三大割安株の注目銘柄リスト

 日本企業は、平成30年間の構造改革を経て、財務・収益力を格段に改善しました。ところが、利益を伸ばし、配当を増やしてきたにもかかわらず、時代の波に乗り遅れているイメージから株価が長期的に低迷している銘柄群があります。

 私は、中でも「三大割安株」に注目しています。三大割安株とは、私が勝手にネーミングしたものです。金融・資源関連・輸出株に、PER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)が低く配当利回りが高く、きわめて割安に見える銘柄が多いので、この3つを三大割安株と呼んでいます。

 その代表的銘柄と、7月10日時点の株価バリュエーションは以下の通りです。

三大割安株の株価バリュエーション:7月10日

コード 銘柄名 種別 株価 配当利回り PER PBR
8306 三菱UFJ FG 金融株 526.4 4.7 11 0.42
8316 三井住友FG 金融株 3,839.0 4.7 8 0.49
8411 みずほFG 金融株 158.5 4.7 9 0.45
8766 東京海上HD 金融株 5,656.0 3.4 12 1.11
8591 オリックス 金融株 1,636.5 4.9 6 0.72
8058 三菱商事 資源関連株 2,931.5 4.3 8 0.80
8031 三井物産 資源関連株 1,807.0 4.4 7 0.73
8001 伊藤忠商事 資源関連株 2,075.0 4.1 6 1.05
8002 丸紅 資源関連株 725.8 4.8 5 0.63
8053 住友商事 資源関連株 1,638.5 5.5 6 0.73
7203 トヨタ自動車 輸出株 6,908.0 3.4 9 1.00
7267 本田技研工業 輸出株 2,859.5 3.9 8 0.60
5108 ブリヂストン 輸出株 4,204.0 3.8 10 1.30
6301 小松製作所 輸出株 2,523.5 4.4 11 1.31
7751 キヤノン 輸出株 3,193.0 5.0 17 1.22
※単位 株価:円  配当利回り:%  PER:倍 PBR:倍
出所:配当利回りは、今期1株当たり年間配当金(会社予想)を7月10日株価で割って算出。配当予想を公表していないオリックス・トヨタ・キヤノンは市場予想を使用して計算。
PERは、7月10日株価を今期1株当たり利益(会社予想)で割って算出。今期の利益予想を公表していないオリックスは市場予想を使用して計算。楽天証券経済研究所が作成

  割安株には「安かろう悪かろう」銘柄もあります。「ワケあり割安株」には投資すべきでありません。上のリストには、「財務内容が比較的良好で、安定的に高収益をあげているにもかかわらず割安」「高配当利回り株として長期投資していく価値がある」と、私が判断している銘柄を挙げました。

三大割安株は、なぜ、割安か?

 ところで、こうした銘柄はなぜ、株価指標で見て、割安なのでしょうか?割安というのは、言い方を変えると、不人気ということです。三大割安株は、以下の理由から不人気です。

【1】金融株: 低金利長期化で収益が悪化する不安、フィンテック(金融新技術)普及で従来型の金融機関のビジネスが減る不安がある。

【2】資源関連株: 供給過剰になって資源価格が下がる不安がある。世界的な環境規制強化は、石炭ビジネスに逆風。

【3】輸出株: 貿易戦争激化の不安、世界景気悪化の不安、アジアのライバル企業との競争が熾烈になる不安などがある。自動車株については、EV(電気自動車)・自動運転車の普及で、旧来型のガソリン車需要が減る不安もある。

 上記の不安から、現実に収益が低迷している銘柄もたくさんあります。そうした銘柄は、株価指標で見て割安だということだけを理由に投資すべきではありません。

金融株の選び方

 私が注目している5銘柄(三菱UFJ・三井住友・みずほ・東京海上・オリックス)は、いずれも低金利に負けずに、高収益をあげていけると判断している銘柄です。5銘柄に共通なのは、海外で収益を稼ぐ力があることです。

 3メガ銀行は、低金利で国内の商業銀行の利益は圧迫されますが、海外収益の拡大で高収益を維持しています。さらに、ユニバーサルバンク経営(証券・信託・リース・消費者金融などへの多角化)で収益力を高めています。

 東京海上はM&A巧者で、収益基盤のしっかりした海外保険会社を有利な価格で買収することで、高収益をあげています。オリックスはリースが安定収益原ですが、そこから海外事業を含め、幅広い多角化で収益をあげています。

 このように、海外や多角化で稼ぐ力のある金融株は、投資価値が高いと考えています。ただし、逆に言えば、海外や多角化で稼ぐ力の無い金融株は投資を避けるべきです。具体的に言うと、現時点で、3メガ銀行以外の銀行には、投資したくありません。国内商業銀行業務の比率が高い地方金融機関は、収益が先細りとなっていくリスクがあります。
 ゆうちょ銀行(7182)は、将来、多角化で安定収益を稼ぐ銀行に変わる可能性があり、注目しています。ただ、現時点では多角化が不十分なので積極的には投資したくありません。

資源関連株の選び方

 資源掘削技術の革新によって原油などの資源を安く大量に生産する技術は、年々進歩しています。したがって、いくら需要が増えても、2000~2007年のように資源価格が高騰することは考えられない状況です。供給が増えすぎて、資源価格が下がるリスクを常に意識しておく必要があります。そうした不安を反映し、大手総合商社などの資源関連株は、総じてPERなどのバリュエーションで、割安となっています。

 私は、資源ビジネスにほぼ特化しているピュアな資源株は、収益が不安定なので、投資を避けるべきと考えています。具体的には、国際石油開発帝石(1605)石油資源開発(1662)には、投資したいと思いません。

 ただし、資源ビジネスで稼ぎながら、非資源ビジネスの収益を伸ばし、最高益を更新してきている大手総合商社には、積極的に投資したいと思います。伊藤忠商事(8001)丸紅(8002)三菱商事(8058)住友商事(8053)は2019年3月期の連結純利益で、最高益を更新しました。三井物産(8031)はわずかに最高益に届きませんでしたが、2020年3月期の純利益(会社予想)では最高益更新が見込まれます。5大商社株は、高配当利回り株として長期投資していく価値があると思います。

輸出株の選び方

 自動車関連株は、貿易戦争のターゲットとなりやすい上に、EV・自動運転車の普及が進むと異業種からの参入が増える可能性もあり、予断を許しません。トヨタ・本田やブリヂストンに絞って、投資していきたいと思っています。

 コマツは、鉱山機械や建設機械で高い競争力を有し、スマート・コンストラクション(ドローンやITを活用した建築)の開発に積極的に取り組んでいるので、投資していって良いと判断しています。

 キヤノンはデジタルカメラで競争が激化していることが逆風ですが、産業機器・商業印刷・ネットワークカメラ・メディカル事業などへの多角化事業を伸ばすことで、収益を維持していくと予想しています。

 輸出株では、貿易戦争やアジア企業との過当競争に巻き込まれやすい企業は避けるべきです。

 

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