ビットコインが上昇率1位。穀物は下落、原油は大幅続落

 先週は、ビットコイン(暗号資産)の上昇が目立ちました。その他、ナスダック、S&P500、NYダウなどの米国の株価指数、そして日経225、上海総合などのアジアの株価指数も上昇しました。また、プラチナ、銅、天然ガス、パラジウムなど、工業用用途の割合が比較的高い貴金属や景気動向に連動する傾向がある一部のコモディティ(商品)が上昇しました。

 一方、下落したのは穀物、そして原油です。は新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の惨事を織り込み(有事のムード)、欧米で行われている大規模な金融緩和による主要国の通貨の価値が薄まる可能性があり(代替通貨)、価格が上昇してきましたが、ここにきて息切れ感が出てきています。

 穀物は新型コロナウイルスの感染拡大による、世界的な穀物消費量の減少懸念が主な要因となっているとみられます。そして原油ですが、先週日曜にOPECプラス(サウジアラビアを筆頭としたOPEC[石油輸出国機構]13カ国と、ロシアを筆頭とした非加盟国10カ国の合計23カ国)が大規模な減産実施で合意したにもかかわらず、下落しています。同ウイルスの感染拡大による、世界的な石油消費量の減少(懸念に加え実態も)の規模が大きいことが、一因とみられます。

 全体的には、上昇銘柄数は14、下落銘柄数は9、最大と最小を除く変動率の平均は+0.3%でした。大幅下落となった原油を除けば強含みの週だったと言えます。

※金と原油の価格の足元の価格動向と変動要因の詳細は、毎週月曜の著者連載記事「週間コモディティマーケット」の、今週のレポートで詳細を述べます。

4月10日(金)から4月17日(金)までの週のジャンル別騰落率

※米国市場は4月10日(金)が休場だったため9日(木)で計算。
注:楽天証券のマーケットスピードⅡのデータより楽天証券作成
注:ビットコインは楽天ウォレットのビットコイン価格を参照。日本時間の前々週土曜日午前6時と前週土曜日午前6時を比較
注:プラチナ、パラジウムは楽天証券のマーケットスピードCX内「海外市場」のデータを参照
注:騰落率は週足の終値をもとに算出。(前週終値-前々週終値)÷前々週終値

今週の見通し

 先週は先々週に続き、日米の主要株価指数が上昇しました。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という大きな有事に対峙(たいじ)しながら、状況が改善する“期待”が浮上しているとみられます。

 その株価の上昇が“期待先行”なのか、“実態を織り込んでいる”のかを確認する方法の一つに、経済指標の内容と株価動向を比べる、という方法が挙げられます。

 経済指標は、特定分野の動向を一定期間過去にさかのぼり“数値化”したものと言えます。一方、株価は半年から1年程度先の期待や懸念といった“思惑を織り込む”傾向があると言われています。つまり、どちらが実態に近いか? と問われれば、いまだ来ないものを織り込む株価ではなく、紡いできた過去を数値化した経済指標なのだと、筆者は思います。

 とくに、未曽有の有事と対峙している現在、今月これまでに公表された3月の実態を示す経済指標の一部が極端に悪化した事実を横目に、株価が上昇していることを考えれば、その株価の上昇は実態以上(つまり期待先行)である可能性は否定できないと思います。

 引き続き今週も、主要国で、新型コロナウイルスがパンデミック化した3月の経済動向に関わる経済指標の公表が相次ぎます。

 4月20日(月)に日本の3月の貿易統計、欧州の3月の貿易収支、21日(火)に、英国の3月の失業率、ドイツの4月のZEW景況感調査、23日(木)に欧州主要国および米国の4月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI速報値)、15日(水)に米国の3月の小売売上高、鉱工業生産、24日(金)に英国の3月の小売売上高が公表されます。

 今週は特に、実態と株価の乖離(かいり)の度合いを確認する意味で、経済指標の内容に注目したいと思います。

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