今日は、2020年の日経平均予測をお伝えします。最初に2019年を振り返り、次に20年の予測を述べます。

「年初安・年末高」だった2019年の日経平均

 最初に、2018年12月25日に書いた2019年の日経平均予想を、以下に掲載します。

2018年12月25日「3分でわかる!今日の投資戦略」より、結論部分を抜粋

2019年1~3月は「世界景気悪化を織り込む局面」、4~12月は「2020年の世界景気回復を織り込む局面」になると予想

2019年の日本株は、3月安値・12月高値と予想しています。年初安、年末高のパターンです。年初は、2019年の世界景気悪化を織り込んで、日経平均は軟調に推移すると思われます。ただし、2019年4月以降は、2020年の世界景気回復を織り込んで、上昇に転じると考えています。
日経平均の3月安値は1万8,000円~2万円、12月高値は2万3,000~2万5,000円と予想しています。
株価低迷が続く1~3月が日本株の良い「買い場」になると判断しています。

 レポート全文は、以下からお読みいただけます。
2018年12月25日:2019年の日本株:どんな年になるか?投資戦略は?

 2019年の相場展開は、これまではほぼ想定通りでした。ただし、日経平均の安値は3月ではなく、1月4日の1万9,561円でした。

 日経平均は経験則では、景気循環よりも半年―1年先に動きます。そのため、足元の景気と株価の動きは必ずしも一致しません。2018年は世界景気好調でも、世界株安に見舞われました。2019年の世界景気悪化を織り込んでいたと考えられます。2019年は世界景気が不振でしたが、世界株高となりました。2020年4月頃からの世界景気回復を織り込む動きと考えています。

日経平均株価週足:2018年初~2019年12月25日

 簡単に、2018~2019年の日経平均の動きを振り返ります。

【1】2018年1~9月:世界中が好景気でも株の上値重い
 好景気でも米金利上昇・米中貿易戦争への不安で、世界的に株の上値重い。日経平均も上値重い。景気敏感株の下落目立つ。特に半導体関連株は急落。ディフェンシブ株が堅調で日経平均を支える。物色動向から、景気回復末期に入っていることがうかがえる展開。

【2】2018年10~12月:世界景気悪化で世界株安
 米中貿易戦争の影響で世界景気が悪化。日経平均も急落。

【3】2019年1~9月:世界景気悪化でも、米金利低下で株は底打ち
 中国景気の悪化が鮮明になり、つれて世界的に景気が悪化。米中貿易戦争の影響で、製造業の景況が世界的に悪化。ただし、米金利低下によって、世界的に株が反発。景気敏感株の上昇が世界的に目立つ。特に半導体関連株は急騰。

【4】2019年10~12月:2020年の世界景気回復を織り込み、世界株高
 米中通商交渉が「部分合意」に達する見通しとなったことも、世界景気に追い風。今の世界株高は、来年の世界景気回復を織り込む動きと予想。

2020年は景気回復の年に、日経平均は年央高を予想

以下が、私の2020年日経平均予測です。

2020年日経平均予測:2019年12月30日時点

出所:筆者作成

2020年1~2月には、反落を予想

 2019年12月まで、世界株高につれて、日経平均も上がってきました。2020年の世界景気回復を先取りする動きだったと思います。

 ただ、2019年10~12月の日本の景気・企業業績は厳しいものだったと予想されます。中国の景気悪化で、中国関連・設備投資関連株の業績が落ち込んでいます。また、世界的に自動車販売が落ち込んでいる影響から、自動車関連株の業績が不振です。それに加え、10~12月は、消費増税が日本の消費を下押ししました。

 2020年1~2月には、10~12月の景気指標・企業業績が発表になります。先行きに回復期待が強まってくるものの、足元(2019年10~12月)の景気・企業業績は不振であったことを再確認することになります。

 米中対立が一時緩和することが期待されています。部分合意は成立の見込みですが、それでも、抜本的な解決には程遠く、一時休戦を強行したことに対し、米中両国内から不協和音が聞こえる可能性はあります。

 このような問題から、1~2月は日経平均の反落を予想します。

年央(6~9月)に日経平均は高値(2万6,000~2万7,000円)をつけると予想

 2020年4月ごろから、世界および日本の景気は回復に向かうと予想しています。景気回復を好感して、日経平均の上昇が続くと予想しています。以下3つの要因が、2020年の景気回復をサポートすると考えています。

【1】    第4次産業革命が進展、米景気は堅調を維持
 IT活用の最先端で、第4次産業革命と言われる変化が起こりつつあります。AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット化)・ビッグデータ分析・ロボットの活用によって、産業構造の革新が加速する見込みです。これをバックアップする通信インフラとして、5G(第5世代移動体通信)への投資も本格化する見込みです。

 2019年は、米中対立によって第4次産業革命の流れにブレーキがかけられている状態でした。それでも、このまま第4次産業革命がまったく進まなくなるとは考えられません。米中対立が少しでも緩和すれば、来年に向けて、5G・半導体など滞っていたハイテク投資が復活し、世界景気回復に寄与すると考えています。

 米国は世界のITインフラを支配しているので、第4次産業革命が進む恩恵を受け、米景気は堅調を保つと予想しています。

【2】    中国景気持ち直し
 米中の対立が少しでも緩和すれば、中国で凍結されていた設備投資が復活し、中国景気は回復に向かうと考えています。中国景気が回復すれば、減速が強まっている東南アジアやドイツ経済にもプラスの影響があります。

【3】    政府の景気対策が、消費増税後の景気落ち込みをある程度カバー
 消費増税と同時に、政府はポイント還元や保育支援などの景気対策を実施します。10~12月は、消費増税前の駆け込み消費の反動で、消費が落ち込む見通しです。それでも、2020年になれば、景気対策の効果もあり、消費も回復に向かうと予想します。

年末にかけて、反落を予想

 2020年後半も日経平均の上昇が続くとは、現時点で考えていません。2020年の景気回復の織り込みは、1年前(2019年1月)から始まっていました。2020年の回復は、2019年末でかなり織り込み済みです。ここから一段高となった時点で、景気回復が織り込み済みになる可能性があると考えています。

 株は景気循環を半年から1年先取りして動くものなので、2020年後半の日経平均は、2021年の世界景気を先取りして動くことになります。

 私は、2020年は、世界景気が回復すると予想していますが、21年まで回復が継続するか確信が持てません。2020年11月には、米大統領選が予定されています。トランプ大統領が再選しても、民主党候補が当選しても、米政府は選挙後に、中国に対して再び強硬姿勢を取ってくる可能性があります。それが、世界景気に悪影響を及ぼすことも考えられます。

「2020年は景気回復するが21年は不透明」という場合、2020年後半は世界的に株が上がらない、あるいは下落する可能性が出てきます。そうだとすると、2020年は前半勝負ということになります。

 以上が、2020年の日経平均についての私の予想(メインシナリオ)です。ただし、2020年の世界景気が一段と悪化するなど、リスクシナリオもあります。2020年の世界の景気・企業業績を見ながら、途中で予想を修正しなければならない事態が起こった場合は、本連載でお伝えします。

 2019年、私の連載「3分でわかる!今日の投資戦略」をお読みいただき、ありがとうございました。2020年も、引き続き、よろしくお願い申し上げます。