6月24日~28日 原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は続伸。中東の地政学的リスクや米国の原油在庫の減少を背景に買いが先行した。WTI期近8月限は一時59.93ドルまで上昇し、期近ベースとしては5月下旬以来の高値を付けた。

 週前半は中東リスクが買い材料視された。週明け、トランプ米大統領はイランの最高指導者ハメネイ師らを制裁対象に指定、米国の金融システムを通じた取引禁止などの制裁を科す大統領令に署名した。イランのザリフ外相にも近々に制裁を科す方針。先日の無人偵察機撃墜やタンカー攻撃に対して責任を問う姿勢を示した格好。これに対してイランのロウハニ大統領は愚かな行為であると米国の制裁に反発姿勢を示した。両国の緊張関係が長引くのではとの見方が広がり、中東の原油輸送への混乱が警戒された。

 週中は米国の原油需給の改善が支援材料となり、値位置を切り上げる展開となった。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は市場予想を上回る大幅な減少となった。これで2週連続の予想以上の取り崩し。生産量、輸入量が減少するなか、リファイナリーの稼働が上がり、輸出量が過去最高へと増加したことで、在庫の取り崩しが進んだ。直近には2年ぶりの高水準へと積み上がっていたため、相場の重石となっていたが、この2週の在庫取り崩しが進んだことにより、需給の緩みへの警戒は和らいだ。また、WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫も減少し、石油製品在庫も予想に反して減少するなど、統計は概ね強気の内容が示された。

 週後半は様子見から持ち高調整中心の動きに。28-29日のG20に合わせて29日に米中首脳会談が予定されていることもあり、この結果を見極めたいとして様子見ムードとなった。市場のセンチメントは強気に傾いていたが、結果次第では反転する可能性もあるため、積極的に買い進む動きは見られず。香港紙は貿易戦争の暫定的停戦で合意したと伝える一方、米紙は貿易戦争解決に向けて習近平・中国国家主席がトランプ米大統領に条件を提示すると伝えるなど、不透明な状況にあったことも商いを手控えさせた。週末、月末、四半期末、上期末のタイミングが重なることもあり、持ち高調整中心の動きとなった。

 今週は強含みの展開が見込まれる。週末の米中首脳会談で一定の進展があり、両国が一時休戦で合意したことで、先行きの経済減速への懸念が後退、投資家心理が大幅に改善することは必至。原油需要の鈍化懸念の後退もあるが、株価上昇に連れての上昇が期待される。また、週明けには石油輸出国機構(OPEC)プラスの会合が開かれる。足元では油価が上昇しているが、サウジアラビアなど協調減産継続を求める姿勢にロシアが同調するとの見方が極めて強く、7月以降も減産は続く公算が大きい。市場のセンチメントが強気に傾いているだけに、さらに買いに弾みが付く可能性がある。直近にレジスタンスとして意識されていた節目の60ドルを上抜くと、ロスカット絡みの買いオーダーを巻き込み、踏み上げ相場となる可能性も。

 

今週の予想

  • WTI    強め 57.00-62.00ドル
  • BRENT    強め 64.00-69.00ドル

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