トップ10銘柄
下表は純資産が大きく、活発にトレードされているETF(上場投資信託)10銘柄です。
銘柄 | コード | 時価総額 (単位:10億ドル) |
平均出来高 (単位:株) |
||
---|---|---|---|---|---|
SPDR S&P500 ETF | SPY | 277.5 | 69,869,200 | ||
iシェアーズ・コアS&P500 ETF | IVV | 182.1 | 3,896,300 | ||
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | VTI | 119.5 | 2,547,750 | ||
バンガードS&P500 ETF | VOO | 119.0 | 2,851,040 | ||
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1 | QQQ | 75.8 | 32,155,840 | ||
iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF | AGG | 64.4 | 3,877,760 | ||
iシェアーズ・コアS&P中型株ETF | IJH | 50.9 | 970,872 | ||
バンガード米国バリューETF | VTV | 49.3 | 1,113,900 | ||
iシェアーズ・コアS&P小型株ETF | IJR | 45.3 | 2,799,930 | ||
iシェアーズ・ラッセル2000 ETF | IWM | 44.0 | 18,996,200 | ||
出所:コンテクスチュアル・インベストメンツ、2019年8月15日現在 |
ここに掲げた10銘柄は、いずれも大変活発に取引されています。したがって第2章で論じたような、NAVとETFとの間の乖離(かいり)は起こりにくいのです。
単刀直入に言えば、もし皆さんが初めてETFに投資を考えているのであれば、上表の銘柄のうち、手始めにどれかを買ってみるのが良いと思います。
SPDR S&P500 ETF
SPDR S&P500 ETFは、「エス・ピー・ディー・アール、エス・アンド・ピー・5百、イー・ティー・エフ」と読みます。
SPDR S&P500 ETFは米国で最初に考案されたETFであり、「SPY=スパイ」というティッカーシンボルが覚えやすいことも手伝って、世界の投資家に最も認知度が高いETFとなっています。
同ETFは米国の代表的株価指数であるS&P500指数をなぞるように設計されています。S&P500指数は後で述べるMSCI指数と並んで機関投資家がベンチマークとして用いることが多いです。
SPDR S&P500 ETFの組み入れ上位10銘柄は、下表の通りです。
組み入れ銘柄 | 比率 | ||||
---|---|---|---|---|---|
マイクロソフト | 4.3 | ||||
アップル | 3.8 | ||||
アマゾン | 3.1 | ||||
フェイスブック | 1.8 | ||||
バークシャー・ハサウェイ | 1.6 | ||||
アルファベットC | 1.5 | ||||
アルファベットA | 1.5 | ||||
ジョンソン&ジョンソン | 1.5 | ||||
JPモルガン・チェース | 1.4 | ||||
ビザ | 1.3 | ||||
その他 | 78.3 | ||||
出所:ステートストリート、2019年8月14日現在 |
また同ETFのセクター構成比は、下のパイチャートのようになっています。
SPDR S&P500 ETFのセクター構成
トレーダーが手っ取り早く米国株の比重を増やしたいと思ったとき、個別株をいちいち拾うのは面倒なため、SPDR S&P500 ETFをドカンと買い込んで相場についていこうとすることが多いです。つまり、トレーディングの対象として同ETFは、極めてポピュラーなのです。このため、SPDR S&P500 ETFの出来高は目の玉が飛び出るくらい、大きいのです。
皆さんがじっくり考えて、丹念に自分の投資目的を具現化するETFのポートフォリオを組む際、SPDR S&P500 ETFは投資対象に入らないかもしれません。それについては、後述します。しかし、とにかく「サッとトレードしたい」というのであれば、これに勝る銘柄はないでしょう。
SPDR S&P500 ETFのPER(株価収益率)は17.3倍(*)、PBR(株価純資産倍率)は3.0倍、配当利回りは1.9%です(ステートストリート、2019年8月14日現在)。
運用会社はステートストリート・グローバル・アドバイザーズで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.0945%です。
(*)ステートストリートはPERの算出に予想EPS(1株当たり純利益)を使用しています。
iシェアーズ・コアS&P500 ETF
iシェアーズ・コアS&P500 ETF(IVV)は一つ前の項で紹介したSPDR S&P500 ETFと同じく、S&P500指数をベンチマークとしています。運用会社はブラックロックです。
同ETFは2000年5月から取引が開始されました。こちらの方が後発である関係で、知名度はSPDR S&P500 ETFほど高くありません。その商品性としては両者の差異はほとんどないと言えます。
ただ、iシェアーズ・コアS&P500 ETFの方が出来高が少ないです。それでも毎日300万株以上出来ているので、第2章で説明したようにトレードがまばらすぎて、NAVとETF価格との間での乖離が広すぎるという問題は発生しません。実際、iシェアーズ・コアS&P500 ETFの平均プレミアム・ディスカウントは0.00%です。
iシェアーズ・コアS&P500 ETF のPERは20.8倍、PBRは3.3倍、配当利回りは1.9%です(ブラックロック、2019年8月14日現在)。
強いて言えば、iシェアーズ・コアS&P500 ETFはエクスペンス・レシオが0.04%と低いため、長期で保有する投資家にはこちらの方がわずかに有利と言えます。
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)は、CRSP USトータル・マーケット指数をなぞるように設計されています。もっと分かりやすい言い方をすれば、米国株全体の動きをフォローするように設計されています。その関係で組み入れ銘柄数は3,606銘柄にも上ります。
バンガード・トータル・ストック・マーケットETFのPERは20.3倍、PBRは2.9倍です(バンガード、2019年7月31日現在)。
運用会社はバンガードで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.03%です。みなさんがじっくり考えて、丹念に自分の投資目的を具現化するETFのポートフォリオを組む際、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFは考慮するに値するETFです。なぜならこれ一つで米国株を網羅できるからです。また費用比率が極めて低い点も長期保有に向いています。
バンガードS&P500 ETF
バンガードS&P500 ETF(VOO)はS&P500指数をなぞるように設計されたETFです。同ETFは常に業界で最もコストが安いことで知られるバンガードが提供しているだけあってエクスペンス・レシオは0.03%と極めて低いです。
バンガードS&P500 ETFのPERは20.3倍、PBRは3.1倍です(バンガード、2019年7月31日現在)。
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1(QQQ)はナスダック100指数をベンチマークとするETFです。ナスダック100指数はナスダックの大型株100銘柄から構成される株価指数であり、一般にS&P500指数に比べて値動きが大きく、その分、トレーディング向けだと考えられています。従ってQQQを好んでトレードする個人投資家も多いです。
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1の組み入れ上位10銘柄は下の表の通りです。
組み入れ銘柄 | 比率 | ||||
---|---|---|---|---|---|
マイクロソフト | 11.2 | ||||
アマゾン | 10.2 | ||||
アップル | 10.0 | ||||
フェイスブック | 5.1 | ||||
アルファベットC | 4.1 | ||||
アルファベットA | 3.6 | ||||
シスコ・システムズ | 2.8 | ||||
インテル | 2.6 | ||||
コムキャスト | 2.3 | ||||
ペプシコ | 2.2 | ||||
その他 | 45.8 | ||||
出所:インベスコ、2019年6月30日現在 |
パワーシェアーズQQQ信託シリーズ1のPERは22.7倍、PBRは5.7倍、配当利回りは0.9%です(インベスコ、2019年6月30日現在)。
同ETFのエクスペンス・レシオは0.20%です。
iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF
iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF(AGG)は米国の投資適格債券に幅広く投資するETFです。ポートフォリオの約4割は米国財務省証券です。その次に組み入れが多いのは、住宅抵当証券で26%となっています。加えて高格付けの民間企業の債券も組み入れられています。
利回りは2.4%です。純エクスペンス・レシオは0.05%です。
iシェアーズ・コアS&P中型株ETF
iシェアーズ・コアS&P中型株 ETF(IJH)は米国の中型株に投資するETFです。
iシェアーズ・コアS&P中型株ETFの組み入れ上位10銘柄は次の通りです。
組み入れ銘柄 | 比率 | ||||
---|---|---|---|---|---|
ステリス | 0.8 | ||||
NVR | 0.7 | ||||
ゼブラ・テクノロジーズ | 0.7 | ||||
オールド・ドミニオン・フレート | 0.7 | ||||
アレゲーニー | 0.7 | ||||
テレダイン・テクノロジーズ | 0.7 | ||||
ウエスト・ファーマシューティカル | 0.7 | ||||
ファクトセット | 0.6 | ||||
WRバークレー | 0.6 | ||||
カムデン・プロパティー | 0.6 | ||||
その他 | 93.3 | ||||
出所:ブラックロック、2019年8月14日現在 |
iシェアーズ・コアS&P中型株ETF のPERは18.8倍、株価純資産倍率(PBR)は2.2倍です(ブラックロック、2019年8月14日現在)。
運用会社はブラックロックで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.07%です。
バンガード米国バリューETF
バンガード米国バリューETF(VTV)はCRSP 米国大型株バリュー指数をなぞるように設計されたETFです。その組み入れ銘柄はバークシャー・ハサウェイ、JPモルガン・チェース、ジョンソン&ジョンソン、エクソン・モービル、プロクター&ギャンブルなどのお馴染みのバリュー株となっています。
セクター別では金融が24.2%、ヘルスケアが16.7%、消費財が11.4%、工業が11.1%などとなっています。
バンガード米国バリューETF のPERは16.3倍、PBRは2.2倍です(バンガード、2019年7月31日現在)。
運用会社はバンガードで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.04%です。
iシェアーズ・コアS&P小型株ETF
iシェアーズ・コアS&P小型株 ETF(IJR)は小型株に投資するETFです。
総組み入れ銘柄数は602銘柄です。
ポートフォリオの組み入れセクターは工業が18.3%、金融が17.98%、ITが14.9%、消費循環が13.6%、ヘルスケアが12.7%などとなっています。
iシェアーズ・コアS&P小型株 ETF のPERは18.0倍、PBRは1.8倍です(ブラックロック、2019年8月14日現在)。
運用会社はブラックロックで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.07%です。
iシェアーズ・ラッセル2000 ETF
iシェアーズ・ラッセル2000 ETF(IWM)は米国を代表する小型株指数であるラッセル2000指数をなぞるように設計されたETFです。
一般に小型株は米国経済が底打ち、反転する際は一足先に上昇し始め、逆に景気が頂点をつけ、反転する際にはいち早く崩れることで知られています。その意味では米国経済の先行指標とも言えます。iシェアーズ・ラッセル2000 ETFに投資する投資家は、小型株のこのような特徴をうまく利用することを目指しています。
iシェアーズ・ラッセル2000 ETFのPERは16.0倍、PBRは1.9倍です(ブラックロック、2019年8月14日現在)。
運用会社はブラックロックで、同ETFのエクスペンス・レシオは0.19%です。
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