しんた:高校2年生。中学からお年玉のお金で運用をしているインテリ高校生。クイズ研究部の部長

 

ひな:しんたの同級生。クイズ研究部の部員

 

 

先生:社会担当で、クイズ部顧問のくるみ先生

 

 

中国のファンドは何があるの?

ひな:しんた君、ファンドを選ぶポイントとして、前々回で「人口」に注目して、前回で「人口が最も多い中国」に注目してきたね。

しんた:今回は、中国関連のファンドを探してきました!

ひな:楽しみ!
しんた:前回(人口世界一の中国は、実際どうなの?)で、今後の資金流入期待が最も高い「中国A株」に注目したよね。だから、できるだけ中国A株の組み入れが多いファンドを探すことにしたんだ。
ひな:そうだ! A株!

先生:「代表的なインデックスファンドへの採用が始まって、来年2019年以降も比率が上がっていきそうだから、資金流入期待が大きい」って話だったね。

しんた:まずは、ファンドが検索できる楽天証券の「投信スーパーサーチ」で、「中国」または「チャイナ」が入っているファンドを探したんだ。ひなちゃん、スマホかPCでやってみてくれる?

ひな:え? 実際にやってみるの?
先生:ファンドの探し方をマスターすれば、「中国」だけではなくて、別のテーマでも自分で見つけて、ファンド選びができるようになるよ。

ひな:はい。えっと…。「中国」が27件、「チャイナ」が15件あるね。
しんた:合計で42件ヒットするんだけど、「中国株」ではないファンドの「中国元コース」とかもヒットするので、明らかに違うものは外すんだ。すると、20~30件くらいに絞られるから、それぞれの「月次レポート」を開けてみる。 ※2018年10月末基準

 

どんなファンドがあるの?

ひな:「月次レポート」はファンドの主要情報が“ギュッ”と入っているレポートだよね(第5話参照)。

しんた:うん。レポートを開けてみると、月次レポートに「A株」の比率が記載してあるファンドが結構あるんだ。やっぱりみんな、「A株」に注目しているんじゃないかな。
ひな:どれどれ。ホントだ! 「A株」比率、載ってる!

先生:組み入れ銘柄は金融系が多いけど、「アリババ」「テンセント」といった最近の大手企業もちゃんと入っているね。

しんた:この後は、中国A株への投資割合が高いファンドを探せばいいんだ。僕がピックアップしたのは、次のファンド。

(1)DIAM中国A株ファンド:A株比率 83.1%(アセットマネジメントOne)
(2)チャイナ・グッドカンパニー:A株比率 72.62%(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
(3)チャイナ・ロード:A株比率 25.2%(岡三アセットマネジメント)
(4)JPMチャイナ・アクティブ・オープン:A株比率 20.8%(JPモルガンアセットマネジメント) 

しんた:この4つに加えてあと1つあるんだ。
ひな:とっておきの銘柄があるのね。
しんた:そう! 「中国のA株」で調べると、上海A株と深センA株があったから「上
海」と「深セン」でも検索したら、ひとつだけヒットしたんだ。

(5)深セン・イノベーション株式ファンド:A株比率 84.9%(日興アセットマネジメント)

ひな:! ほとんどA株!
先生:(4)と(5)って、A株比率が約85%と約21%じゃあ、だいぶ値動きが違ってきそうね。
ひな:ほんとだ!

しんた:月次レポートを見て、比較表を作ってきたよ。下の表を見て。

先生:A株比率は、変更になる可能性もあるし、(1)(2)(5)は変わらないと思うけど、残高は多いほうがいいよね。あまり少なくなると、ファンドが「償還」するリスクもあるし。
 

しんた:「償還」って閉店する、ってことね。ファンドの運営費用が少なくなると、起こる場合があるんだって。ファンドを比較するときには「残高」(純資産)の確認も重要だよ。

ひな:了解! あ、設定日が近いものもあるね。「設定日が近いときは、基準価額が高いほうが運用上手」ってこと?

先生:今の段階ではそう読み取れる。ずっと保証されるわけではないけどね。

ひな(3)と(4)は、びっくりするくらい基準価額が違うよ!
先生:比較表の最後を見て。
ひな:累計分配金? これ、何?

しんた:一定のルールで配当を出すファンドがあるので、載せておいたんだ。ひなちゃんが比較している基準価額に直すと、(3)のファンドの基準価額は7,772円じゃなくて、3万4,660円になる。
ひな:はじめから、そっちを載せればいいじゃん!

先生:まあまあ。いずれにしても「(3)より(4)の方が今のところ運用が上手」ってことね。
しんた(1)より(2)、(3)より(4)の方が銘柄数は少ない。だから銘柄選定がうまく行ったイメージですね。

これからの中国のファンドはどうなる?

ひな:これからはどうなんですか?
先生:それが分かれば、いいんだけどね~(笑)。

しんた:ほかにも材料を検討してみよう。もう一つ比較表を作ってきたんだ。

しんた:先生がさっき言ったとおり、組み入れ銘柄・業種の傾向を見てみると、銀行・保険などの金融系が上位に来ているファンドが目立っているね。

ひな:先生、「ここまでは」ですよね。この間、中国のシャドーバンキングが危ない、って書いてありました。金融系はちょっと微妙な感じなのかも……。

しんた:僕はね、IT(情報技術)が気になっているんだ。深センって、アメリカのシリコンバレーの中国版と言われていて、これからを担う企業がたくさんあるんだって。
 今後の中国の成長を期待して、長期投資目線で行くとなると、既に巨大なアリババ・テンセントよりも、「これから」の企業に投資したいな。

先生:いい投資家ね。だけど、昔ITバブルでITがもてはやされたとき、あまりに期待が大きすぎたので、株価が急騰した結果、その後急落した経緯があるから注意は必要よ。最近もアメリカIT系の株価が上がった後に、下げ始めている。それに中国はマーケットが開いたばかりで分からないことも多い。

しんた:う~ん。買うのが怖くなってきた。

ひな:あああ、難しくて、選べないよー。
先生:「とりあえず、買う」ことも手だけど、「値動きを少し見てみる」っていうのはどう? ここに出てきた5銘柄と、A株がほとんど入っていない何かの中国株銘柄を探してきて、計6銘柄でこれからどのような値動きになるか、検証すると、何か分かるかも。

ひな:賛成!

しんた:3カ月後に比較しよう! どうなっているか楽しみ。
ひな:投資する前に自分で予想しながら検証するのって勉強になるね。