2017年7-9月期に利益回復、大型補修を経て生産事業が正常化

現地コード 銘柄名
00338 中国石化上海石油化工
(シノペック上海石化)
株価 情報種類
 4.63 HKD
(10/27現在)
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 シノペック上海石化(00338)の2017年7-9月期決算は、純利益が前期比136%増の15億2,600万元に達した(中国会計基準)。4-6月期の大型補修を経て、各種製品の生産・販売量が大幅に回復したため。精製事業の利幅改善や設備稼働率の回復を受け、粗利益率も4-6月の5.4%から、7-9月には10.8%へ大きく上向いた。BOCIは同社の利益見通しを据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 4-6月期に45日間にわたる大型点検・補修を実施した後、同社の業務は7-9月期に通常運転に戻った。四半期ベースの原油加工量は不明だが、各種石油製品、石油化学中間体、プラスチックおよびレジンの生産量は7-9月に前期比27-36%増、35-51%増、13-29%増。販売量は同28-98%増、23-81%増、2-36%増と、さらに高い伸びを示した。

 7-9月期の粗利益率は10.8%と前期比で倍増したが、これは主に大型補修を受けた設備稼働率の回復によるもの。同社は詳細を公表していないが、BOCIは7月後半からの原油価格の回復や国家発展改革委員会による2度のガソリン、ディーゼル油の値上げ(8月初めと9月半ば)のタイミングも精製部門の利益率改善を後押ししたとみている。同社の場合、原油供給のほぼすべてを輸入(海上輸送)に依存しており、物流過程におけるリードタイムの長さが一時的な利幅改善に寄与したという。

 2017年1-9月期の純利益は、中国会計基準で前年同期比1%減の41億元。9月末までの時点で、BOCIが示した17年通期予想純利益見通し(53億8,900万元)の76%を達成した。この先、原油急落などの事態が起きない限り、たとえ10-12月期純利益が前期比14%減少しても、通期予想を達成することが可能となる。

 一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは◇原油価格の急落とそれに伴う短期的な精製事業の利幅縮小、◇石油化学製品需要の萎縮とそれに伴う製品価格の低下――を挙げた。

 BOCIは2017年予想PBR(株価純資産倍率)1.8倍に相当する同社H株の目標株価を維持し、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。また、3カ月平均のAH価格差に基づいてA株目標を維持し、同社A株に対しても強気見通しを据え置いている。