先週の日経平均は大きく下落し、週末26日(金)は2万1,184円で取引を終えました。前週末終値(2万2,532円)からは1,348円の下げ幅です。

 本題に入る前に、まずはおわびから始めなければなりません。前回は週足チャートに現れた「十字線」に注目し、「迷いを示しながらも形はさほど悪くないので、何かきっかけがあれば株価は戻しやすい」と判断しましたが、ふたを開けてみれば逆の結果になってしまい、見通しを大きく外してしまいました。

 想定していたよりも弱い相場地合いだったことになりますが、前回の反省を踏まえて、あらためて足元の状況を再確認します。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年10月26日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 先週の日経平均の値動きは、週初の22日(月)こそ反発し、2万2,600円台まで値を戻して始まったものの、翌23日(火)からは下落基調に転じ、そのまま週末まで陰線が続きました。また、株価水準に視点を向けると、2万2,000円台割れ、そして「窓」を空けての2万1,000円台割れが意識されるなど、一気に水準が引き下がってしまった格好です。

 実際に、先週の日経平均の安値は2万0,971円と2万1,000円台割れの場面があったほか、先週の下落によって、これまでの下値切り上げ基調が完全に崩れてしまっています。さらに、下の図2にもあるように、TOPIXについては連日で年初来安値を更新しています。

■(図2)TOPIX(日足)の動き(2018年10月26日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 先週までは、株価急落の落ち着きどころを探りつつ、次の展開に向けた「踏み台」作りをしているようにも見えたのですが、結局は下値を探る動きになったことで、「好調な企業決算が外部要因による懸念(米中摩擦、中国の景気減速など)を押さえ込んで株価は上昇していく」という強気シナリオがいったん矛を収めることになりました。とりわけ、先週末の26日(金)の株価下落は、アマゾンやアルファベット(グーグル)といった米企業の決算がネガティブに受け止められたことが相場の足を引っ張った面があります。

 決算自体はサプライズと呼べるほど悪い内容ではなかったのですが、前々回でも触れたように、「将来の稼ぐ力(業績見通し)」に対して楽観的な見方が後退したことが大きかったと言えます。今週も日米企業の決算が相次ぎ、下落のアクセルとなるのか、それとも反発ののろしになるのかが焦点のひとつになりますが、その中でもアップルの決算(11月1日)が注目されそうです。

 また、今週は月跨ぎで、日米ともに経済指標の発表が多い(米雇用統計など)ほか、日銀金融政策決定会合も開催されるなど、企業決算以外のイベントも多く控えています。さらに、イベントと言えば、来週11月6日の米中間選挙前ということで、政治的な発言や動向にも留意する必要があります。

 そして、今週で10月相場が終わるわけですが、月初め(10月2日)の取引時間中には2万4,448円の高値をつけていたことを考えると、短い間で相場のムードが大きく変化し、急ピッチで株価が下落してきたかが分かります。

 それだけに、「さすがに下げ過ぎ」、「そろそろ落ち着きたい」という心理が値動きに反映されそうなタイミングでもあるため、動きづらい環境の中で悪材料への感応度が弱まるのかがもうひとつの焦点になりそうです。

 下げ過ぎ感といえば、下の図3は日経平均の25日移動平均線の乖離(かいり)率を示しています。

■(図3)日経平均(日足)の動き(2018年10月26日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 先週の25日(木)に、日経平均の25日移動平均乖離線が今年2月以来となるマイナス8%水準を超えてきました。日経平均の25日移動平均乖離率は通常で±3%、大きく動いて±6%ぐらいの範囲内で推移することが多いことを踏まえると、確かに売られ過ぎていると言えます。

 次に、先週の株価下落が中長期的に与える影響については、週足チャートで見て行きたいと思います(下の図4)。

■(図4)日経平均(週足)の動き(2018年10月26日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 これまでにも度々紹介してきましたが、週足ベースの日経平均は、2016年初旬に形成した「トリプルボトム崩れ」を起点にトレンドラインを描き、その線を挟んで強気と弱気を繰り返しながら上昇してきました。

 10月頭にはトレンドラインへの復帰が手の届くところまで来ていたものの、現在ではこれまでのサポートとして機能してきた52週移動平均線をも大きく下抜けしています。できるだけ早い段階で52週移動平均線の水準に株価を戻せないと、中長期の上昇トレンドが終了してしまい、今度は2万4,000円台乗せを頂点とした「ダブルトップ」といった天井圏形成のシナリオも選択肢として浮上してくることになります。

 今週は、株価の下落一服や、反発のきっかけを探り、株価水準を「元のサヤ(鞘)」に戻す相場展開に期待したいところですが、最後にひとつだけ注意したい点があります。下の図5は先ほどの図1と同じ直近の日経平均の日足チャートです。

■(図5)日経平均(日足)の動き その2(2018年10月26日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 その注意したい点というのは、先週の半ばから週末にかけて形成した、「窓空けで下落した後に陰線が2本続く」というローソク足の組み合わせです。これは「下放れ二本黒(したばなれにほんくろ)」と呼ばれていて、暴落の前兆になることが多いとされ、意外と要注意な形です。

 この「下放れ二本黒」は、いわば北斗の拳でいうところの「死兆星」のように、これが現れると死亡フラグに近いイメージになりますが、実はつい最近にも出現していました。具体的には、10月5日・9日・10日の3営業日がこれに該当するのですが、実際に図5を見ると、その後の日経平均が急落していることが分かります。

 そして、この相場の死兆星が足元で再び輝きを放っているわけです。そのため、日経平均がさらにもう一段階下げてしまう展開もあり得ることは想定しておく必要がありそうです。