バリュー投資・グロース投資、どっちが魅力的?
株式投資の代表的スタイルは、2つあります。1つはグロース(成長株)投資、もう1つはバリュー(割安株)投資です。読者の皆様は、どちらのスタイルに近い方ですか?
私は、25年の日本株ファンドマネージャー経験があります。投資信託、年金などで、20代は1,000億円、40代には2,000億円以上の日本株ファンドを運用していました。
私は、主に割安株への投資で、ベンチマーク(競争相手)であるTOPIX(東証株価指数)を大きく上回るパフォーマンスを上げてきました。割安株をコアとして長期保有しながら、成長株で短期売買を繰り返しつつ、サヤを稼ぐことを目指していました。
株式投資の初心者は、まず割安株投資から開始した方が良いと思っています。配当利回りの高い大型株が、最初の候補となります。小型成長株も面白いのですが、値動きが荒いものが多く、注意を要します。
株価が割安な銘柄を選ぶことで、投資リスクをある程度抑えられる
割安株は、言葉をかえれば「不人気株」です。人気がないから株価があまり上がらず、結果として、配当利回りが高く、PER(株価収益率)が低くなるため、株価指標でみて割安になります。それでも、積極的な買いは入りにくいのです。
一方、成長株は「人気株」です。成長ストーリーにひかれて多くの投資家が熱狂的に買うので、株価指標で見ると割高な銘柄が多くなります。
初心者はまず割安株からと私が考えるのは、将来のパフォーマンスに、一般的に以下の関係があるからです。
何より避けたいこととして、割高な人気成長株を買ったのに、成長ストーリーが崩壊し、株価が大きく下落するケースがあります。初心者が、このパターンにおちいると、損切りができずに、ずるずると損失を拡大させることになりやすいので、注意が必要です。
私は、割高な成長株は短期勝負と割り切って売り買いしていました。みんなが熱狂する株を一緒に買いに行く時は、「株価が下がったらすばやく損切り」を念頭においていました。
それに対して、割安株に投資する時は、じっくりと長期に持ち、価値が見直されるのを待つ戦略でした。堅実経営の割安株は、投資家の期待が低いので、業績がたいしたことなくても急落することは、あまりありません。人気の成長株とは違って、バタバタと短期で売り買いする必要はあまりないと言えます。
最初はディフェンシブな大型高配当利回り株から投資
配当利回りの高い株に投資する時、注意すべきことがあります。配当利回りは、確定利回りではないということです。業績・財務が悪化すると、減配になり、利回りが下がるだけでなく、株価も下がることがあります。
コロナ・ショックで今、日本企業は全般に業績が急激に悪化しています。キャッシュ不足に苦しむ企業も出ており、配当金を引き下げる動きが今後、増えてくると予想されます。一見、配当利回りが非常に高く見える企業の中には、減配が避けられない企業がたくさんあります。
特に、自動車関連、観光・ホテル業、航空業界には、業績悪化で、配当金が支払えなくなる企業が増えてくると考えられますので、見かけ上の、高い配当利回りをそのまま信用しない方が良いと思います。
よく、予想配当利回りの高い順に並べた、銘柄スクリーニングを見ます。利回りの高い上位銘柄は、減配リスクの高いものばかりです。初心者は、見かけ上の高い予想利回りから選ぶのではなく、財務内容が良く、業績が相対的にディフェンシブ(景気悪化の影響を受けにくい)な、日本を代表する大型株から選んだ方が良いと思います。
例えば、以下のような銘柄です。
大型の高配当利回り株、投資の参考銘柄
小型成長株は値動きが荒い
株式投資の醍醐味は、なんと言っても、成長株だと思います。割安株をコアにしつつ、小型成長株投資にもトライして良いと思います。
ただし、小型成長株は当たれば大きく上昇しますが、失敗すると大きく下がることに注意が必要です。以下は、典型的な小型成長株の値動き(イメージ図)です。
小型成長株の株価変動(イメージ図)
上のグラフでは、成長株の株価変動イメージを、3つの時期に分けて描きました。
【1】黎明期:成長期待があるがまだ利益がほとんど出ない時期
【2】成長期:利益が大きく成長する時期
【3】成熟期:最高益更新が続くものの、増益率が大幅に鈍化する時期
コロナ・ショックで、日本株全般に大きく下げた今、成長株でもけっこう安い水準に下がったものもあります。たとえば、パーク24(4666)は、短期的にコロナ・ショックで業績悪化が懸念されることから、株価が大きく下落しています。それでも、長期的にはカーシェアリアング事業が成長する、成長株だと私は判断しています。
詳しくは、以下、著者おすすめのバックナンバーから、「パーク24」のレポートをお読みください。
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