先週の日経平均は「三角もちあい」の中で反発
先週の日経平均株価は、1週間で331円上昇して、2万2,601円となり、「三角もちあい」の上を目指す動きとなりました。
日経平均週足:2017年7月3日~2018年8月24日
日経平均は、年初から大きな「三角もちあい」を形成しつつあります。7~8月は、狭いレンジで「上値が重く、下値は堅い」動きが続いてきました。テクニカル分析で見ると、そろそろ「もちあい」の終盤に入りつつあり、上か下へ放れる可能性が意識されます。
ただし、相場材料を見ると、あいかわらず、好悪材料ががっぷり四つに組んだ状況です。今しばらく、2万2千円台での膠着が続くと考えています。
米国株は好調
強材料の中で特に注目されるのは、米国株の強さです。米景気は好調で、米国に世界のマネーが集まる傾向は、変わっていません。NYダウは、年初から日経平均と同様の「三角もちあい」を形成していましたが、既にもちあいを上放れしています。
NYダウ週足:2017年7月3日~2018年8月24日
IT大手、ハイテク株の比率が高い、米ナスダック株価指数は、最高値更新が続いています。
米ナスダック株価指数週足:2017年7月3日~2018年8月24日
NYダウ上昇の背景はとても複雑です。「米利上げが加速する不安が低下したのを好感」が、もっとも妥当な説明と思います。「米景気は好調だが、利上げが加速することはない」、つまり、米国株にとって都合いい「ぬるま湯」相場継続の期待が出て、株が上昇していると思います。
先週起こった出来事と関連づけると、以下のように解釈できます。
トランプ大統領弾劾のリスク
トランプ米大統領の「ロシアゲート疑惑」捜査が進展し、先週は、トランプ大統領が弾劾罷免される可能性が取りざたされました。選挙資金法違反で起訴された元顧問弁護士が法廷で罪状を認め、トランプ氏の指示であったと証言したためです。トランプ大統領がロシアと共謀して、大統領選で世論操作をした疑惑が強まりました。
トランプ大統領は、「自分が弾劾されれば(株は)暴落する」と警告を発しましたが、NYダウは逆に上昇しています。11月の米中間選挙前に弾劾が行われる可能性は低いと考えられることから、株式市場への悪影響は出ませんでした。
大統領弾劾の可能性には、株式市場にとってプラスの面もあります。まず、トランプ大統領が貿易戦争をエスカレートさせることへの牽制になる可能性があります。また、米FRB(連邦準備制度理事会)に対し、利上げを加速させにくくする効果もあります。大統領弾劾や米中貿易戦争エスカレートのリスクなど、不透明要因が増えてきたことで、経済は好調でも、米FRBは利上げを加速させにくくなったかもしれません。
ジャクソンホールで24日、パウエルFRB議長が講演
パウエルFRB議長が、今後の利上げについてどのような話をするか、注目されていました。これまで通り利上げを継続する方針を語ったことは、事前の予想通りです。それでもこの講演は、ハト派(利上げに慎重)色が垣間見えたと判断されました。
「インフレ加速の兆しがない」「政策金利が中立水準に近づいている」との発言が、「利上げ加速には慎重な」ハト派的発言とみられました。
利上げ加速はないと捉えた株式市場では、NYダウがさらに上昇する材料となりました。
トルコリラの下落は小休止
先週、トルコリラの急落にはブレーキがかかりました。米利上げが加速する可能性が減ったととらえられたことが、プラス材料となりました。ただ、先行きは予断を許しません。
23日に予定通り、米中間で、制裁・報復関税発動
先週は23日に予定通り、160億ドル相当の中国からの輸入品に米国が追加関税をかけました。中国も予定通り、即日で米国からの同額の輸入品に報復関税をかけました。22~23日に米中間の事務レベルで通商協議がありましたが、特に新しい決定はありませんでした。
この制裁・報復関税は事前予想通りで、相場材料とはなりませんでした。今後、米中貿易戦争がエスカレートするのか、収束に向かうのか、注目が続きます。
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