12月16日
「小型車減税」17年末まで延長、減税幅縮小も販売堅調見通し

中国の財政部および税関総署は15日、排気量1600cc以下の小型乗用車を対象とした減税措置を2017年末まで1年間延長すると発表した。もともと同措置の期限だった16年末までは車両取得税を5%に引き下げるが、17年には7.5%に変更する形で減税措置を継続。18年に本来の税率である10%に戻す。減税幅を縮小させながら減税措置そのものを延長するとの発表は、BOCIの事前の予想通り。中国当局は景気刺激策を進めていた2009-10年当時も、小型車減税に関して同じ手法を取ったことがあった。

小型車の車両取得税率は年明けに5%から7.5%に上向くが、BOCIによると、これに伴う購入コストの増加率は2.1%と、取得費用全体を考えた場合の負担増は限定的。中期的には小型車の売れ行きに与える影響は軽微にとどまる見通しという。ただ、ここ数カ月は16年末の減税措置の終了を睨んだ駆け込み購入がかなり鮮明であり、17年初めには反動減もあり得るとしている。

この減税措置は実際、1600cc以下の小型車の販売増に大きく寄与し、乗用車カテゴリーの構造を変えた。16年1-11月には小型乗用車の販売台数が前年同期比21.9%増加する半面、1600ccを上回る中・大型乗用車の販売台数はわずか2.5%増。これにより、小型車のウエートは71.9%(15年は68.6%)に上向いた。中でも減税による恩恵が最も大きかったのは小型SUVで、1-11月のSUV販売全体に占める小型車の比率は前年同期を10.6ポイント上回る54.6%。セダン、MPVに関しても、販売全体に占める小型車の割合がそれぞれ5.1ポイント、4.4ポイント上昇し、80.1%、87.8%に達した。

BOCIは減税幅の縮小や駆け込み需要を受けた17年初めの反動減を見込みながらも、過去の減税時の経緯やメーカー各社の新型車開発努力などに言及し、小型車市場に対するマイナス影響は限られるとの見方だ。乗用車販売全体に関しても、17年に約6%の安定成長見通しを示した。ただ、減税措置がなくなる18-19年に関しては新車市況が悪化する可能性を指摘。小型車減税に続く新たな支援措置が導入されなければ、前年実績割れもあり得るとしている。なお、小型車を対象に同種の減税措置が行われていた09-10年当時を振り返ると、この2年間の新車販売台数は前年比52.9%増、33.2%増。減税終了後の11年、12年には5.2%増、7.1%増と急減速した経緯があった。

個別メーカーに対する影響はそれぞれの小型車依存度によって異なるとみられ、相対的に大きな影響が見込まれるのは小型車のウエートが大きい中国地場系メーカー。BOCIによると、中でも長城汽車(02333)が最も税率引き上げによる影響を受けやすく、以下、広州汽車集団(02238)の自主ブランド車種、北京汽車(01958)、長安汽車(深センA株000625)、吉利汽車(00175)が続く。一方、中外合弁メーカーに関しては日系より欧米系、韓国系ブランドが相対的に大きな影響をうける可能性が高いという。