今日は、5月の人気優待銘柄についてコメントします。

5月入りしたからと言って、5月優待銘柄から投資銘柄を選ぶのは、必ずしも合理的でない

 最初に申し上げるべきは、「5月だからと言って、5月優待にこだわる必要はない」ということです。私は、優待銘柄に投資するならば、

【1】    自分にとって魅力的な優待内容で、
【2】    使い勝手が良く、
【3】    株価が安値圏にあり、
【4】    業績が堅調な銘柄を、


選びたいと思います。

 日本株で優待を実施している銘柄は年々増えていて、現在1,478あります。日経平均下落で、長期的な投資魅力が高まった銘柄はたくさんあります。私は、その中から、条件に合う銘柄を、自由自在に選びたいと思います。

 5月に株主優待を実施している銘柄は、たった31しかありません。そのように限られた範囲から、投資銘柄を選ぶのは、合理的とはいえません。

月別の優待実施銘柄数:2019年4月24日時点

出所:楽天証券「株主優待検索」

 2018年8月に、楽天DI(皆さまに実施しているアンケート調査)で、株主優待に関してアンケートを実施しました。「優待銘柄をいつ買いますか」という問いに対し、62%の方が「欲しい時」、23%の方が「権利確定月」とお答えになりました。「欲しい時」という答えは特に問題ありませんが、「権利確定月」に買うというのは、必ずしも合理的でないこともあります。

5月の人気優待銘柄トップ10

 5月の優待銘柄、人気トップ10【注】は、以下の通りです。

【注】人気トップ10
 5月優待銘柄について、楽天証券のお客様で保有している株主の数が多い順に、上位10社をピックアップしました。

 ご参考までに、5月の優待銘柄、人気上位10銘柄は、以下の通りです。

人気 順位 コード 銘柄名 株価:円 最低投資 金額:円 配当利回り 優待内容
1 2698 キャンドゥ 1,712 171,200 1.0%  優待内容
2 2792 ハニーズHD 1,031 103,100 1.9% 優待内容 
3 1419 タマホーム 1,073 107,300 4.8% 優待内容
4 2493 イーサポートリンク 1,127 112,700 0.4% 優待内容
5 7921 宝印刷 1,717 171,700 2.9% 優待内容
6 3472 大江戸温泉リート投資法人 86,900 1株:86,900
優待を得るには
5株保有必要
2.7% 優待内容
7 3160 大光 680 68,000 1.2% 優待内容
8 3201 日本毛織 902 90,200 2.7% 優待内容
9 6552 GAMEWITH 863 86,300 配当なし 優待内容
10 8908 毎日コムネット 778 77,800 3.3% 優待内容

出所:楽天証券「株主優待検索」

 上記10銘柄は、すべて5月末に権利が確定します。「いつまでに買わないと優待や配当の権利が得られないか」については、以下の「権利付き最終売買日」をご覧ください。

2019年5月末に権利が確定する銘柄の「権利付き最終売買日

 

 2019年5月末に配当金や優待の権利が確定する銘柄の「権利つき最終売買日」は5月28日(火)です。28日(火)までに買えば権利が得られますが、29日(水)に買っても、権利は得られません。29日(水)は、5月末の配当や優待の権利がなくなる日なので、「権利落ち日」と言います。

 なお、優待内容は、予告なく変更されることもありますので、常に最新の情報をチェックしてください。楽天証券HPでは、1カ月ごとに優待内容を更新しています。

>>楽天証券 株主優待情報

人気トップ10銘柄の業績をチェック、4社が今期営業最高益を見込む

 優待銘柄を選ぶ時、「優待内容の魅力」だけで決める方がいますが、株式投資である以上、最低限、足元の業績はチェックしましょう。まず、人気トップ10の今期の連結営業利益(会社予想)を見てください。
 今期とは、5月決算銘柄では2019年5月期のことで、11月決算銘柄では2019年11月期のことです。

5月優待人気トップ10の連結営業利益と営業利益率:今期会社予想ベース

出所:各社決算短信より作成

 上の表で、見ていただきたいのは、以下3点です。
【1】    今期の営業利益(会社予想)が50億円以上か? 
【2】    今期、営業最高益を更新する予想か? 
【3】    今期の営業利益率(会社予想)が8%以上か?

優待投資は、短期投資ではなく長期投資になるので、収益基盤がどれだけ堅固か見る必要があります。そのために、上記3点をチェックしました。チェック結果は以下の通りです。

注:楽天証券経済研究所が作成

  まず、【1】を見てください。×がついている企業が8社あります。営業利益が50億円に届いていないということです。利益規模が小さいということ自体、長期的に収益が不安定になる可能性もあると考えるべきです。

 利益規模が小さくても、高い成長性が見込まれるならば、問題ありません。そこで、【2】を見てください。最高益更新予想は4社しかありません。

【1】と【2】に両方×がついている企業が4社(キャンドゥ・ハニーズ・イーサポート・大光)あります。利益規模が小さいのに最高益を見込んでいない企業には、私は、積極的には投資したくありません。

 次に重要なチェックポイントが【3】です。営業利益率が高いほど、一般的に収益基盤が堅いと言えます。ここでは、4社だけ○がついています。残りの6社は収益基盤が堅固とはいえません。

私が投資してみてもいいと思う4社

 私が積極的に買いたいと思う銘柄は、特にありません。少し買ってみてもいいと思う銘柄は、4つあります。以下です。

◆タマホーム
 住宅建設会社で、低価格住宅に強み。業績が好調で、予想配当利回りが4.7%と高いので、少し買ってみても良いと思います。ただし、住宅株は、長期で安心して保有できるとは思いません。消費税引き上げ(今年の10月)以降に、業績が落ち込むリスクがあるからです。

◆宝印刷
 有価証券報告書など、上場企業の開示関連書類の作成・印刷が主力。プロネクサスと宝印刷の2社が高度なノウハウを持ち、実質2社で市場を占有しています。業績は安定的に推移すると予想されます。ただし、成長性はほとんど見込めません。将来、電子開示が普及するとビジネスが減る不安もあります。

◆日本毛織
 毛紡績の老舗だが、繊維事業では収益をほとんど稼げていません。都心の不動産などを再開発して得た賃貸不動産からの収益が柱。業績は安定的に推移すると考えられますが、成長性は見込めません。

◆毎日コムネット
 今期、4期連続で経常最高益を更新の見込みです。10社の中で、一番投資魅力が高いと考えます。ただし、規模が小さいので、将来にわたってビジネスが磐石かどうか、現時点で分かりません。

 

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