長期的な投資テーマとして注目!グローバル医療関連株式ファンド特集

近年、米国を中心とする先進国経済の緩やかな回復を背景に、先進国の株式市場は堅調に推移してきました。なかでも、先進国市場の医療関連株式に投資するファンドが、長期的にも短期的にも世界の株式市場全体を大幅に上回る運用実績をあげており、今世界中の個人投資家の注目を集めています。

医療関連株式とは

運用業界において、ヘルスケア・バイオ産業などと呼ばれ、世界主要先進国株式市場に上場する製薬、バイオテクノロジー、医療製品、医療・健康サービスなどを提供する企業のことをいいます。


<出所>国際投信投資顧問「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」投資信託説明書(交付目論見書)

上記は主なヘルスケア・バイオ産業の概要を説明するためのイメージであり、すべてがこれに当てはまるとは限りません。

医療関連株式が注目される2つの理由

その1:景気に左右されにくい安定性と高い成長性を兼ね備えたセクター

「医療」という分野は、私たちが健やかな生活をおくる上で欠かせない生活インフラです。景気の良し悪しにかかわらず、安定したニーズがあることから医療関連企業の業績も安定的に推移する傾向にあります。また、2014年以降も大型新薬の発売などが期待され、医療関連企業の今後の利益成長はますます加速すると予想されています。


<出所>JPモルガン・アセット・マネジメント作成資料

安定的な業績が期待される医療関連企業のなかでも、バイオ医薬品関連企業は長年にわたる研究開発の収穫期を迎え、日本でも話題となったiPS細胞など、新たなバイオ技術の開発が進んでいます。バイオ医薬品関連企業は、今後数年にわたり主要先進国株式市場を上回る成長が期待されています。


<出所>JPモルガン・アセット・マネジメント作成資料


<出所>ピクテ投信投資顧問作成資料

その2:先進国と新興国の双方で高まる医療ニーズ

いまや日本をはじめとする先進国のみならず中国でも、人口動態の高齢化、寿命の長期化に伴い、医療支出が増加傾向にあります。また、米国では、オバマケアの影響で新たな保険加入者が増加しており、医療需要拡大の追い風になると言われています。
一方、新興国では人口増加に加え、所得水準も上昇傾向にあることから、医療支出の増加が期待されています。特に、製造コストが安価なジェネリック医薬品の需要拡大などが期待されます。

先進国株式市場を上回る医療関連株式市場と優れた運用実績のアクティブファンド

下図は医療関連株式ファンドでも長期の運用実績をもつ「グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンBコース(為替ヘッジなし)」の設定来の運用実績です。まず、同期間に先進国株式市場(MSCIワールド・インデックス)が50%近く上昇したのに対して、先進国の医療関連株式市場(MSCIワールド・ヘルスケア・セクター・インデックス)は100%(2倍)超の上昇となっており、医療関連株式市場が長期にわたり先進国の株式市場を上回ってきたことが見て取れます。さらに、同ファンドは200%(3倍)超の実績を残しており、医療関連株式の市場平均を大幅に上回ってきたことがわかります。このように、相対的な運用力に優れたファンドが揃っていることも医療関連株式ファンドの魅力です。


<出所>国際投信投資顧問

  • 「グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンBコース(為替ヘッジなし)」にはベンチマークはありません。
  • 課税前分配金再投資換算基準価額は、当ファンドの公表している基準価額に各収益分配金(課税前)をその分配を行う日に全額再投資したと仮定して算出したものであり、国際投信投資顧問が公表している基準価額とは異なります。基準価額は、信託報酬控除後のものです。
  • MSCIワールド・インデックス(米ドル建て)、MSCIヘルスケア・インデックス(米ドル建て)を基に、国際投信投資顧問が円換算し、2000年7月28日を10000として指数化したものです。
  • 将来の収益分配金の支払いおよびその金額について保証するものではなく、委託会社の判断により、分配を行わない場合もあります。
  • 上記はあくまで過去の運用実績であり、将来の成果をお約束するものではありません。

ファンドアナリストが楽天証券ラインナップを分析!

現在、楽天証券ではグローバル医療関連株式を主な投資対象とするファンドを5本取扱っている。いずれのファンドも先進国株式ファンドのなかで相対的に良好なパフォーマンスをあげている。グローバル医療関連株式ファンドを選ぶときのポイントは、4つのサブセクターへの投資方針と決算回数だ。医療関連株式は、主に医薬品、バイオテクノロジー、医療機器、医療関連サービスのサブセクターで分類されるが、この4つのサブセクターへの投資方針は各ファンドに違いがあり、この違いがパフォーマンスの差に表れているようだ。医療関連株式の安定性に期待するのか、高い成長性に期待するのかなど、自分のニーズに合ったファンドを選んでほしい。もう一つの選定ポイントは決算回数だ。分配金が払い出される頻度が年1回、2回、4回、12回と違いがあることに加え、定期的に一定の分配金を払い出す傾向のファンドと、前期から基準価額が値上がった分を払い出す傾向のファンドがあるようだ。分配金の受け取り方も考えながら選んでみよう。

<楽天証券取扱いのグローバル医療関連株式ファンド>

ファンド名 運用会社 決算回数 直近6ヶ月
トータルリターン
直近1年
トータルリターン
直近5年
トータルリターン
(年率)
直近10年
トータルリターン
(年率)
グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンAコース(為替ヘッジあり) 国際 年1回 25.26% 45.86% 21.02% 7.80%
グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンBコース(為替ヘッジなし) 国際 年1回 30.01% 59.29% 22.85% 8.90%
グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド 国際 年2回 29.18% 57.89% 22.69% 8.81%
JPMグローバル医療関連株式ファンド JPモルガン 年4回 35.07% - - -
ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコース ピクテ 年12回 44.11% 96.20% 20.29% -

<出所>ISIDフェアネスのデータを基に楽天証券が作成(2014年2月末基準)

グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド

  • 4つのサブセクターの投資比率は、個別の銘柄選択を積み上げた結果と思われるが、結果的には4つのサブセクターに分散投資している。銘柄選択にあたっては、その時々に最も注目されている業種に集中投資する傾向にあり、医療関連業界の変化を柔軟に捉えた銘柄選択が強みといえるだろう。直近では高い成長が期待できるバイオテクノロジー関連銘柄への投資比率が高い。
  • 決算回数は年2回。原則として、基準価額が10,000円を超えた部分を分配するという方針で、前期(2014年2月27日)は2,796円の分配金を払い出している。値上がり分の利益を確定したいという投資家に適しているだろう。

グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンAコース(為替ヘッジあり)

  • 「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」と同じマザーファンドに投資しているため、組入れ銘柄やサブセクターの構成比も同じと考えてよい。Aコースは、為替ヘッジで為替リスクを抑制しているため、ファンドの値動きの大きさも抑えられている。医療関連株式市場の値動きのみを捉えたい、まとまった資金による投資のため値動きを抑えたいという投資家に適しているだろう。
  • 決算回数は年1回で、毎年100円の分配金を払い出す傾向にある。値上がり益をできるだけ内部留保して、複利運用で資産成長を目指す投資家に適しているだろう。

グローバル・ヘルスケア&バイオ・オープンBコース(為替ヘッジなし)

  • 「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」と同じマザーファンドに投資している。マザーファンドの実質的な運用を行うのは、ウエリントン・マネージメント・カンパニー・エルエルピー。同社は、インデックス運用の雄、米バンガード社の医療関連株式ファンドも運用しており、世界最大規模の医療関連株式マネジャーといえよう。
  • 決算回数は年1回で、毎年100円の分配金を払い出す傾向にある。為替リスクがある分、Aコースよりも値動きが大きいため、積立投資などに適しているだろう。

ピクテ・バイオ医薬品ファンド(毎月決算型)為替ヘッジなしコース

  • 医療関連株式のなかでも高い成長が期待されるバイオ医薬品セクターに集中投資。銘柄数も40銘柄程度に絞り込んでいるため、他の医療関連株式ファンドと比べて値動きは大きい傾向にある。バイオ医薬品セクターが好調であったことから、直近1年間のトータルリターンは96.2%と医療関連株式ファンドのなかで最も高い実績をあげている。
  • 医療関連株式ファンドで唯一の毎月分配型ファンド。足元の好実績もあり、毎月130円の分配金を払い出している。

JPMグローバル医療関連株式ファンド

  • 4つのサブセクターの構成比については、医薬品50%、バイオテクノロジー30%、医療機器10%、医療関連サービス10%を目途に、銘柄選択を行っている。市場平均と比べればバイオテクノロジーの構成比が高いものの、他の医療関連株式ファンドと比べるとその比率は抑えられているといえよう。同ファンドは2013年7月に設定され、同ファンドの運用実績は短いものの、投資先ファンドである「JPモルガン・ファンズ-グローバル・ヘルスケア・ファンド」(外国投資証券)は2009年10月から実績があり、市場平均であるMSCIヘルスケア・インデックスを大幅に上回る実績を残している。
  • 決算回数は年4回。過去2期分の分配実績があるが、いずれも基準価額10,000円を上回った値上がり益の部分を払い出す傾向にある。小まめに値上がり益を確定させたい投資家に適しているだろう。