2018年8月ごろから年末にかけては110円台から114円台の「円安相場」が
続いていましたが2019年年始に一転。
2019年1月3日早朝に新年の東京市場が始まるとほぼ同時に「フラッシュクラッシュ(瞬間的暴落)」が発生。ドル/円は1ドル=108円台の後半から104.01円まで一気に急落しました。その後、数日のうちに109円台まで回復してきますが、今年の為替は波乱の予感です。
今回は、なぜこのような動きになったのか、初心者の方にもわかるように「為替の動き」をお伝えします。
新人のみや:トウシル編集者。為替について何も知らない超初心者。
あらちじゅん:楽天証券FXディーリング部。元スイス銀行コーポレーション(現UBS)で勤務。
なぜ円高になったの?
みや:1日でドル/円が5円も円高! FX(為替)をしていた人だいじょうぶだったのかな。
あらち:ドル/円が「円高方向に動くかも」って2018年の12月頃から言われていたんだけど、これだけ一気に下げるとは……。
みや:なんでこんなに下がったの?
あらち:FXは基本的に24時間取引できるというメリットがあるけどクリスマスや年末年始は取引する人が少なくなるんだ。だから、普通の時よりも値動きが荒くなりやすい。この時期は、取引をしないとか、大きく動いても大丈夫なように金額を減らしたり、預けるお金を増したりして対策が必要だよ。
みや:今年のゴールデンウィークやクリスマスも要注意ですね。
アメリカの金利に注目
あらち:今回は、アメリカの中央銀行である「FRB(米連邦準備制度理事会)の大きな政策転換」、も大きな理由だね。
みや:金利については「超初心者でもわかる!なぜ今、円高?」で、金利が上がると「ドル高・円安」になるって教えてもらいました。
あらち:その通り。いまアメリカは、2018年に4回も政策金利(フェデラルファンド金利)を上げて、いまは2.5%。ちなみに、日本の政策金利は▲0.1%。
※政策金利(フェデラルファンド金利)…中央銀行が一般の銀行に貸し付ける際の金利のこと
みや:それって、アメリカ(ドル)に預けたらお金が増えるってことですよね。アメリカ(ドル)に預けたくなります。
あらち:投資家の人もその考えなんだ。円を安い金利で借りて、それをドルに換えて高い金利で運用する。その結果、ドル高/円安が進んでいくんだよ。
金利の利上げはなんのため?
あらち:FRBの「利上げ」は、「これまで低すぎた金利を、普通の状態に戻している」とも考えられるんだ。
みや:どうゆうことですか?
あらち:世界経済は10年前のリーマンショックで深い傷を負ってFRBはアメリカ経済を立ち直らせるために低金利政策などのいわゆる「緩和政策」を続けてきたんだ。FRBは2015年に9年半ぶりに利上げに踏み切ったのは、アメリカ経済のリハビリ期間が終わったと判断したから。
みや:利上げに耐えられるほど経済の力が回復したということですね。
あらち:FRBにしてみると、金利を高くするというより、正常な状態に戻しているといった考えなんだよ。
みや:一方で日本は低い金利。
あらち:日本経済は、まだまだゼロ金利という助けが必要だ、と日銀が考えているからね。日本とアメリカの金融政策から見ると、アメリカ経済の強さがはっきりするよね。
日本よりアメリカは「業績が良い」のだから、アメリカにお金が集まるのは当然で、ドル高/円安は当然の動きともいえるよ。
急に円高になったのはなぜ?
みや:でも2018年の後半は113円の円安でしたよ。「円高」に急になったのはなんで?
あらち:FRBが昨年4回利上げして、政策金利を2.5%まで引き上げたってことはさっき話したよね、2019年もFRBは利上げを続けて政策金利は「3%以上になる」だろうという見方だったんだ。ところが、昨年末になって、パウエルFRB議長が「利上げはしばらく見送る」的な発言をしたので大変。
みや:これからも強くなると信じていたアメリカ経済に異変が起きはじめたのではと、投資家が恐怖を感じはじめたってことか。
あらち:まだ異変と呼ぶほど異変が起きてるわけじゃない。でもこれまでの勢いはなくなったことを感じて、期待で動いた分を削り落としてるところ。それが今回起きた「ドル安/円高」の理由だろうね。
今後の為替はどうなるの?
あらち:この「ドル安/円高」が単なる調整なのか、それとも大きなトレンド転換のきっかけになるか。正月が過ぎてからは投資家が増えて、ドル/円の買い手も現れている。ドル/円は110円近くまで戻ったけれど、1月3日の動きは今年のドル/円の方向を暗示しているように思えるな。
みや:雲行きが怪しいですね。
あらち:FRBは「今年、1回程度利下げする」という噂もあるよ。昨年までの「ドル高の動き」は、「FRBの利上げと、それを意味するアメリカ経済の強さ」だとすると、「利上げ中止から利下げへの大転換をきっかけにドル高の流れが逆転する」かもしれない。
みや:ドルが売られるかもしれないですね。投資家の人は代わりにどんな通過を買おうとしているんですか?
あらち:うーん。ユーロも経済はそれほど明るくないようだし、ポンドもイギリスがEU脱退(ブレグジット)で危なくて手が出せない。そしたら、やっぱり円になるのかな。
みや:円?
あらち:日銀がこれから利下げする余地は残されていないから、日本と米国の金利差はこれ
から縮まっていくんじゃないかな。アメリカが利上げ中止なら高金利通貨がまた魅力的になってくるかもしれない。でも、今年はまだ始まったばかりだからね。米中貿易戦争とか、原油価格とか、いろんなことを総合的にみていくことが大事だと考えているよ。
初心者にもできるFX(為替)のやり方を教えて!
みや:FX(為替)のおススメのやり方ってありますか?
あらち:FX取引手法はいろいろあるけれど、いつでもどこでも必ず勝てる方法というのは残念だからないんだ。でも必ずおさえて起きたい証拠金の考え方について話すね。
「証拠金」とは
みや:しょうこきん?
あらち:FXは投資するときに、証券会社など取引業者にお金を預けるお金が「証拠金」。例えば、FXに投資する「出資金」だと意識することが大切。証拠金に100万を用意して、その範囲でFX取引をしよう、じゃなくて100万を出資して、それでいくら利益を上げようと考える。
利益を少しずつ出す
みや:100万円を1年間で110万円にしたい!
あらち:その考えいいね。そんな少し? と思うかもしれないけど、100万円を1カ月で2倍にしよう、と考えると失敗する。
1年間で10万円って、年10%の利回り。円預金がほぼ0%だから、これでもかなり積極的な投資なんだ。
みや:目標が決まった! どうしたらいいの?
あらち:分解して考えていこう。
年間10万円という目標を達成するには、1カ月に約10,000円の収益を出せば余裕をもってクリアできる。1カ月10日間取引するとすれば、1日1,000円※勝てば達成できるね。
※手数料等は考慮していません。
みや:そうか! でも予測するなんてできないよ。
あらち:ドル/円を1枚(10,000ドル)で取引するなら、1,000円の収益をつくるのに0.10円あればいいことになる(10,000ドル x 0.10円 = 1,000円)。※2枚の場合0.05円。
ドル/円が110円の場合、それがいつ115円になるか105円になるか予想するのは難しいし、そこまでポジションを持ち続けるのはしんどい。でも110円が110.10円になるか109.90円なるかは、相場を見ていればある程度分かると思う。5円を狙うよりも、0.10円を確実にとる。
あと、自分の予測にとらわれないこと。絶対円高!とか、絶対円安! という思いこみが激しいと、反対に動いたときの脱出も遅れる。「マーケットは常に正しい」という気持ちをもって、予測(prediction)よりも反応(reaction)すること。
みや:私でもできるかな。
あらち:できるよ。もちろん、負けることもある。投資において必ず勝とうとする人ほど、大負けするんだ。1カ月に1万円負けても、それより多く勝てばいい。だから「ストップロス」を使ってみて。
みや:ストップロス?
あらち:ストップロスは、「損切り(そんぎり)」のこと。為替において負けは必ずある。大事なのは負けないことより、負けをコントロールすること。
みや:買うときに、売ることも考える必要がありますね。
あらち:それが大事。損切り設定は、簡単にできるからやってみて。
さっき1日1,000円の収益を目指すといったけど、そこで10,000円負けてしまったら、元に戻すには10日間勝たなくちゃいけない。そのバランスをコントロールすることが、最終的に勝ち残る秘訣だね。
みや:大きな流れを見ながら、やってみようかな。
あらち:ちなみに、今ドル/円は、それほど動いていないよ。なぜなら金利が決まるFOMC(米連邦公開市場委員会)が1月29日(現地時間)からあるんだ。その動きを待っているんじゃないかな。
みや:FOMCでどう動くか見てみてみます! あー本当にできるかな。
あらち:考えるほど難しくないよ。まずは少額でやってみたら?
あらち:平日毎日午前中「毎ヨミ!為替Walker」で為替予想をしているよ。毎日見ると世界の動きや為替の動きが分かるよ。
みや:はい! ぜひ見てみます。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。