先週は不安緩和が続き、株高・円安に

 先週の日経平均株価は、1週間で788円上昇し、2万1,988円となりました。9月に入ってから、「米中貿易戦争いったん休戦に向かうか」との期待が出て、世界的に株高が進みました。為替市場では、リスクオンの円安が進みました。

日経平均株価の動き:2018年12月末~2019年9月13日

 

 上は、過去5年の日経平均の動きを表しています。この間、2回「景気停滞」がありました。日経平均はそれに反応して動いています。簡単に、2015年以降の流れを振り返ります。

【1】2015年末~2016年初に、世界的に景気停滞
 日本も景気後退ぎりぎりまで景気が悪化しました。ただし、結果的に景気後退には至らず、2016年後半から世界的に景気が回復しました。日本の景気も回復に向かいました。
 この景況変化を反映し、日経平均は2015年に「二番天井」をつけて急落し、2016年に「二番底」をつけて急反発しました。

【2】2018年末~2019年にかけて世界的に景気悪化
 2018年末から、景気の悪化が鮮明となってきました。世界景気は既に景気停滞期または後退期に入っている可能性が高いと考えています。日経平均は、景況悪化を受けて、2018年に、二番天井つけて急落しました。ただし、私は2020年4月頃から景気が回復に向かうと予想しています。それを反映し、2018年末~2019年夏にかけて日経平均は二番底をつけて反発に向かうと予想しています。今は、2019年の景気悪化を織り込む最終局面と判断しています。
 日経平均は2018年12月26日に一時1万9,000円を割れた後、反発しました。そこが、一番底だったと判断しています。日経平均は8月26日に2万261円をつけてから、9月に反発しています。まだ確信は持てませんが、8月の安値が、二番底だった可能性もあると考えています。

為替は、ドル安(円高)の二番底をつけたか?

 為替市場では、世界的に株が下がると「リスクオフの円高」が進み、世界的に株が上がると「リスクオンの円安」が進む傾向が続いています。今年、もし、日経平均が二番底をつけたとすると、それに合わせて、ドル円も、ドル安(円高)の二番底をつけた可能性があります。

ドル円為替レート推移:2018年1月1日~2019年9月13日

 

今週の日米金融政策に注目、ドル円はどう反応するか?

 今週の注目材料は、9月17~18日のFOMC(連邦公開市場委員会)です。結果は、日本時間で19日未明にわかります。そこで、利下げが発表されることはほぼ確実です。トランプ米大統領は0.5%以上の大幅利下げを求めていますが、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「景気後退に備えた予防的利下げ」のスタンスを崩していないので恐らく0.25%だけの利下げに留めると考えられます。

 もう1つの注目材料は、9月18~19日の日銀金融政策決定会合です。世界的に金利低下・利下げモードが強まる中、日銀は円高が進むことを防ぐために、精一杯「リップサービス」をすると予想されます。つまり、必要に応じて、さらなる金融緩和をする準備があるとか、マイナス金利の深堀りも選択視といった発言が出ると思います。ただし、現実には、日銀は大型の金融緩和を継続中で、さらなる緩和余地が小さいことは明白です。金融緩和の余地が小さいと見られないようなリップサービスを繰り返すと考えられます。

 注目は、ドル/円がどう動くかです。円安方向ならば、日経平均は続伸し、円高方向ならば、日経平均は反落すると考えられます。

 私は、FRBが0.25%の利下げに留めるならば、円高に大きく反転するリスクは小さいと考えています。

トランプ・ツイッターの不意打ちには常に警戒が必要

 どうにも予測できないのは、トランプ大統領によるツイッターでのサプライズ発言が、いつどういうタイミングで出るかです。9月の世界的な株高・円安も、トランプ大統領が2020年の大統領選を控え、米中対立を深化させず、いったん休戦に持っていこうとする気配が出たことが大きく影響しています。

 米中休戦が実現すれば、世界的に5G(第5世代移動体通信)や半導体への投資が復活し、2020年、世界景気が回復する可能性がぐっと高まります。そうなるのか、あるいは、どんでん返しで、大統領選に関係なく米中対立をエスカレートさせてしまうのか、慎重に注視する必要があります。

日本株は買い場の見方を継続

 日本株は買収価値や配当利回りから見て「割安」と判断しています。不安があって株価が安くなっている局面で、日本株を積極的に買っていくことが、長期的な資産形成に貢献すると考えています。

 私の予想通り、2020年4月ころから世界景気が回復するならば、今、積極的に日本株を買っていく必要があります。仮に世界景気の回復がもっと遅くなった場合は、日本株が上昇する時期が後ずれしますが、それでも「割安」な今、日本株に投資することは、長期的には報われると考えます。

 

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