今回は、実際の給与明細書を見ながら、チェックすべきポイントを一緒に確認していきたいと思います。
「よく分からない」と、振込み額だけ確認しないよう、最低限のポイントは押さえておきましょう!
 

給与明細書の構成要素は3つ

 今回は、実際の給与明細書を見て、最低限見るべきポイントを一緒にチェックしていきましょう。
 給与明細は通常、「勤怠」欄と「支給」欄、そして「控除」欄の3つで構成されています。

「勤怠」…その月に何日出勤して何日欠勤したか、労働時間はどのくらいだったか、残業は何時間したか、といった勤務状況が記載
「支給」…勤怠の状況に応じて支払われる基本給や残業代、通勤費や各種手当がいくらかを記載
「控除」…支給額から差し引かれる税金や社会保険料がいくらかを記載

出所:ある会社の給料明細を参考

税金がかかる収入とかからない収入

 実際の給与明細書の「支給」欄をみてみましょう。

 「基準給」の欄に230,000円の記載があります。これがいわゆる「基本給」「固定給」と呼ばれるもので、会社との雇用契約に基づきあらかじめ決められています。

 その下の「時間外手当」がいわゆる残業代です。勤怠の欄をみると残業時間が10時間とあります。この残業時間に応じて25,000円の時間外手当が支払われていることが分かります。

 さらにその下の「通勤手当」は、会社が負担してくれている、自宅から会社までの通勤費(定期代など)です。この通勤手当は所得税などの税金が課税されるものと、課税されない(非課税)ものがありますが、通常、通勤手当は非課税であるのが一般的です。

 ただし、社会保険料を計算する際は、通勤手当も含めて計算されることになるので注意してください。

 

 

 

給料から控除されるのは主に2つ

 次に給与明細書の「控除」欄です。給料から差し引かれるものは主に社会保険料と税金の2つです。


 標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料を計算する際の基準となる給料の額で、毎年4~6月の、基本給の他残業代や通勤手当など含めた総支給額の平均をもとに決められます。 社会保険料は、具体的には「健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料」の3つです。公務員や会社員は、この3つを給料からの天引きにより自動的に差し引かれることになります。
 健康保険料は標準報酬月額の9.9%、厚生年金保険料は標準報酬月額の18.3%です。これを会社と従業員とが半分ずつ負担します。
 つまり、健康保険料と厚生年金保険料の合計で、給料の14.1%もの額が天引きされるということです。

 なお、若いうちは関係ありませんが、40歳になると、上記のほかさらに介護保険料が差し引かれることになります。

 雇用保険料は基本給、残業代、通勤手当など含めた総支給額に対して毎月0.3%が天引きされます。

 

結構な金額に驚く「控除」の金額

 給料から引かれるのは社会保険料だけではありません。所得税や住民税も差し引かれます。

 

 所得税は、非課税の通勤手当などを除いた支給額、給与明細書では基準給と時間外手当の合計額255,000円から社会保険料34,635円を差し引いた金額である220,365円に対してかかります。実際に天引きされる所得税は、「源泉徴収税額表」をみて計算します。

 さらに住民税も課税されます。住民税は、前年の所得の10%を、翌年6月分の給料から月割で毎月天引きされます。

 給与明細書の例では、通勤手当を除いた支給額255,000円に対し、社会保険料が34,635円、税金が20,480円、合計で控除額が55,115円となっていて、支給額の20%以上が差し引かれていることが分かります。通勤手当を含めた総支給額は265,000円ですが、振り込まれる金額は209,885円です。
 支給額が25万円でも、手取りは20万円そこそこ……これが紛れもない事実なのです。

 

社会人1年目の4月の給料が最も高い?

 なお、社会人1年目の4月の給料は、健康保険料や厚生年金保険料が引かれていません。でも、翌月以降も4月と同じくらい振り込まれると思っていると、5月から健康保険料や厚生年金保険料がドカッと引かれ、手取りも少なくなります。今のうちから心の準備をしておくのがよいでしょう。

 また、住民税が給料から差し引かれるのは社会人2年目の6月からです。こちらも油断していると、2年目の6月以降手取りが減ることになりますので、十分に注意しておいてください。

「社会人1年目の4月の給料が最も高い」と言われることがありますが、これは社会人1年目の4月の給料は、健康保険料や厚生年金保険料も、住民税も差し引かれていないためです。

 いかがでしょうか。給与明細書から、色々なことを読み解くことができます。
給料から20%以上もの社会保険料や税金が差し引かれていること、従業員だけではなく会社もかなりの社会保険料を負担していること、また勤怠をみれば残業代がしっかりと支払われているかを知ることもできます。

 会社員の方は、自営業の方に比べて社会保険や税金に対する意識が乏しいと言われています。それは社会保険料や税金の支払いが、会社が代わりに手続きすることで全て済んでしまっているからにほかなりません。
 給与明細書を定期的にみて、社会保険や税金に対する問題意識を高めておきましょう。

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