急落後に急反発の日経平均、2万1,000円台の値固めが進む
先週(7月16~19日)の日経平均株価は18日に急落(前日比▲423円)後、翌19日に急反発(+420円)する波乱がありました。一週間では、219円下落し、2万1,466円となりました。
急落後の急反発は、テクニカルには底入れのシグナルとなることもあります。下値では買いを待っている資金があると、解釈されるからです。日経平均で2万1,000円より下には売り込みにくいムードが出るので、投機筋は売りを仕掛けにくくなります。売りポジションを持っている投機筋はいったん買い戻した方が良いと判断することがあります。
日経平均日足:2019年3月1日~7月19日
もちろん、テクニカル分析だけで、日経平均の先行きが決まるわけではありません。これから起こるファンダメンタルズ(景気・企業業績・株価バリュエーション)が最終的には、日経平均の方向性を決めることになります。私は、世界景気は2019年に悪化、2020年に回復と予想していますので、今の日経平均の動きに違和感はありません。今が、2019年の世界景気悪化を織り込む最終局面で、かつ、2020年の回復を織り込み始める初期に当たると考えているからです。
ただ、テクニカル分析だけで見ても、まだ、上値をとっていくに機が熟しているとは解釈できません。下値2万1,000円は堅くなりつつあるが、まだ、上値は重いままです。今後、米中貿易戦争の行方、日本の景気・企業業績の先行きを見極めつつ、徐々に、上値を目指していくと予想していますが、2万1,000円台の値固めに今しばらく時間がかかりそうです。
日本株は、配当利回りやPER(株価収益率)などの株価指標で見て、きわめて割安と判断しています。不安材料は残っていても、日本株が割安と判断できる間に、日本株への投資ポジショを増やしていくべきと考えています。
18日に急落した日経平均は、なぜ19日に急反発したか?
18日の日経平均は、前日比▲423円の2万1,046円でした。発表が始まった4~6月の日米企業業績が冴えないことが、売り材料となりました。2019年の世界景気減速を織り込む動きと言えます。
ところが、19日の日経平均は+420円と急反発しました。以下3つの要因が急反発の理由と考えています。
【1】利下げ期待でNYダウが堅調
パウエルFRB議長は、7月30日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げを事実上、予告した形です。利下げ期待が、米国株高および世界の株高を支えています。
【2】日米で半導体関連株が上昇
19日の東京市場で、半導体関連株が大きく上昇しました。アドバンテスト(6857)は前日比7.1%高、東京エレクトロン(8035)は同3.5%高、信越化学工業(4063)は同4.2%高、SUMCO(3436)は同4.5%高でした。前日の米国市場で半導体関連株が買われた流れを受けました。現在、世界的に半導体不況の最中にありますが、来年にかけて半導体ブームが復活することを先取りする動きと考えています。
供給過剰から市況下落が続いていた半導体メモリーのDRAM市況が反発したことが、日米で買われるきっかけとなりました。同じく市況下落が続いてきた半導体のNANDフラッシュメモリーにも反発機運があります。
世界的に、第四次産業革命(IT活用による技術革新)が進む中、その基幹部品である半導体への需要は増加の一途をたどっています。昨年末に一時的に供給過剰となった半導体メモリーですが、在庫調整が進んでおり、来年にかけて再び供給不足になる可能性があると判断しています。
DRAM市況反発のきっかけとなったのは、皮肉にも日韓摩擦です。日本政府が半導体製造に欠かせない化学品(高純度フッ化水素)の韓国への輸出管理を強化する方針を出し、韓国の半導体メーカーであるサムソンとSKハイニックスが減産に追い込まれる思惑が出ました。韓国の2社で、DRAM生産の世界シェアの約7割を占めていることから、DRAMが品不足に陥る懸念が生じ、需要家が早めに調達に動き、市況反発につながりました。
韓国メーカーが本当に半導体の減産に追い込まれるのか、現時点ではっきりしません。いずれにしろ、半導体の在庫調整が進んでいる中で出たニュースだったので、市況反発のきっかけとなりました。
外国人投機筋のポジションが売りに傾いており、きっかけがあれば買戻しが入りやすい
詳しい説明は、以下「著者おすすめのバックナンバー」のレポートをご参照ください。
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