過去3カ月の推移と今回の予想値
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前回のレビュー
今週12月7日に、米国の11月雇用統計が発表されます。予想データをチェックする前に、米雇用市場のトレンドをおさらいする意味で前回の結果を振り返ってみたいと思います。
前回10月の雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が25万人増加と予想を上回りました。その前月の9月はハリケーンの影響が大きく11.8万人に下方修正となりましたが、FRB(米連邦準備制度理事会)は自然災害が理由の雇用の弱さを材料視することはありません。それでも2カ月を平均すると増加数は18.4万人と健全。平均労働賃金は、前年比では9年半の伸びとなる+3.1%まで上昇するなど、米国の雇用市場の強さを印象づける結果となりました。
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11月雇用統計の予想
今回11月の雇用統計は、市場予想によると、NFPは+20.0万人と相変わらず良い数字。歴史的低水準まで下がっている失業率は3.7%で変わらず。そして平均労働賃金は前月比+0.3%、前年比+3.2%にそれぞれ上昇するとの強気の予想になっています。平均労働賃金については、グラフでわかるように、ベース効果(比較対象の1年前のデータが低かったせいで、見かけが実力以上に見えること)もあるといわれていますが、それでもタイトな労働市場が賃金の伸びにつながり、今後も緩やかながら上昇傾向は続くとみられています。クリスマス商戦が近づくなか、雇用者つなぎ止めのために臨時ボーナスを出す企業も増えたようです。
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今回の予想を見る限り、マーケットを不安にさせる要素は見当たりません。とはいえ、先月中旬から、これまで強気一辺倒だったFRB高官の発言に微妙な変化が表れるようになったことは心に留めておきたいと思います。
クラリダFRB副議長は、「世界経済に減速のサインが出ている」として「FRBの金融政策は、それを考慮していく必要がある」と、利上げに対して慎重ともいえる見解を示しました。その後、クラリダ副議長は見解をやや強気に修正してバランスを保ったこともあり、あまり深読みする必要はないかもしれません。FRBは予定通り12月に利上げ、2019年も段階的な利上げを継続するという計画に変更はないでしょう。しかし、これには「経済データ次第」という条件が付与されているのです。
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今回のポイントは?
したがって、今回11月の雇用統計では、雇用者数の増加や平均労働賃金が、「経済データ次第」という条件をクリアするほど良いかどうかを点検することが重要な作業になります。さらに、労働市場に貿易戦争という病巣がないかを診断することも大切。とくに、貿易戦争の影響を受けやすいといわれる製造業の雇用には注意する必要があるでしょう。
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