2019年はこんな年だった!ブロガーが振り返る投資環境

 個別株投資のDAIBOUCHOUさん、イベント投資のまつのすけさん、米国株投資のバフェット太郎さん、アクティブファンドがメインのrennyさん、インデックスファンドオンリーの虫とり小僧さん――。トウシル編集部では、5人の人気投資ブロガーに、2019年の市況と投資成績についてヒアリングしました。5人とも20%前後から40%近い投資リターンを得るなど、2019年はプラスで無事クロージング。彼らの1年を通して、2019年は個人投資家にとってどんな年だったのか、整理してみましょう。

 2019年は大発会の1月4日の安値が結局、年間最安値となり、4月には2万2,000円台を回復するなど一直線の上昇が続きました。その後、5月から8月にかけては米中貿易戦争の余波で乱高下があったものの、9月からふたたび上昇し始め、12月にはバブル後最高値に迫る2万4,000円台乗せに成功。波乱万丈の幕開けでしたが、実は後から振り返ると、「年初安・年末高」という理想的な右肩上がりの展開が続きました。

 日本国内の投資環境において、2019年の大事件といえばやはり、[老後資金2,000万円問題]。老後資産になにかと焦点のあたる1年でした。さらにそれに拍車をかけたのが、10月1日の消費税10%増税。キャッシュレス決済に増税分を上回るポイント還元制度が導入されたこともあり、増税後に株価が大きく落ち込むような事態には至っていませんが、これまで関心がなかった層が、老後について、年金について、そして投資について、お金に関して真剣に考える機会が増えた一年だったといえるでしょう。

 海外環境に目を転じると、日本株以上に絶好調だったのが、米国株です。米中貿易戦争と英国のEU(欧州連合)離脱をめぐる混迷に加え、トランプ米大統領の唐突で強引な関税発動ツイートに振り回される1年になりました。しかし、それはあくまで短期的な変動でしかなく、終わってみれば万事よし。米国株価指数NYダウ平均株価は年初の2万3,000円台から12月には2万8,000円台まで一貫して右肩上がりで上昇しました。

 そして、日本株や米国株の上昇を受けて、先進国の株式を投資対象にした投資信託も安定して上昇。各銘柄、さまざまなマイナス要因はあるものの、ピンチがチャンスに転じるケースが多々見られ、投資環境としてはとても良好な1年だったといえそうです。

DAIBOUCHOUさん、まつのすけさん、日本株の二人の共通点は?

 相場環境がいいと、業績良好な個別株の株価は株価指数以上に大きく上昇します。今年、日本株で良好な結果となった二人の共通点を探ってみましょう。

 いち早くリスクオンに転じた個別株投資主体のDAIBOUCHOUさんは、2019年年末、年間+39.2%の好成績でフィニッシュ。イベント投資のまつのすけさんも、IPO株(新規公開株)の公募当選や優待株などのイベント投資で稼ぐ以外の裁量取引も好調で利益を得るなど、日本株投資家の二人とも、快進撃な2019年でした。

 2019年の二人に共通するのは、相場環境が好転するタイミングにきちんと乗り、それぞれのスタイルで得られる利益を余さずつかんだこと。まつのすけさんはさらにその余力で、裁量取引にも積極的に取り組み、+28%とプラスアルファの利益を得ました。ピンチで始まったはずの市況に一喜一憂せず、じっくりと仕込みをしながらチャンスを伺う。市況が好転したらタイミングを逃さずすぐ動く。信用取引を含めた個別株投資と、イベント投資という、手法こそ違えど、観察力と瞬発力に長けた投資スタイルが、2019年、二人が成功できた共通点といえるでしょう。

バフェット太郎さんから見る、米国株で勝てた理由

 NYダウなど米国株価指数が軒並み過去最高値を更新するなど、米国の好景気をバネに、年間+24.2%の高リターンを得たのが、米国の超大型連続増配株10社に集中投資するバフェット太郎さん。リーマン・ショック後の2009年以降、10年間でNYダウが4倍以上も上昇しています。しかし、日本株の二人と異なり、バフェット太郎さんが勝てた理由は、米国の優良株を忍耐強く保有し続けただけ、という景気に左右されない定番の投資スタンスを崩さなかった点にあります。

「私が勝てた理由は、株主配当を再投資した分の株が大きく値上がりしたのが大きかったから。シンプルでラクチンです」とバフェット太郎さん。「いったん買ったら、めったなことでは売らない」と豪語する、固定型の投資スタイルですが、選び抜いた厳選米国株に、長期投資&複利運用するという、超シンプルな王道スタイルと市況がぴったりと合った1年といえるでしょう。

ほったらかしで大成功、投信ブロガー二人も笑顔の師走に

 そして、日本株や米国株の上昇を受けて、先進国の株式を投資対象にした投資信託も安定して上昇した1年に。アクティブファンドで積極運用するrennyさんはプラス20%程度、バランス型のインデックスファンドに積み立て投資している虫とり小僧さんもプラス16%程度と、2019年を楽しく笑って終われる結果になりました。

「年初来で見ると保有している投資信託がすべて上がっていて、損しているファンドはおそらく1つもないのでは、と思います」と好調ぶりを語るのはrennyさん。投資リターンに大きく貢献したのは、世界各国の小型株を投資対象にしたLM・グローバル・プレミア小型株など、中小型株ファンドでした。

 虫とり小僧さんの好調銘柄は、米国株上昇の恩恵を受けて26%超も上昇したeMAXIS Slim先進国株式インデックス。資産の8割を占めるeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)も10%を越える年間騰落率となり、利益総額の増加に貢献しました。

 米中貿易戦争の激化もあり、中国株が組み入れ比率上位の新興国株ファンドは激しい乱高下に見舞われたものの、結局はプラスに終わり、下落したときにリバランスで買い増した分、含み益を増やすことができました。なにより中小型株や先進国株ファンドの躍進で、投信ブロガー二人とも安定した好調ぶり。特に、虫とり小僧さんは、秋に開催されたラグビー世界杯に夢中になり、「ほとんど投資のことなど考えていなかった」と語るほど、投資はほったらかし状態だったにも関わらず、目立った損のない高成績となりました。

※5人の投資成績については、2019年12月上旬のヒアリング時点の数字となります。

2019年、5人が成功した秘訣とは?

 始まる前から「2019年はとてもいい年になる」と見通していたようなエスパー投資家はどこにもいません。2019年も相変わらずの好成績を叩き出した人気投資ブロガー5人にしてもそれは同じことです。しかし、この5人の2019年投資を振り返ると、一つの共通点が浮かび上がります。それは、「信念を持って自分の投資スタイルを貫いていること」です。

 投資環境が変化しても動じず、ほとんど銘柄変更をしない“静”のスタイルを貫いているのはバフェット太郎さん、虫とり小僧さん。特にバフェット太郎さんは、「一度買ったらめったなことでは売らない」派で、米国株の絶好調にも浮かれずに、“いつもの自分”をキープすることで、安定した利益を積み上げました。

 一方で、買いチャンス/売りチャンスを常に伺う“動”派は、DAIBOUCHOUさん、まつのすけさん、rennyさんの3人。企業業績を冷静に分析し、自分を信じて買い判断するDAIBOUCHOUさんは、四半期決算の好転が感じられた連結決算ソフト会社のアバントや出版業からWeb関連事業への業態転換を見越して買ったオリコンで大きな利益をゲット。同様にまつのすけさんも、再上場後に株価が急落したワールド、東証一部昇格期待が剥落して下落した田辺工業を割安感が出たところで購入し、利益をしっかりとキャッチ。
 rennyさんは、お気に入りのファンドの長期保有を大前提としながらも、「『厳選長期投資』を運用方針に掲げる農林中金バリューインベストメンツの奥野一成さんが運用する、農林中金<パートナーズ>長期厳選投資・おおぶねに投資できたのはうれしかった。スパークスの『華咲く中小型』は月次レポートが劇的に生まれ変わったので毎月積み立てを始めました」と魅力的な投資信託探しに余念がありません。「このマネジャー、チームに託してみたい」と感じたらまず少額から買ってみる、逆に「このマネジャー、チームにはもう任せたくないな」と感じたら、相場やそれまでの損益に関係なく解約する、という考えです。
 3人とも、独自の観点で、自分のジャンル内外の状況をいち早く把握し、有望銘柄を探して、チャンスが来たら常に動く準備を怠らない派です。

 静と動、いずれのスタンスでも成功するときもあれば失敗するときもあります。この5人も過去には大きな痛手を負った経験もあるはず。しかし、それを乗り越えて「これが自分の投資手法」という確固としたスタイルを築きました。つい浮かれて目移りしそうになるほどの好景気だった2019年、5人の成功は、淡々とマイ・スタイルにのっとって投資を続けることの重要性を体現する結果となりました。

5人が考える2020年の相場展望

強気相場だが“終わりの始まり”の下準備も必要?

「来たる2020年はどんな年になるのか?」は投資家全員にとって、最大の関心事といえます。「相場の予想はまったくしない」という虫とり小僧さん、「米国株にはやや過熱感があるような気もしますが、2020年がどんな年になるか分かりません。どうなるんでしょうね?」と語るrennyさんは、投資信託派だけあって、イベントや景気に振り回されず「これぞ」と決めたファンドにこつこつ積み立て投資していくスタイルはブレません。

 一方で、株式投資派の3人は「2019年に続いて2020年も強気相場が続きそうだ」と共通の予測を立てています。

 最も強気なのはDAIBOUCHOUさん。「相場予想しないのが私のポリシー」と前置きしながらも、「日経平均株価のPBR(株価純資産倍率)はいまだ1.2倍前後と安く、基本的には2020年も強気継続で臨みたい。リーマン・ショッククラスの金融危機や信用収縮は来ないと思っているので、2020年もフルポジション+αの信用取引で比較的強気に投資するつもりです」と強気の構え。しかし一方で「私が投資のターゲットにしている小型株は、局所的にバブル化することも多いので、株価の過熱感にはたえず注意を払っています」と警戒も怠りません。

 まつのすけさんは、「大局的に見ると、2020年はリーマン・ショックの大暴落が発生した、2008年から続く長い長い上昇トレンドの最後の株価上昇局面になると思います。多くの人が株式投資で安直に稼げる平穏な時期の最終段階ともいえるでしょう」と、強気ながらも、長年続いた上げ相場の終えんを視野に入れた心の準備を始めているようです。

 米国株に投資するバフェット太郎さんの読みはさらに具体的です。「引き続き2020年上半期も米国中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)による『隠れQE4』(量的緩和第4弾)を追い風に株高傾向が続く、と予想しています」

 バフェット太郎さんが指摘する“隠れQE4”とは、米国の金融機関のドル資金不足による短期金利の急上昇を受けて、FRBが2019年10月から始めた資産購入プログラムのこと。FRBはQEの再開ではない、と念を押していますが、月間600億ドル(約6.5兆円)もの資金が市場に供給されたことで、米国の株式相場が勢いづいたのは事実です。

「このQE4は2020年第2四半期までで終了する予定。そうなると好調な米国株市場も崩れ始める可能性も。特に大統領選挙後となる11月以降は米中貿易戦争の激化も予想されるため、2020年下半期のリセッション(景気後退)リスクは高い」と分析。さらに「景気サイクルに備えた投資として、金を採掘する金鉱株やデジタル・ゴールドとして注目されているビットコインなど安全・逃避資産とされる金融商品に一部、移しており、2020年も続けるつもり」といったリスクヘッジを実行しています。

 ポジティブな展開予想が多い2020年だからこそ、人気投資ブロガーたちのように、リスクに対して機敏に反応できる態勢も整えておくのが、大きく負けないコツ。それは、ピンチのあとにくる、次のチャンスをつかむための秘訣でもあるのです。

2020年に起こる投資のイベント

1月

米国議会上院がトランプ米大統領弾劾を審議

1月

米中通商交渉第一段階の合意発表予定(決裂の可能性も)

1月31日

英国がEU(欧州連合)離脱予定

2月4日

米国トランプ大統領の一般教書演説

3月3日

米国大統領選の予備選挙・党員集会が集中するスーパー・チューズデイ

6月

G7(先進主要7カ国)首脳会談が米国で開催

6月30日

消費税増税対策のキャッシュレス決済ポイント還元事業が終了

7月24日~8月9日

東京五輪開催

8月25日~9月6日

東京パラ五輪開催

11月3日

アメリカ大統領選挙・議会選挙

 

5人の人気投資ブロガーに学ぶ、勝てる投資家になるための7カ条

 5人の人気投資ブロガーの、初心者時代の失敗や成功の体験、好調だった2019年の過ごし方から学べる「勝てる投資家になるための7カ条」をまとめました。特に、これから投資を始める人、投資を始めてまだ大きな成功体験がない人が、投資力をアップするための貴重なヒントになるはずです。

1.少額&多様な投資でいろいろ試す

2.小さくても成功体験を増やす

3.一喜一憂しない

4.楽しめない投資はしない

5.勝負どころではためらわない

6.最後は必ず自分で考える

7.投資を続ける

 以下、解説していきます。

1.少額&多様な投資でいろいろ試す

 試行錯誤の末に自分独自の“イベント投資”という手法で“億り人”になった、まつのすけさんは、「自分にはどんな投資適性があるのかは、やってみないと分からない。最初からすべての可能性を排除するのはもったいない」と語ります。興味のある投資法や銘柄、金融商品を見つけたら、自分に合うかどうか、可能性があるかどうかを体験してみることで経験値が増し、判断力も身につくようになるとのこと。ただし「最初は必ずまずは少額から試す。損失が膨らむ前に損切りする」という鉄則を忘れないこと。

2.小さくても成功体験を増やす

「初心者の方が始めやすいのは、バリュー株投資。株価の下落リスクも少なく、成功体験も得やすい」と語るのはDAIBOUCHOUさん。投資開始直後に手痛い負けを追うと、待つ勇気も勝負する勇気もキープしにくいもの。成功体験を積み重ねることで、続ける勇気を保てます。「株価が最悪だった時代の米国株のウォルマートに投資したのは、株主配当があったから。たとえ負けても配当があればなぐさめになる」と語るバフェット太郎さんのように、配当目当てで投資経験を増やすのも◎。

3.一喜一憂しない

 後半になるにつれ、上り調子だった2019年ですが、5人の投資家に共通するのは、景気が上向いても、いつもの自分を崩さなかったという点。「投資の果実やリターンは、投資先である会社やファンドが創り出している『価値』からもたらされるものだ、ということを腹の底から理解すると、日々の『価格』の変動は気にならなくなります」(rennyさん)、「暴落は必ずやって来る、チャンスも必ずやって来る」(バフェット太郎さん)のように、必要以上に浮かれない、怯えない冷静さが投資には必要です。

4.楽しめない投資はしない

 投資家の集まるイベントに参加したりブログにかける時間を除けば、投資のことを考えるのは年間に1~2時間程度、という虫とり小僧さんは「投資パフォーマンスの計算や投資判断には時間をかけないほうが、幸福度は増す。損した、負けたとストレスを感じるぐらいなら、投資しないほうがいい」と語ります。
 もちろん、資産を増やすことは投資を続ける最大の原動力ですが、投資のせいで私生活が楽しめないほど時間をかけたり、精神的に辛い状態が続くならば、投資スタイルや金額を見直してみましょう。

5.勝負どころではためらわない

 不動産ビジネスの可能性を信じて信用取引を使ったハイレバレッジ投資を行い、資産10億円を築いたDAIBOUCHOUさん。リーマン・ショック時に、株式ファンドを数百万円レベルで買い増しし、つぎ込んだ資金の数倍ものパフォーマンスを得た虫とり小僧さん、株価下落中のウォルマートを底値買いして米国株投資に目覚めたバフェット太郎さんなどは、経験値が積み上がってきたころに迎えたチャンスで大きく勝負しました。浅い経験で無謀な勝負に出るのではなく、今後来るチャンスを生かすために、しっかりと経験値を積んでおくことが大事です。

6.最後は必ず自分で考える

「“絶対上がる“などの矛盾した話を信じず、自分自身でしっかり考えるべき」とDAIBOUCHOUさん。他人の意見を妄信したり、良いウワサだけを集めて安心したがるのはご法度です。自分でしっかり情報を集め、精査し、最後は自分で決断すること。たとえそれで損をしても、その判断は貴重な経験になります。そして、貴重な経験、で収まらないほどの大金を失うような無謀な決断は避けましょう。

7.投資を続ける

「これまでコツコツ長く続けられたこと自体が成功の一番の秘訣」(rennyさん)、「とにかく試行錯誤して安定的に勝てるようになるまで努力・研究を続けたのがよかった。某漫画のセリフ“諦めたらそこで試合終了ですよ”は名言だと思います」(まつのすけさん)と、コツコツ続けることの重要性は5人が共通して語ること。そして、投資を続けるためには、途中で辞めざるを得ないほど大きな痛手を負わないことが大切です。分散投資などでリスクヘッジすることこそ、投資初心者が投資を長く続ける防衛手段になります。

 いよいよ時代は2010年代から2020年代へ、新たな10年が始まります。これを機に投資を始めようとしている人は、ぜひ5人の先達たちの教えを参考にしてください。

 

個人投資家の投資戦略をチェック!初心者向けアドバイスも!

日本株・DAIBOUCHOUさんの2019年の勝敗と2020年戦略

米国株・バフェット太郎さんの2019年の勝敗と2020年戦略

アクティブファンド・rennyさんの2019年の勝敗と2020年戦略

インデックスファンド・虫とり小僧さんの2019年の勝敗と2020年戦略

日本株・まつのすけさんの2019年の勝敗と2020年戦略

5人の人気投資ブロガーに学ぶ!勝つための7カ条