連帯保証人は「債務者」と同等の支払い義務を負う
前々回から引き続き、親の財産を把握するために、リストアップするべきものを見ていきます。
【保証債務】
親が誰かの保証人や連帯保証人になっている場合は、将来的に負の財産になる可能性を含んでいます。親が保証人や連帯保証人になっていて困る点は、相続時にはその存在が分からず、相続が済んで何年もしてから発覚することが多い点です。ある日突然、借金の取り立てが子に回ってくる可能性があります。
保証人は、債務者(お金を借りた本人)が借りたお金を返せなくなった時、債務者に変わって借金を払う義務を負います。債務者に支払い能力があれば、原則として保証人のところに債務が回ってくることはありません。
連帯保証人は、債務者と同等の支払い義務を負います。債務者の返済が滞った時、業者は連帯保証人にも直接請求をかけることができます。連帯保証人にはその請求を拒否することができません。また、連帯保証人から債権者(お金を貸した人)に連絡をして交渉することも禁じられているので、ただちに支払い義務に従うしかないのです。「保証人・連帯保証人にはなるな」とよく言われるのは、このためです。
保証債務の記録は、債務者の名前・連絡先/債権者の名前・連絡先/保証した日/保証した金額などを記します。どういう経緯で保証人になったのか、債務の弁済が回ってきた時にどうするか、といったことも事前に親から聞いて準備しておく必要があるでしょう。
生命保険は相続時に強い味方となるが・・・
【保険・年金】
医療保険や死亡保険、火災保険や自動車保険、国民年金や厚生年金、個人年金保険など将来の生活に備えて掛けてある保険や年金です。
親に記録しておいてもらいたいのは、保険会社名/連絡先・担当者/契約の種類・内容/証券番号/満期年月日/契約者名/被保険者名/保険金受取人/保険金額/支払満了期日/証券保管場所など。今後の人生で親に病気やケガ、地震や火事など万一のことがあった時、自分たちが生活していけるかを、できれば親と一緒にシミュレーションできると良いでしょう。保証内容が頼りない場合は、改善の方法を考えなくてはなりません。
また、生命保険は相続時に強い味方となります。相続対策として複数加入している親も多いでしょう。ところが、その加入の仕方によっては、被相続人に掛けていた死亡保険が「みなし財産」として相続財産に含まれる場合があります。被相続人が5000万円の死亡保険に入っていたら、その5000万円を相続財産として計上しなければならないということです。すると、5000万円分の相続財産が増え、それが相続税に反映されてしまいます。生命保険には相続人一人につき500万円の非課税枠がありますが、相続税対策に有効でない入り方をしている場合や、保障の内容が頼りない場合などは、入り直すことも検討すべきです。
他にもさまざまな種類の財産がありますが、どの家族にも当てはまりそうな財産としては、こんなところでしょうか。親が何も言い残さずに亡くなってしまった場合でも、このリストに沿って探していけば、大きな財産を見逃すことはないはずです。
(大久保 栄吾/税理士法人大久保会計 税理士)
※この記事は2016年2月12日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。
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