9月に入り、日本株は目を見張るような動きになりました。ここから具体的にどのように戦略を立てていくべきか、筆者としての考え方を解説します。

9月に入り日本株の強さ続く

 前回「日経平均株価急上昇!今「買い」と判断する危険性」で、日経平均株価が大きく上昇したこと、それに伴いどのように対応すべきかを書きました。

 実は先週の時点では、そろそろ上昇も止まるのではないかと思っていましたが、その後も日本株の強さが継続しているので、今回のコラムにて、より具体的に今後の投資戦略を考えていきたいと思います。

 現状、どの程度株式に投資をしているかによって、今後の対処法が異なってきます。

 筆者は、投資可能資金のおよそ50~60%ほどを日本株に投資しています(コラム執筆時)。個人的には、ここからの上昇に半信半疑なので、全力で買い向かう勇気もなく、現状程度のポジションをさらに膨らませるつもりも、今のところありません。

すでにある程度の株式を保有している場合は?

 まず、すでにある程度の株式を保有している場合は、どのようなジャンルの株式を保有しているかを確認します。

 なお、保有している株式は全て上昇トレンドであり、含み損を抱えた塩漬け株は保有していない前提で話を進めます。

 保有している株式が足元で大きく上昇、反発している「割安株(バリュー株)」である場合、筆者であれば、そのまま保有を続けます。確かに足元の上昇が結構なスピードでしたし、ここで頭打ちになってしまう可能性もありますから利益確定売りを行うのも1つの方針です。

 ただ、ここ6年ほど、成長株(グロース株)に比べて割安株はパフォーマンスが劣後していて、いつこの関係性が逆転するか分かりません。

 現に、10年ほど前は、割安株のパフォーマンスが成長株を大きく上回っていました。

 割安株の多くは、今回の反発が始まる前は株価がかなり下がっていました。そのため、ここからの株価のさらなる上昇余地もあると考えられます。

 もちろん、ここで頭打ち、反落となれば、現時点で利益確定売りをしておくことが正解となりますが、逆に利益確定売りをした後も株価が大きく上昇した場合、利益を大きく伸ばせる機会を逸してしまうことになります。

 結局、小さな利益で利食いをするか、小さな利益は捨ててでも大きな利益を狙って保有を継続するかをご自身で決めなければなりません。筆者であれば、小さな利益は捨て、大きな利益を狙いにいきます。

保有株があまり値上がりしていない場合は?

 一方、保有株の多くが「成長株」であるという場合は、直近の値動きが鈍く、あまり上昇していないケースが多いはずです。

 もしここから全面高の相場に発展すれば、成長株にも資金が回ってくるため問題ありません。実際、9月19~20日ごろは、それまで冴えなかった成長株の多くが上昇し、変化の兆しも感じられます。

 しかし、ここからの上昇の中心が割安株であり、成長株は蚊帳の外、となる可能性も十分あります。そのため、ある程度は割安株を保有しておいた方が精神衛生上、良いと思います。

 割安株の多くは足元でかなり上昇しているため、飛びつき買いはリスクが高いです。株価の押し目を待ち、移動平均線からのかい離率が小さくなったところで新規買いするのが良いでしょう。

 成長株をそのまま保有しながら割安株を買い足していく方法でも良いですが、すでに大きなポジションを持っていて、新規買いがなかなか厳しい場合は、銘柄入れ替えで対応します。

 つまり、割安株を買うと同時に、保有している成長株を売却し、全体のポジションが膨らまないようにしつつ、保有銘柄の構成を修正していくのです。

すっかり出遅れてしまったという場合は?

 今回の日本株上昇を意外に思っている方も多いのではないでしょうか。筆者も8月上旬の急落の後、空売りをかなり多めにしていましたし、さらなる急落に常に備えていました。

 このように、株価が下がる可能性が高いと思っている状態で、逆に株価が大きく上昇すると、心の準備ができていないため何も買うことができなかった、というケースが相当あると思います。

 でも、今からやみくもに買うべきではありません。足元の上昇が頭打ちになって下落に転じる可能性も否定できないからです。

 対応策としては「出遅れ銘柄の買い」と「押し目買い」になります。まだ移動平均線を超えたばかりのかい離率が小さい銘柄や、この先移動平均線を超えてきた銘柄を買うのが1つの方法です。

 ただ、出遅れ銘柄は、今回の上昇の中心とならない可能性も高いです。全面高の展開となれば、出遅れ銘柄も含めほぼ全て買われることになります。しかし、そうならなければ、出遅れ銘柄ばかり保有していると、日経平均株価は大きく上昇するも自分の持ち株は全然上がらない…ということになりかねません。

 そこで、すでに足元で上昇して、移動平均線からのかい離率が高い銘柄の調整局面を待ちます。いわゆる押し目買いです。

 資金配分としては、例えば投資可能資金の50%をマックスで投下するのであれば、25%を出遅れ銘柄の買い、25%を押し目買いとします。

 ただ、押し目買いをしようとしている銘柄の株価がどんどん上昇してしまい、押し目買いの機会がなければ、その銘柄はあきらめざるを得ません。

 したがって、ひとまずは出遅れ銘柄50%買っておき、押し目買いができる銘柄が出現したら、その銘柄を買う一方で、出遅れ銘柄の一部を売却するようにすれば、出遅れ銘柄から押し目買い銘柄に資金をシフトすることができます。

 もし、今回の上昇で株を買い仕込むことができず「ただ眺めていただけ」という方は、今後はそのようなことがないようにしましょう。もし大相場が将来的に訪れるとすれば、上昇の初期段階で、ある程度の株を保有しておくことが、利益を大きく伸ばすために必要となってくるからです。