10月の消費税増税後、大きな消費の落ち込みは起きない!?
10月1日より消費税が2%引き上げられ、現行の8%から10%になります。今回は軽減税率の適用やポイント還元制度などさまざまな措置もあり、増税に対する反発は少ないようです。大手経済紙とテレビ局が共同で行った(2019年9月11~12日)緊急世論調査では、消費税率10%への引き上げに「賛成」は52%で、「反対」の42%を上回ったと発表されています。
2014年4月に消費税率が5%→8%に引き上げられてから、10%への再増税は反対が常に50%を超え、賛成を上回る傾向が続いてきました。しかし、2017年9月に安倍晋三首相が「増税による増収分の使途を教育無償化にする」とし、2018年にキャッシュレス決済でのポイント還元など対策を打ち出した頃から形勢が逆転し、2018年10月以降は賛成が50%超となる状況が続いていたとのことです。
こうした世論調査の結果が正確に“世論”を反映しているのであれば、今回の消費税増税による大幅な消費の落ち込みは想定しなくていいのかもしれません。2019年9月13日には麻生太郎副総理兼財務大臣が「前回(2014年)の引き上げ時のような大幅な駆け込み需要は起きていないため、税率引き上げ後に反動による消費の落ち込みも起きない」との見方を示しています。
消費税率10%への引き上げは、当初予定されていた2015年10月、さらに2017年4月の2度、延期した経緯があります。「駆け込み需要が小さいのだから、消費反動減も少ない」という理屈通りに進めば、今回の消費税増税は、政府からすると結果的に絶好のタイミングだったということになるでしょう。
大手小売業の株価動向。増税の影響は小さい
一応、大手小売業の株価動向を検証しておきましょう。
セブン&アイ・ホールディングス(3382)の日足チャート
ニトリホールディングス(9843) の日足チャート
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)の日足チャート
マツモトキヨシホールディングス(3088) の日足チャート
株価の動きは消費税増税を嫌気しているという感じはなく、高値圏で推移している銘柄もあり、全体相場の持ち直しにあわせて出直りを見せていることが分かります。「株価の先見性」も鑑みると、やはり今回の消費税増税の影響は軽微と考えられます。
それでも「消費税増税後の落ち込みが気になる」という場合は、消費税増税とはあまり関連しないセクターの銘柄に注目していくことになります。前回9月4日に掲載した「10万円で買える自動車部品株。日米通商交渉、減税措置が株価にポジティブサプライズか」で取り上げた自動車部品株もそのひとつで、以降の株価は堅調に推移しました。
現在、投資家の物色の矛先が向かっているのは外需系企業も多い「バリュー(割安)株」です。もともと上場銘柄数が多い化学セクターにはそういう銘柄がたくさんあります。10万円で投資可能な銘柄を紹介していきます。
10万円で投資可能な化学セクター「割安株」
株価データは2019年9月13日終値ベース。
住友化学(4005・東証1部)
総合化学大手企業です。石油化学、農薬・飼料原料、電子材料、医薬品などを広範囲に展開。子会社の大日本住友製薬は医薬品を扱っています。
・住友化学の日足チャート
ダイセル(4202・東証1部)
大正時代に設立された、有機合成化学に強みを持つ企業です。液晶用偏光板保護フィルム向け酢酸セルロースや、たばこフィルター用原料が主力です。
・ダイセルの日足チャート
関東電化工業(4047・東証1部)
独自のフッ素系技術に特色がある化学企業です。現在は半導体向けが稼ぎ頭となっています。
・関東電化工業の日足チャート
三菱ケミカルホールディングス(4188・東証1部)
総合化学首位企業です。化学・レイヨン・樹脂が合併した三菱ケミカルを中核に、田辺三菱製薬、大陽日酸を傘下に持ちます。
・三菱ケミカルホールディングスの日足チャート
高圧ガス工業(4097・東証1部)
溶接・切断用として使用される溶解アセチレンの最大手企業です。酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガスなど各種高圧ガスも手掛けています。
・高圧ガス工業の日足チャート
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