政府が「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表。イベント中止相次ぐ
政府は25日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を発表しました。発熱など風邪の症状がある人に外出や出勤を控えることを要請するとともに、多数の人が集まるイベントは開催の要否を慎重に検討することを求める内容です。
政府発表を受けて、2~3月に開催が予定されているイベントは軒並み、中止または延期が決定しました。出勤を控え、在宅勤務やリモートワークを選択する人も急に増えています。
旅行者の大幅減少で観光地が閑散としていることは既に知られていますが、それだけでなく、都市部でも人通りや交通渋滞が減少しています。小売店舗も外食店も、映画館も通常より人が少ない気がします。これから、さらに人通りが減る可能性もあります。
突然の「需要消滅」で、2~3月の小売り・サービス業は、売上高が例年よりかなり落ち込む可能性があります。日本中が息をひそめ、新型肺炎の脅威が去るのを、じっと待つイメージです。
需要消滅、リーマン・ショックの時と少し似ている
「需要消滅」というと、思い出すのが2008年のリーマン・ショックです。この時、突然、世界中で需要が消えました。2008年9月15日、米証券大手リーマン・ブラザーズ破綻というニュースが伝わると、ショックから一時的に世界中で消費が凍り付きました。需要消滅によって、世界景気は急激に悪化し、リーマン・ショックと言われる不況に陥りました。
日本では、2008年4月から、道路を走る自動車が減少し、渋滞が緩和していました。消費が消える兆しが出始めていました。リーマン・ショックが起こった9月以降は、さらに需要が落ち込みました。「100年に1度」と言われる危機に瀕して、世界中の消費者が委縮しました。
翌年、2009年1~3月には、日本中の企業が「緊急コストカット」を始め、日本中に緊縮ムードが広がりました。「不要不急の出張は中止」という通達が広がり、一時的に新幹線のビジネス客が大きく減少しました。
今はまだ、リーマン・ショックほど深刻な状況には陥っていませんが、日本中の消費者がじっと息をひそめているという点では、当時と少し似ているところもあります。
リーマン・ショックはなぜ起こった?ショックを引き起こしたつの要因
リーマン・ショックは、2つの要因が重なって起こった「複合ショック」です。1つは、リーマン・ブラザーズの破綻に象徴される、欧米の金融危機です。もう1つの要因は、世界的なインフレ高進です。インフレが世界の消費を押しつぶし、一時的に「需要消滅」を生じました。
(1)金融危機:北米のサブプライムローン危機が世界に拡散
リーマン・ショックは、北米の住宅バブル崩壊が引き起こした「金融危機」として知られています。北米のサブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)が不良債権化し、米国の大手金融機関の財務が悪化しました。この危機は、米国に留まらず、世界に拡散しました。金融テクノロジーの進歩で、北米のサブプライムローンは証券化され、幅広く、世界中の金融機関に販売されていたからです。特に、欧州の金融機関が甚大な被害を受けました。
(2)需要消滅:インフレが世界的に高進し、消費を押しつぶした
リーマン・ショック直前は、資源バブルのピークで、世界的にインフレが高進していました。インフレが世界の消費を押しつぶし、一時的に世界から需要が消失した状況を生じました。新興国では軒並みインフレ率(消費者物価指数の上昇率)が10%を超えており、ハイパーインフレが世界経済のリスクと言われていました。中国ではインフレ率が一時8.5%まで上昇しました。
先進国でもインフレ高進が懸念されていました。低インフレ国の日本でも、一時的にインフレ率が2%に達し、消費を抑制しました。
リーマン・ショックが起こると、需要消滅が世界中に連鎖しました。製造業で一時的に生産が完全にストップしました。製造業の生産効率引き上げのために、世界的なサプライ・チェーン・マネジメントが拡散していたからです。最終需要の減少がまたたく間に世界中の製造業に伝播し、世界中の製造業が「瞬間凍結」しました。
リーマン・ショックは半年で終息
「金融危機」と「需要消滅」が同時に起こり、サプライチェーンを通じて、世界中の製造業が「瞬間凍結」したのが、リーマン・ショックでした。このような世界不況は、かつて経験したことがなかったので、「100年に1度の世界不況」と言われました。多くの市場関係者が、深刻な不況が長期化するというイメージを持ちました。
ところが、瞬間的な落ち込みは激しかったものの、不況は約半年で終息しました。リーマン・ショックが起こった翌年の2009年1-3月が世界不況の底でした。2009年4月から、世界景気は急速に立ち直りました。
リーマン・ショック級の危機はある?当時と似ているところ・異なるところ
新型コロナウイルス・ショックで世界景気が悪化してきている今と、リーマン・ショック時で、似ているところと、異なるところがあります。
世界的に消費が委縮し始めているところ、中国の製造業がストップし、その連鎖で世界的に製造業の景況が悪化しているところは、当時と似ています。
ただし、異なるところもたくさんあります。当時インフレ高進が心配されていましたが、今は、世界的に物価も金利も低下しています。当時、欧米が金融危機に陥りましたが、現在、金融は安定しています。
結論として、近い将来、リーマン級の危機が起こる可能性は低いと思います。私は、もう数カ月たてば、新型コロナウイルスの治療法や、検査方法が確立し、世界は落ち着きを取り戻すと考えています。
日本株は割安、高配当利回り株から投資を始めるべきと判断
数カ月先に新型コロナウイルスショックは終息に向かっていると予想しているので、今の急落局面は、日本株は買い場と考えています。大型の高配当利回り株から買っていったら良いと考えています。以下に、財務内容が良好で、収益基盤が堅固であると判断している投資の参考銘柄を挙げます。
投資の参考銘柄:配当利回り4%超の大型高配当利回り株
コード | 銘柄名 | 配当 利回り |
1株当り 予想配当金 |
2月26日 株価 |
最小 投資金額 |
---|---|---|---|---|---|
2914 | 日本たばこ産業 | 7.0% | 154 | 2,215.5 | 221,550 |
5108 | ブリヂストン | 4.2% | 160 | 3,776.0 | 377,600 |
8031 | 三井物産 | 4.3% | 80 | 1,874.0 | 187,400 |
8306 | 三菱UFJ FG | 4.5% | 25 | 551.7 | 55,170 |
8591 | オリックス | 4.1% | 76 | 1,851.0 | 185,100 |
出所:株当たり配当金は、今期会社予想。今期とは、日本たばこ産業・ブリヂストンは2020年12月期、その他は2020年3月期。配当利回りは、1株当たり年間配当金を2月26日株価で割って算出。最小投資金額は、最低投資単位100株を2月26日に買うのに必要な金額 |
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