外国人が買えば上がり、売れば下がる日本株
外国人投資家は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均株価の動きはほとんど外国人によって決まります。
「外国人が買い越しの月は日経平均が上昇」し、「外国人が売り越しの月は日経平均が下落」する傾向が、過去30年近く続いています。以下に過去3年の日経平均の動きと、外国人の売買動向を示しています。
ご覧いただくとわかる通り、日経平均が高値を取るのは、外国人が買っている時です。反対に、日経平均が安値を付けるのは、外国人が売る時です。
<日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2016年10月3日~2019年11月12日(外国人売買動向は11月1日まで)>
外国人が買っている時、当然ですが、国内投資家は売っていることになります。外国人が売っている時は、国内投資家は買っています。したがって、「国内投資家が日本株を買っているときは日経平均は下がり、国内投資家が日本株を売っているときは日経平均が上がる」傾向が顕著です。
このように外国人が日本株を動かすようになったのは、1990年代からです。1980年代までは、日本人が日本株の動きを決めていました。日本株の動きを外国人が決めるようになってから、既に30年近く経過しています。
私は、過去25年間、日本株のファンドマネージャーをやってきましたが、外国人売買動向を重視しながら、売買していました。外国人が買う時にいっしょに買い、外国人が売る時にいっしょに売っていれば、大きな間違いをしないで済みました。
ファンドマネージャー時代、その戦略を「コバンザメ戦略」と呼んでいました。ちょっと情けない話ですが、1990年代以降はそれが最も効率的にマーケットの流れを取る手段でした。
10月以降、外国人の買いによって日経平均が上昇
10月以降、日経平均は順調に上昇が続いています。節目と考えられていた2万2,000円、2万3,000円もあっさり超えました。この上昇をけん引しているのは、いつも通り、外国人です。
外国人から見ると、日本株は「世界景気敏感株」です。製造業・輸出産業の比率が高く、世界景気の影響を受けやすいことを、外国人は理解しています。昨年10月以降、世界景気に不安が増えてきたことに伴い、外国人は、日本株を売ってきました。
ところが、足元NYダウが最高値を更新するなど、世界景気への悲観がやや薄れつつあります。来年には、5G(第5世代移動体通信)や半導体への投資が盛り上がり、世界景気が回復に向かうという見方も出ています。
こうした変化を反映し、外国人は世界景気敏感株である日本株を少し買い戻し始めているのだと思います。
ただ、10月からの外国人買いは、まだ「日本株を積極的に評価した買い」とは言えないと思います。世界景気への不安が完全に払拭されたわけではないからです。
現時点では、日本株の組入比率を極端に低くしていた海外ファンドが、少し日本株を買い戻しただけと思います。あるいは、日経平均先物を空売りしていた海外投機筋が、先物を買い戻したのだと思います。
つまり、日本株に「非常に弱気」だった外国人が、日本株に「やや弱気」に転じただけと思います。
外国人の買いはいつまで続くか?
この上昇はいつまで続くのでしょう? つまり、外国人はいつまで買い続けるのでしょう?
結論を言えば、世界景気への不安がなくなり、来年の景気回復がはっきり視野に入るまでは、外国人が「世界景気敏感株」である日本株を積極的に買うことはないと思います。
世界景気に不安が残っているままでは、外国人の買いは、いずれ一巡するでしょう。日経平均先物の空売りポジションなどが完全に整理されるまでは、買い戻しが続くと予想されますが、そこでいったん、買いが一巡すると考えられます。
裁定買い残、売り残などから、あと、5,000億円くらい外国人の買い越しが続いたら、いったん買いは一巡するはず。
その後、外国人がさらに買うかどうかは、今後の米中通商交渉の進展、来年の世界景気見通しにかかっています。米中交渉の進展、外国人の売買をしっかり見ていく必要があります。
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