3月5日の日経平均株価は、一時2万1,000円を割れました。長期投資で、買い場を迎えていると考えています。今回は、読者から質問の多い、株主優待銘柄の買いタイミングについて、解説します。
株主優待制度とは
日本には、世界でも珍しい「株主優待」という制度があります。上場企業が株主に感謝して贈り物をする制度です。
株主には本来、配当金を支払うことで利益還元するのが筋です。ところが、日本の個人株主の一部に、お金(配当金)をもらう以上に、贈り物(株主優待)を喜ぶ傾向があることから、個人株主を増やしたい上場企業は、積極的に優待を実施しています。魅力的な制度なので、積極的に活用したらよいと思います。
3月の株主優待銘柄を、3月の権利つき最終売買日に買うのは「お得」か?
◆2018年3月の権利つき最終売買日は3月27日(火)
3月決算企業に投資して、2018年3月末基準の配当金や株主優待を受ける権利を得るためには、3月27日(火)までに買う必要があります。27日に買うと、ちょうど3月の最終営業日(3月30日)に、株主名簿に登載されるので、3月末基準の配当金や株主優待を受ける権利が得られます。3月27日を「権利つき最終売買日」といいます。
その次の営業日である3月28日(水)を、「権利落ち日」といいます。この日に3月決算銘柄を買っても、株主名簿に登載されるのは、4月2日(月)となりますので、3月末基準の株主優待や配当金は得られません。
2018年3月の権利つき最終日
株主優待が魅力的な3月決算銘柄を3月27日に買うのは、有利か?
買ってすぐに3月末の株主優待や配当金を受け取る権利が確定するので「お得」に感じる人が多いようです。そのため、人気の優待銘柄では、権利つき最終売買日に向けて、権利取りの買いが増えます。
ただし、現実には、直前に買って「お得」とは限りません。かえって、損なこともあります。権利つき最終売買日の買いが「お得」か「損」かは、直前の株価の動きによって決まります。
人気の優待銘柄は、権利付き最終売買日に向けて、権利取りの買いで大きく上昇することがあります。その場合、権利落ち日に株価が大きく下がる可能性が高くなります。配当金や株主優待を受ける権利が得られても、その価値以上に、株価が大きく下がっては意味がありません。権利取り直前に株価が大きく上がっている銘柄の買いは見送るべきです。
人気の優待銘柄では、権利落ちの1カ月以上前に買うのがよいこともある。
人気の優待銘柄や有名な好配当利回り株には、権利落ち日の1~2ヶ月前から、権利取りの買いが入ることもあります。人気の高い銘柄ほど、早めに権利取りの買いで株価が上昇し、権利落ち日には、株価が大きく下がります。
人気の優待銘柄や好配当利回り株は、権利取りの買いが入って株価が上がる前に投資した方がよいといえます。どれくらい前に買ったらよいでしょうか?銘柄ごとに、もっともよい買いタイミングは異なるので、一概には言えませんが、3月末基準の人気の優待株は、2月後半~3月初旬までに買った方がよいことが多いといえます。
ただし、2018年3月の優待取りについては、状況が異なります。2月から日経平均が急落したので、株価は、全般に割安となっています。人気の優待銘柄でも、株価が下げてきているものがあります。長期投資で、優待の魅力的な銘柄に投資していくには、よいタイミングと考えます。
株主優待ねらいの買いで、権利取り直前に株価が大きく上がりやすい銘柄、5つの特色
一般的に、以下5つの特色を備えた銘柄は、優待取りの買いで、権利取り直前に株価が大きく上がることがあります。
1. 株主優待や配当金を、年1回(本決算のとき)しか出さない。
2. 小型株。流動性が低い。
3. 優待利回りが高い(優待を金銭換算し、投資額で割って、算出する)
4. 使いやすい(誰もが必要とする日用品中心に幅広い選択肢がある)
5. マネー誌などで、人気の優待注目銘柄として紹介されている
このような銘柄に投資する場合は、権利つき最終売買日ではなく、その1~2カ月前に投資した方がよいといえます。
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