1月12日
原油相場見通しを上方修正、中国石油メジャーは17年に利益成長加速へ

ペトロチャイナ(00857)を除く中国の石油メジャーの株価は過去3カ月、さえない値動きを続けているが、BOCIはセクター全体に対して強気見通しを継続している。原油相場が現行水準からさらに急伸する可能性は低いとしながらも、2017年には石油銘柄の利益成長ペースが急加速するとの見方。石油銘柄は一段の元安リスクをカバーするための選択肢にもなり得るとしている。

OPEC(石油輸出国機構)加盟国および非加盟国11カ国による減産合意を受け、17年上期の原油供給量は1日当たり120万-140万バレルの幅で需要を下回る見通しとなった。下期にはこの不足分が190万-200万バレルに上る見込み。13年10-12月期以来となる供給不足は、原油高を後押しする要因となり得る。今回の減産合意は主に、原油安による産油国の財政悪化を避ける狙い。国営石油会社サウジアラムコが上場するとの噂もあり、サウジアラビアは原油の相対的な高値維持を目指す可能性が高い。

一方、実際の減産量が合意を下回る可能性や、リビアとナイジェリア(両国ともに合意の枠外)による増産、米国が戦略的石油備蓄の一部を放出する可能性――などが、減産効果を一部打ち消す可能性があるが、BOCIは原油先物カーブの平坦化を指摘し、こうした要因はほぼ織り込まれたとの見方。ブレント原油の17年の予想平均価格を1バレル=51米ドルから57米ドルに上方修正し、18年についても同55米ドルから58米ドルに引き上げた。長期の原油相場見通しを65米ドルに設定している。

国内石油メジャーに影響する中国の主要政策の一つはガソリン/軽油の品質基準の強化。17年7月には一般軽油の品質基準を全国規模で「国3」から「国5」(ユーロ5に相当)に引き上げる方針で、16年初めに東部11省市で先行実施し、その他エリアも「国5」に統一。トラックによる粗悪燃料使用などの抜け道を塞ぐ狙い。BOCIによれば、石油精製会社にとっては1トン当たり370元分の収入上乗せにつながる見通しという。

一方、政府は今5カ年期間(16-20年)に、都市ガスや工業、発電、交通など各分野で天然ガス利用を促進する方針。政府が目標とする年率14.3%の需要増が実現すれば、国内シェア70%を誇る天然ガス最大手、ペトロチャイナに有利となる。

BOCIは石油メジャー3社の16年の予想純利益を減額修正しながらも、17年、18年については15-39%、26-69%の幅で増額修正した。原油相場見通しの上方修正や人民元相場予想の見直しが背景。個別ではペトロチャイナとシノペック(00386)をトップピックとした。うち川上の比重が大きいペトロチャイナに関しては17年の純利益が9倍超に増えると予想。パイプライン資産の再編や国有企業改革に関する今後の新情報が支援材料になるとみている。また、シノペックに関しては現在株価の低PERや高配当利回りを指摘。さらに小売部門の分離上場計画が企業価値の増大につながるとしている。