「投資というと特別な知識や能力が必要と考えている人もいるでしょうが、そんなことはありません。とくにインデックス投資であればどんな人でも始められると思います」と言うのは、人気ブログ「インデックス投資女子 Around40 Happy Life」を運営する女性ブロガー、おぱるさん(40代・会社員)です。7年前、「定期預金の金利を知って将来が不安になり」インデックス投資をスタート。以来、毎月、投資信託で一定額を積み立てています。そんなおぱるさんに投資を始めた経緯やインデックスファンドの魅力について聞きました。

定期預金の金利が0.025%と知って、がくぜんとした

──この企画ではいろんな個人投資家の方に出ていただきましたが、皆さん、何というか、投資のプロという雰囲気がありました。失礼を承知で言わせていただくと、おぱるさんは少し印象が違います。

 私は「個人投資家」というよりも、積み立て投資を行っている会社員に過ぎませんからね(笑)。実際、金融にも経済にも詳しいわけではないですし。

──金融や経済に詳しくない?

 はい、むしろ、疎いほう(笑)。

──詳しくなくても問題ないですか。

 インデックス投資オンリーですからね。個別株をやるなら企業経営のこととか、経済情勢とか、それなりに理解していないと厳しいでしょうが、インデックス投資だけならある程度の基本を把握すればスタートできます。

──これからも学ぶつもりはない?

 うーん、たぶん。

──投資を始めようと思ったのはなぜですか。

 今から7年前のことですが、当時積み立てていた定期預金の金利を知って、がくぜんとしました。たしか0.025%だったかな。100万円預けても1年でコーヒー1杯分くらいにしかならない。それで、預金だけだとお金なんて絶対に貯まらないなと。すでに30代半ばを過ぎていましたから、さすがに将来が不安になったわけです。

──その頃は独身だったんですよね。

 はい、その2年後に結婚しましたが。

──独身生活を謳歌していた?

 まあ、そうですね。ただ、一人暮らしでしたし、ほとんど外食でエンゲル係数が異様に高かったので、お金をため込んでいたわけではありません。定期の積み立てをしていたといっても少額でしたし。だから、余計に将来のことを考えるようになったのかもしれません。

投資本を購入して、インデックス投資の存在を知った

──最初は何から始めたのですか。

 ともあれ投資というものを前向きに考えてみようと。というのも、投資って怖いものというイメージがあったんです。
私が働いている会社でも株や不動産投資をやっている人がけっこういたのですが、あるときを境にその人たちが急に元気をなくしたんです。なぜか、しょげかえっている。で、しばらくして「○○さんが株で失敗したらしい」「××さんが不動産で大損したらしい」といった噂を耳にするようになりました。お察しの通り、リーマンショックのときの話なのですが、そんなこともあり、投資なんて絶対にするもんか、と思っていたんです。

──でも、0.025%と知って、そうも言っていられなくなった?

  はい。怖いけど、しょうがない、やるっきゃないかなと。ルビコン川を渡っちゃえと(笑)。

──で、どうされたんですか。

 まずは定期預金をしていた銀行の窓口に行って、金融商品について聞いてみました。ところが、こっちの無知をいいことにあれこれ強引に勧めてくるので、こりゃあマズいと思い、とりあえず投資の本を読んでみようと。
で、本屋さんに行って、1時間くらい色んな本をぱらぱらめくり、2冊購入しました。山崎元さんの『超簡単お金の運用術』(朝日新聞出版)と、竹内弘樹さんの『はじめての積み立て投資1年生』(明日香出版社)。どちらも自分に合ってそうだし、さらっと読めそうだったので。

──「たくさん読まなければ!」とはならなかったのですね。

 インデックス投資は決して難しいものではないので、1冊読めばだいたいのことは理解できます。私は2冊買いましたが、1冊でも十分だと思います。
この2冊を読んで、インデックスファンドを運用するインデックス投資がいいのかなと思うようになったわけです。

山崎元著『超簡単お金の運用術』(朝日新聞出版)
竹内弘樹著『はじめての積み立て投資1年生』(明日香出版社)

──どのようなところが?

 投資をやってみようかなと思い始めたころ、どんな商品がいいのか、考えたことがあるんです。そんなにもうからなくてもいいから大きく減らないものがいいとか、手軽にできて簡単なものがいいとか、あんまり時間を割きたくないとか。インデックス投資は、まさにそういうものでした。

──会社の人がハマっていた株や不動産投資とは違うと?

 はい、ぜんぜん違うなと。それにインデックス投資をメインの投資法にすれば、経済成長の恩恵で資産を増やせる可能性があります。
 投資というものを身近に感じるようになりました。

──すぐ買ってみたのですか。

 いえ、その前に専門家の話を聞いてみることにしました。もちろん、本でおおよそのことはわかったのですが、本に書いてあることをすべて信じていいのだろうかという思いがありましたし。もちろん、今は2冊とも信頼に足る本だと自信を持って言えますが。そのころはそんな判断がつきませんでしたから。

──かなり慎重ですね。

 慎重というか、ビビりなんです(笑)。あと、何ていうか、自分が心底、納得できないと嫌なんですよ。

窓口で勧められた商品には警戒心を抱くべき

──どんなところに話を聞きに行ったんですか。

 最初にまずFP(ファイナンシャルプランナー)会社が主催する、いわゆるマネーセミナーに行きました。金融商品のことだけでなく、ライフプランの設計、つまり貯金や保険、投資信託などをどのような配分で持つべきかなども聞きたかったので。
 で、その会社が個別相談を受け付けているというので、それも受けてみました。その後、もう1社やはりFP会社に行きました。

──役に立ちましたか。

 マネーセミナーは、リターンとリスクの視点から金融商品を段階的に分けて教えてくれたりして、けっこうためになりました。ただ、その後の個別相談では、保険と不動産投資ばかり勧めてきたんです。こっちがインデックスファンドについて知りたいといっても、まずは今、持っている保険を見直してくださいと。そっか、この会社は保険や不動産を売るのが目的だったんだと思いました。

──誘いには乗らなかった?

 はい、もちろん。というか、そもそも行く前から何を勧められても絶対にその場では買わないと決めていたんです。よくわかっていないのに、勧められるまま買うのって、危険ですから。銀行へ行って強引に勧められた経験もありましたし。

──なるほど。

 どこでもそうとは言いませんが、自分たちが売りたいものを勧めてくるところが多い。手数料が高くて利益が出やすいものとか。だから、何か勧められたら、ひとまず警戒心を抱くべきだと思います。

──初めて金融商品を購入するときは注意したいですね。

 はい。それからもう1つ。相手が熱心だったりして好印象を抱くと、つい買ってあげたくなるという人は少なくないと思います。でも、それもトラブルのもとです。あくまでも商品の価値を見て、判断すべきだと思います。

──たとえ買いたくなっても、その場では判を押さず、いったん家に持ち帰って、検討し直してみることが大事かもしれませんね。では次回は具体的にどのようなファンドを購入したのかをお伺いします。

「たくさんの本を読むよりも1冊の本を繰り返し読む方が理解が深まります。投資を始める前に読んだ本を、今も分からないことがあると何度も読んでいます。何度も読むことで、最初は気付かなかったことに気付けたりもしますよ」

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