前日(10月31日)の市場概況

ドル/円:一時113円割るも、その後反発

 この日のドル/円は東京市場で一時113円を割り、112.95円まで下落。次期FRB(米連邦準備理事会)議長は、最近まで利上げに積極的なテイラー元財務次官の名前が挙がっていました。ところが、共和党に近くハト派寄りのパウエル理事が最有力候補と報じられたため、金利上昇期待の「テイラー・プレミアム」が剥げ落ち、ドル/円も売り戻しが強まりました。日銀はこの日の会合で、長短金利操作の金融緩和政策の継続を決定しましたが、マーケットの反応はゼロでした。

 ドル/円は、その後順調に値を戻し、NY時間には113.73円まで上昇。トランプ経済政策の目玉である減税プランが5年間かけた段階的導入になるとの憶測が、ドル売り材料の一つになっていましたが、ホワイトハウスが改めてこれを否定したことがドルの買い戻しにつながりました。ドル/円の終値は113.644円(前日比+0.471円)。(チャート1)

 

 

今日、FOMCが政策金利発表

 31日、1日の両日で定例会合を開いているFOMC(米連邦公開市場委員会)は、今夜、政策金利(FF金利誘導目標)を発表します。今回は据え置きの予想。

 FRBの利上げは次回12月が確実視されていて、すでにマーケットは80%以上織り込んでいます。利上げ期待が過去最高レベルまで高まっているだけに、声明内容が慎重な内容だった場合には、失望売りの可能性もあります。ただ、現在のマーケットの最大の関心事は、FOMCではなく、次期FRB議長です。

 

ユーロ/ドル:小動き

 欧州時間は、1.1623ドルから1.1661ドルの狭いレンジ取引。ユーロ圏の7~9月GDP(国内総生産)は伸びを示しましたが、この日発表された10月HICP(消費者物価指数)は予想を下回り、ECB(欧州中央銀行)が積極的な緩和縮小に踏み切れない理由を裏付ける結果となりました。(チャート2)

 

 

ユーロ/円:3営業日続落後、反発

 ユーロ/円は、前日の安値圏の131.50円で支えられ、NY時間には132.56円まで反発。(チャート3)

 

 

カナダ/ドル:カナダ売り続く

 カナダの8月GDPは前月比マイナス0.1%に縮小。ポロズ・カナダ銀行総裁は、「カナダ高が経済成長の妨げになっている」と述べていますが、今回の結果で、改めてカナダ高に対する警戒を強めることになるでしょう。総裁は、改めてインフレ見通しについても言及しました。

 カナダ銀行は今年2回利上げを実施、主要中央銀行の利上げレースの先頭集団を走っていました。先週の会合では政策金利を据え置きましたが、カナダ銀行総裁が、「インフレの下振れリスクを心配している」と発言したことがマーケットにショックを与えました。今回の据え置きはポーズ(小休止)ではなく、利上げサイクルが終了するのではないかとの思惑が強まったためで、利上げ期待を織り込み過ぎているとして、カナダドルに急速な調整が入っています。この日は、10月27日の高値に並ぶ1.2913ドルまでドル高/カナダドル安が進みました。(チャート4)

 

 

この指標を見逃すな!今日(11月01日)の注目イベント

FOMC、米ISM、ADP雇用統計

 今朝発表があったNZの失業率は予想を上回り、NZドル/円は78円台半ばまで急反発しました。

 米国では、今週の雇用統計の先行指標となるADP(米国の大手給与計算アウトソーシング会社)雇用データ、製造業ISM(米国供給管理協会)、そしてFOMCに注目。