米政策金利は据え置き、年内に利下げ示唆
19日(日本時間では20日午前3時)、米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)の結果が発表されました。米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は、FF(フェデラル・ファンド)金利の誘導水準を2.25~2.50%に据え置きました。
ただし、FOMC声明文には「先行きの不確実性が増しており、成長持続へ適切な行動をとる」と記載されました。年内の利下げを示唆した形です。FOMCメンバー17人によるFF金利予測では、17人中8人が年内に0.25%の利下げが1回あると予測していることも分かりました。
金融市場では、0.25%の利下げが、6月(19日)または7月(31日)のFOMCで実施されることを、ほぼ確実視していました。6月は利下げに動きませんでしたが、FOMC声明文で先行きの利下げを示唆したので、サプライズ(驚き)はありませんでした。
先行き利下げを示唆したFOMC結果を受け、米長期金利はやや低下、為替は一時1ドル107.89円とやや円高(ドル安)に動きました。
「長短金利逆転」継続、先行きの利下げを織り込み済み
FF金利(政策金利・短期金利)と長期金利の足元の水準を見ると、2006~2007年と同様、長短金利逆転(短期金利が長期金利よりも高いこと)が起こっていることが分かります。
米政策金利(FF金利)および長期金利(10年国債利回り)推移:2004年1月~2019年6月(19日まで)
長短金利逆転は「先行きの景気悪化・利下げ」を示唆していると言われることがあります。実際2006~2007年に長短金利が逆転した時は、まだ米景気が好調でしたが、その後、08年にリーマンショックが起こり、長短金利とも急低下しました。
2019年になって「長短金利逆転」が起こったときも、当初は「米景気悪化」の兆しととらえられ、NYダウが売られる要因となりました。
ただし、最近は、長短金利逆転を、そのように悲観的に見る向きは減りました。FRBは2018年に4回利上げしましたが、それが政策ミスだったと捉えられています。米コア・インフレ率が2%前後に留まっている中で、FF金利を無理に引き上げ過ぎたため、長短金利逆転が起こったと見られています。
米コア・インフレ率および平均賃金上昇率の推移:2011年1月~2019年5月
米長短金利(10年、2年、3カ月金利)の推移:2018年1月2日~2019年6月19日
日本株は長期投資で買い場の見方を継続
中国景気の悪化が鮮明になる中、米景気は好調を保ってきました。それでも、長短金利逆転に、米景気の先行き減速が織り込まれ始めています。
現時点では、来年にかけて米景気は減速するものの、景気後退には至らないという見方が主流ですが、先行きは注意してみている必要があります。このまま、米中貿易戦争・ハイテク戦争がどんどんエスカレートしていくならば、米景気まで後退に至る可能性が高まります。現時点でのメインシナリオでは、来年大統領選挙を控えるトランプ大統領は、年内どこかのタイミングで中国との貿易戦争を「一時休戦」のかたちに持っていくと見ています。
日本株は、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどの株価指標で見て割安であり、長期的に買い場と見ています。配当利回り4~6%の大型高配当利回り株から投資していくべきと考えています。
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