12月6日
第13次5カ年の「生態環境保護計画」発表、水処理銘柄のビジネス機会に

中国国務院は12月5日、第13次5カ年(2016-20年)の環境政策となる「生態環境保護計画」を発表した。一連の方策や規制強化を盛り込み、多岐にわたって目標を設定することで、大気、水質、土壌の質を改善するのがこの政策の狙い。計画名に初めて“生態”という単語を用い、従来より包括的に環境保護に取り組む姿勢を示した。こうした政策方針は、この先、PPP(官民連携)モデルを通じた環境分野の投資機会につながる見込み。BOCIは同計画が環境セクターに対するポジティブな投資心理を支えると予想し、北控水務集団(00371)をトップピック銘柄としている。

中国では市民の生活の質や国そのものの持続性の観点から、環境汚染への取り組みが不可欠。汚染状況が深刻化する中、政府は経済成長を維持するためには天然資源や生態系の保護が欠かせないと強調している。環境基準の強化を通じ、環境負荷の高い旧式設備の淘汰や過剰設備の是正という「供給側改革」を加速させることも狙いの一つという。

うち水質汚染対策に関して今回明らかにされた目標は、すでに発表済みの「水質汚染防止行動計画」に沿ったものとなった。例えば、地表水については2020年までに、汚染レベルの3級以上を70%以上(現在比で3ポイント上昇)に引き上げ、5級以下を5%以下(4.7ポイント低下)に抑える。また、◇排水処理プラントや排水管の整備を加速させ、都市部全域をカバーする、◇工業パークの排水処理施設の一元化を促し、関連施設をアップグレードさせる――などとした。さらに水質を改善する必要のある地点として、政府は今回、中国全域から343カ所をリストアップした。BOCIはPPPモデルを通じた水質改善プロジェクトへの参加という水処理事業者のビジネスチャンスを指摘。この分野が第13次5カ年期間において主要投資エリアになり得るとみている。

一方、大気汚染対策として、政府は今回、◇石炭火力発電所の超低排気化を進める、◇石炭ボイラーのガス化を進める、◇ガス関連インフラ(輸送パイプラインや都市ガスネットワーク、貯蔵施設など)のアップグレードを図る――などの行動計画を策定した。また、土壌汚染対策としては廃棄物の“4R”(リデュース、リユース、リサイクル、リカバー)戦略を打ち出し、4R模範基地の建設やリユース/リサイクル網の構築を進める方針を明らかにしている。

BOCIは環境セクターの中でも水処理銘柄を有望視し、以下のような優位点を指摘している。◇PPPモデルを通じて大型環境刷新プロジェクトにビジネスを広げる可能性がある、◇処理料金が右肩上がりに推移する中で自律成長が期待できる、◇補助金に依存しないバリューチェーンの構築により、持続的な発展が見込める――。個別では北控水務集団を選好。成長性やプロジェクト獲得における競争力に加え、PPP市場での優位性、優れたコーポレートガバナンスなどをその理由としている