16年に大幅減益も17年には業績回復見通し、「鉄塔公司」のIPOにも期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00762 中国聯通(香港) (チャイナ・ユニコム(ホンコン))  9.56 HKD
(03/16現在)
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チャイナ・ユニコムの2016年12月本決算は経営陣の事前の発表通り、前年比94%の大幅減益となった。ただ、BOCIは17年1-3月期の4G加入純増数の伸びや利益回復を見込み、業績改善に向けた転換期が到来したとの見方。親会社の「混合所有制」(国有企業改革の一つの形態。ガバナンスや経営効率の向上を目的に、民間資本を受け入れること)実施後の大きなポテンシャルを指摘し、引き続き同社を通信セクターのトップピックとした。また、中国の通信キャリア3社が共同出資する通信インフラ管理会社、中国鉄塔股フン有限公司(鉄塔公司)のIPO(新規株式公開)がチャイナ・ユニコムの企業価値の大幅な見直しにつながる可能性を指摘している。

16年通期の純利益は前年比94%減の6億3000万元。「2I2C」加入者からの売り上げ計上の遅れや、ネットワーク運営費の20.9%増、マーケティング費の8.4%増などが響いた。「2I2C」加入者とは、テンセント(00700)や未公開企業の滴滴(Didi)を含む有力ネット企業との提携を通じて獲得した4Gユーザー。「2I2C」プログラム自体は11月に始まったものの、当初1カ月を無料トライアル期間としたことで、関連収益の計上が17年にずれ込む形となった。

続く17年1-2月には4G加入者の力強い伸びと利益率の安定化を受け、純利益が前年同期比50%増の4億6000万元(未監査)を記録した。有力ネット企業と組んだ新たなマーケティング戦略について、経営陣は強気。販路拡大や新たな消費者セグメントへのリーチにつながるとしている。また、16年に利益圧迫要因となったマーケティング費に関しては、基地局の増設ペースの減速により抑制できるとの見方だ。17年には新規の基地局設置数を15万(16年は63万)に抑える計画という。

一方、経営陣は16年末時点で20%程度のネットワーク稼働率の改善とROI(投資収益率)の向上を目指し、17年の設備投資を450億元に抑える方針。この数字は16年実績(721億元)比で38%減。次世代5Gサービスの開始時期が早まるといった予想外の事態が起きない限り、18年の設備投資も17年並みとなる可能性が高いという。

BOCIは販管費やネットワーク運営費の増大を受け、17-18年の予想純利益を45%、42%大きく減額修正しながらも、設備投資の大幅削減によるフリーキャッシュフローの改善などを織り込み、目標株価を引き上げた。また、17年にはモバイル部門の加入者構成のアップグレード(4G加入者比率の上昇)が進み、これが業績改善を支えるとの見方。17年通期の4G加入者純増数については6470万人(16年は6040万人)、ARPUについては前年比8%増を予想している。また、固定通信部門に関しては、チャイナ・モバイル(00941)との競争に言及しながらも、企業向けソリューションビジネスやブロードバンドサービスの成長を指摘。17年も前年比3.6%の増収を確保するとみている。