3大ネット企業による出資で再評価期待、通信網の収益化を後押しへ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00762 中国聯通(香港) (チャイナ・ユニコム(ホンコン))  8.77 HKD
(12/01現在)
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百度(バイドゥ)、アリババグループ(米BABA)、テンセント(00700)という中国3大ネット企業、いわゆる「BAT」が、チャイナ・ユニコムの親会社・中国聯通集団に資本参加するとの情報が伝わり、BOCIはこれを前向きに受け止めている。それぞれ異なるビジネスモデルを持つBATの出資が、ネットワーク資源やビッグデータのマネタイズ(収益化)を含め、チャイナ・ユニコムの多方面での発展を後押しするとの見方。同社の目標株価を据え置いた上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

BOCIは通信キャリア3社にBATを加えた計6社の各種指標を比較したが、それによると、通信キャリア3社の株価バリュエーションは明らかにBATを下回る水準。一方、2016年、17年予想ROEの比較においては、チャイナ・ユニコムの低さが際立っている(両年の予想が順に1.1%、2.7%)。これは主に、4Gネットワークの初期費用負担によるもの。15年に4Gサービスを開始して以来、68万の4G基地局を設置した。ただ、経営陣によれば、同ネットワークの稼働率は16年10月時点でわずか10%程度にとどまるという(4G加入者数は9400万人)。また、BOCIによると、同社は営業レバレッジが高く、16年にはネットワーク運営費および人件費(ほぼ固定費)の対サービス収入比率が37%、減価償却費の同比率が28%に上る見込み。ただ、BATの支援によって増収ペースが加速すれば、ROEが早々に上向く可能性が高いという。

ユニコムは中国北部を本拠地とする通信キャリアであり、インターネット基幹回線「ChinaNet」の40%を保有する。BOCIの推定では、同社が保有する国内ファイバーネットワークの総延長は720万kmで、うち長距離基幹回線は27万km、ブロードバンドアクセスポイント数は1億7200万カ所を数える。このほか、IDC(インターネット・データ・センター)業務では21%の国内シェアを握り、チャイナ・テレコム(00728:シェア37%)に次ぐ業界2位。チャイナ・モバイル(00941)のシェアはわずか4%で、通信キャリア以外のIDC企業が残り38%を占める。

BOCIによると、BATとの提携観測については今のところ情報が限られ、財政面でのインパクトを評価するのは難しい。ただ、クラウドコンピューティング・サービスの拡大を狙うBATなどのネット企業にとっては、チャイナ・ユニコムが保有する大型IDC網やファイバー伝送網が魅力。また、チャイナ・ユニコムの場合、09年に当時のチャイナ・ネットコムと合併した経緯などから、固定通信ネットワークの簿価が再調達価額(同等のものを再築または再取得するために必要な金額)を下回る水準にある可能性が高い。さらに同社の現在株価は、予想純資産価値に対して20%のディスカウント水準。自社サービスの強化に向けて通信ネットワークを真に活用できる有力ネット企業にとって、同社は非常に魅力的な存在であるという。