7-9月の業務統計が好調、CML買収で物流事業さらに強化へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00598 中国外運股フン有限公司
(シノトランス)
 3.64 HKD
(10/27現在)

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 シノトランス(00598)が発表した2017年7-9月期の業務統計は力強い内容となった。フレイトフォワーディング業務の取扱量は前年同期比16.3%増、ロジスティクス業務の取扱量は同19.7%増。中国経済の堅調や貿易の復調が寄与した。同社は招商局集団から招商局物流有限公司(チャイナ・マーチャンツ・ロジスティクス:CML)を買収する計画であり、その対価としての新株割り当てをまもなく完了する見込み。売り手が利益保証を付けたこともあり、BOCIは2017年のEPS希薄化率がわずか0.5%にとどまるとみている。また、国内ロジスティクス業界の最大手としてのシノトランスの地位が強化されるとともに、長期的なシナジー効果が期待できるとみて、この買収を前向きに評価。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 最新業務統計を見ると、1-9月のフレイトフォワーディング業務のうち、海運の取扱量は前年同期比9.7%増、空運は10.8%増。総合ロジスティクス業務の取扱量は同17.8%増と、2016年1-9月の前年同期比伸び率を大きく上回った。

 また、同社が株式61%を保有する中外運空運発展(600270)の直近決算は好調で、17年1-9期の売上高は前年同期比21%増の42億3,500万元。純利益は36%増の9億7,100万元に達した。

 一方、CMLの買収は10-11月にも完了する見込み。売り手の招商局集団はCMLが17年、18年にそれぞれ5億6,000万元、5億8,000万元の利益を計上すると保証し、仮にこの金額を下回った場合は不足分を補償するとした。BOCIはこの点を考慮し、新株発行に伴うシノトランスのEPS希薄化が小幅にとどまると予想。2017年、2018年にそれぞれ0.5%、3.0%になるとみている。

 CMLの買収価格は総額54億5,000万元。この金額はCMLの2016年、2017年、2018年のPER換算で8.8倍、9.7倍、9.4倍に当たり、BOCIは適正レベルと受け止めている。買収によるシナジー効果としては、倉庫業務および投資におけるコスト軽減、購買力の強化、ネットワークの拡大を背景とする消費者向けサービスの向上、マーケティング費を含む契約ロジスティクス業務のコスト低減――などが見込めるという。CMLは中国全土で3PL(サードパーティーロジスティクス)事業を展開し、そのサービス網は国内150以上の都市をカバー。約326万平米の倉庫スペースや貨物車3万7,500台を保有する。

 BOCIはシノトランスの目標株価を2017年予想PER11.4倍の水準に設定。この目標値自体、香港市場や世界の同業銘柄の株価を明らかに下回るとし、同社株の値ごろ感を指摘している。また、コアビジネスの好調やCML買収によるプラス効果を前向きに評価し、同社株価の先行きに対して強気見通し継続した。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、中国の貿易が予想外に低迷する可能性を挙げた。