NYダウが最高値に迫る中、先週の日経平均は小幅高
先週の日経平均は1週間で141円上昇し、2万1,258円となりました。あいかわらず、米国株は強いが日本株は上値の重い展開が続いています。先週は、NYダウが1週間で629ドル上昇し、2万6,719ドルとなり、昨年10月3日につけた史上最高値(2万6,828ドル)に接近。S&P500(米国の主要500社で構成される株価指数)は、先週、過去最高値を更新しました。
日経平均・NYダウ・上海総合株価指数の年初来の動き比較:2017年末~2019年6月21日
19日に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文で、「年内の米利下げ」が明確に示唆されたため、ドル金利が一段と低下しました。金利低下を好感して、米国株は上昇しました。
ただし、ドル金利の先安感が広がったため、為替市場ではドル安(円高)が進みました。19日には、一時1ドル107円を割れました。NY株の上昇は日本株にとっても好材料ですが、円高の進行が悪材料となり、日本株の上値は抑えられました。
期待を背景にNYダウが堅調に推移し、日経平均や上海総合株価指数も小幅に上昇。ただし、米中貿易戦争が長期化する不安が続いており、上値は重いままです。
ドル円為替レートの動き:2018年初~2019年6月21日
「長短金利逆転」継続、先行きの利下げを織り込み済み
FF金利(政策金利・短期金利)と長期金利の足元の水準を見ると、2006~2007年と同様、長短金利逆転(短期金利が長期金利よりも高いこと)が起こっています。6月19日のFOMCでは、利下げ(FF金利誘導水準の引き下げ)は見送られましたので、長短金利逆転が放置されたままです。
米政策金利(FF金利)および長期金利(10年国債利回り)推移:2004年1月~2019年6月(21日まで)
長短金利逆転は、「先行きの景気悪化・利下げ」を示唆していると言われることがあります。実際2006~2007年に長短金利が逆転した時は、まだ米景気が好調でしたが、その後、08年にリーマンショックが起こり、長短金利とも急低下しました。
2019年になって「長短金利逆転」が起こったときも、当初は、「米景気悪化」の兆しととらえられ、NYダウが売られる要因となりました。
ただし最近は、長短金利逆転をそのように悲観的に見る向きは減りました。FRBは2018年に4回利上げしましたが、それが政策ミスだったと考えられています。米コア・インフレ率が2%前後に留まっている中で、FF金利を無理に引き上げ過ぎたため、長短金利逆転が起こったと見られています。
米コア・インフレ率および平均賃金上昇率の推移:2011年1月~2019年5月
FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げするのは、7月30~31日のFOMCになる可能性が高いと思います。ただし、1回利下げしただけでは、長短金利逆転は解消されません。FRBが示唆したのは「年内1回」の利下げですが、長短金利逆転を解消するためには、年内2~3回の利下げが必要な状況です。
米長短金利(10年・2年・3ヶ月金利)の推移:2018年1月2日~2019年6月21日
目先、日本株は二番底を模索後、年末にかけて上昇トレンドに入るとの予想を継続
結論は、毎回述べていることと変わりません。日本株は長期的に買い場と見ています。ただし、貿易戦争や円高を嫌気して短期的に下げる可能性はあります。日経平均はチャートで見ると、現在、まさに二番底を模索している最中と見えます。
日経平均週足:2018年1月4日~2019年6月21日
より安いところで買った方が長期的なリターンは高くなりますが、いつ、どの水準で日経平均が二番底を付けて、反転上昇するか予想するのは困難です。割安な好配当利回り株や日経平均インデックスファンドに、時間分散しながらコツコツ投資していくことが、長期的な資産形成に効果を発揮すると判断しています。
▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー
6月19日:「高配当利回り株」人気トップ12:アナリストの視点でチェック
6月18日:原油どうなる? 配当利回り4~6%の大手総合商社は、今買って良いか?
5月23日:利回り4.4%。「5万円以下」で買える好配当株
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。