドはいつやって来る?

■(図3)日経平均(日足)とギャン・アングル(2020年4月17日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図3は前回も紹介した「ギャン・アングル」です。2月6日高値から3月19日安値の下落トレンドを基準に、その角度の半分である「2×1」ライン、3分の1の「3×1」ライン、4分の1の「4×1」ライン、8分の1の「8×1」ラインを描いています。

 日柄調整が続く場合、下向きのトレンドラインを意識しながら戻りと下押しを試す値動きが想定されますが、先週は3×1ラインを上抜けていきました。次は4×1ラインまで戻せるかが焦点になりますが、これに先ほどの図1で示した「上昇ウェッジ」を重ねてみると、大体10営業日前後に、ウェッジと4×1ラインが交わることになり、その時の株価水準は2万円をやや超えたあたりです。

 このことから、仮に日経平均が2万円台に乗せた場合、さらに上値を追っていくというよりは、定着するのに少し時間をかけてから次のトレンドがやってきそうな印象になっていると言えます。10営業日前後といえば、大型連休明けまもなくのタイミングでもあります。

 冒頭でも触れましたが、大規模な財政出動や金融緩和などによる入念な「憂い」への備えが相次ぐ中、新型コロナウイルス感染のピークアウトや海外の経済活動再開に向けた期待が株高の背景にあります。いわば期待を先取りしているわけですが、実際の感染収束や経済の再開は段階的に行われることになるため、足元の株価上昇にスピードと勢いが出るほど、現実の時間の流れとのあいだにギャップが生じることになります。

 株式市場は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不安を先取りして下落後、各国の対応によっていったん落ち着き、今度は期待を先取りして値を戻してきましたが、まだフワフワした状態での推移と言えます。こうした株式市場の値動きのスピードに対して、感染拡大・収束のスピードや、政策の実行と効果のスピード、経済持ち直しのスピードなど、今後はあらゆる面でスピード感が重要なカギになってくると思われます。