1月20日
今5カ年期間に天然ガス消費が拡大へ、北京控股に強気見通し

内閣に当たる中国国務院はこのほど、「第13次5カ年計画」(2016-20年)下での天然ガス政策を発表し、◇一次エネルギー消費に占める天然ガスの割合を20年に8.3-10%に引き上げ、消費量にして300-360Bcm(Bcm=10億立方メートル)とする、◇石油/石炭のガス利用への転換を天然ガス消費の拡大につなげる、◇ガス改革を加速する――などの方針を明らかにした。こうした政策内容はいずれもBOCIの予想通り。BOCIはエネルギー構成の変化がガス消費を押し上げるとみる一方、ガス価格改革を取り巻く不透明感を指摘し、ガス供給セクターに対する中立見通しを継続した。政策リスクの低さなどを理由に、北京控股(00392)をトップピック銘柄としている。

中国政府は一次エネルギー消費に占める天然ガスの割合を20年までに8.3-10%に引き上げる方針だが、これは以前発表した目標値(10%)からの事実上の下方修正に当たる。また、政府が示した年間のガス供給目標は20年に360Bcm(15-20年に年率平均13%増)で、うち153Bcmを輸入が占めるとした(平均20%増)。BOCIは20年の天然ガス需要について321Bcmを見込み(平均11%増)、この時点で一次エネルギー消費の9.2%を占めると予想。主に政策支援が消費量の上乗せにつながるとしている。

中国では今後、原油/石炭から天然ガスへのエネルギー転換が進む見込み。首都周辺エリア「京津冀」(北京・天津・河北省)や、広東省の珠江デルタ、上海周辺の長江デルタ、東北地方を中心に、石炭などの高汚染燃料の利用規制が広がっているためで、住宅用、工業商業用、軍事用など幅広い分野で転換が進む見込み。BOCIはこうした転換によって生じる天然ガス需要が、16-20年の需要上乗せ分の約40%を占めると予測している。

政府は、輸送パイプラインや貯蔵施設、LNGターミナルといったガスインフラ施設の建設を促すと同時に、施設の第三者への開放を推奨している。ガスの安定供給の確保やピークシェービング(エネルギー消費のピーク時に対応するための施策)能力の改善が狙い。このほか、政府は非住宅用小売価格に関する規制撤廃や川中・川下をリンクさせた価格メカニズムの構築など、天然ガス価格改革を行う方針を繰り返し表明している。

BOCIは天然ガス消費の伸びを見込みつつも、価格改革という不透明要因を指摘し、セクター全体に対する中立見通しを継続。最近の都市ガス銘柄の株価上昇は、主に16年の好決算期待によるもので、あくまでボックス圏内での値動きであるとの見方だ。個別ではガス管接続料収益の比重が小さい(政策リスクが相対的に小さい)銘柄や、石炭からガスへの転換需要の大きい北部地区に多くのプロジェクトを持つ銘柄を選好。都市ガス事業において抵抗力の強い北京控股をトップピックとした。「陝西省−北京パイプライン」の輸送料引き下げ観測を受け、同社株のバリュエーションは過度の低水準にあるとの見方。ほかに華潤ガス(01193)の株価の先行きに対しても強気見通しを示した。