「リスク性資産」と「安全資産」をより具体的に見ていこう! 

 投資対象は、「リスク性資産」と「安全資産」の2つに概ね大別することができます。前回の「何に投資する?「リスク性資産」と「安全資産」1」で、それぞれの特徴をまとめると、以下のとおりになるとお伝えしました。

「リスク性資産」と「安全資産」について、具体的に説明していきたいと思います。今回は、「リスク性資産」について説明します。

 

「リスク性資産」とは何か?どのようなものか?

「リスク性資産」の一番の特徴は、価格変動が大きく、ハイリスク・ハイリターンであることが挙げられます。具体的には、株式、REIT(リート)、為替、コモディティ(商品)等が該当します。それぞれどのようなものかを説明していきます。

「株式」…株式に投資するということは、会社が事業をするにあたって、会社が稼いだ利益から分け前をもらう条件で、お金を出すということです。一般的に、会社の業績が良ければ、株価は上がり、投資家は利益を得ることができる一方、業績が悪ければ、株価は下がり、損失を被ることになります。政治、経済、為替のニュースなどさまざまな要因に左右され、株価は大きく変動するので、ハイリスク・ハイリターンの投資対象となります。

「REIT」…REIT(リート:上場不動産投資信託)とは、不動産への投資のことです。ビルやマンション、物流施設等、不動産の土地・建物を所有し、貸すことで、賃料収入を得て収益を得ます。従って、賃料や不動産価格の動きに、REITの価格は大きく左右されます。価格変動は小さくはないため、ハイリスク・ハイリターンの投資対象となります。

「為替」…為替は日々動きます。ドル/円の為替レートでは、1ドル=90円台のときもあれば、120円台のときもありました。為替レートは、輸出・輸入や投資家の売買(需給と供給)や、政策など様々な要因で大きく動くため、為替はハイリスク・ハイリターンの投資対象となります。

「コモディティ」…コモディティ(商品)は、金や原油、トウモロコシなど目に見える資産です。株や商品、債券とは違い、コモディティは事業活動からの収益や金利がありません。そのため、持っているだけでは、利益は得られず、利益を出すためには、価格が購入価格よりも上がることが必要です。そのため、景気動向、政治状況、気候など様々なニュースを材料に、投資家は何とか利益を得ようと激しく売買することになります。当然、コモディティの価格変動は激しく、ハイリスク・ハイリターンの投資対象となります。

為替変動の影響について

 リスク性資産の中で、もうひとつ大事な点があります。それは、為替変動の影響の有無です。

 私たちは、日本で生活しているため、「円」の中で暮らし、海外ではそれぞれの通貨が使われています。お金は動いているため、円との関係性(レート)は日々変わります。例えば、株式とREITは、国内株式と海外株式、国内REITと海外REITがあります。国内株式や国内REITは、国内の投資対象ですから、為替変動の影響は受けません。一方、海外株式や海外REITは、海外の投資対象ですから、為替変動の影響を受けます。

 NYダウという米国の代表的な株価指数がありますが、これは米ドル建ての株価指数です。私たちが日本から投資した場合は、「NYダウ(米ドル建て)の価格変動」×「米ドル円の為替変動」という二つの価格変動を負います。このように、海外株式、海外REITの円ベースの価格変動は、「投資対象の価格変動(現地通貨建て)」×「為替変動」という要素から構成されます。

 さらに、商品についても、投資対象となる商品のほとんどは、米ドル建てであるため、同じように、「商品の価格変動(米ドル建て)」×「米ドル円の為替変動」という形で円ベースの価格変動は起きることになります。つまり、海外株式、海外REIT、商品は、投資対象そのものの価格変動、為替変動という二つのハイリスク・ハイリターンの要素を持っていると言えます。

 ただ海外株式、海外REIT、商品について、為替変動を避けながら投資する手段があります。為替ヘッジという手段です。ここで為替ヘッジの仕組みについては、説明を割愛しますが、コストを支払うことで、為替変動をなくすことができます。

 海外株式、海外REIT、商品も「為替変動」の影響をなくし、「投資対象そのものの価格変動(現地通貨建て)」だけにすることができるわけです。ただし、「為替変動」がなくても、価格変動は小さくはなく、ハイリスク・ハイリターンですので、「リスク性資産」であることに変わりはありません。

 これらをまとめると、以下のようになります。

 次回は、「安全資産」の投資対象について、説明したいと思います。