本土A株市場の売買拡大が追い風、セクター平均を上回る利益成長を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
06886 華泰証券股フン有限公司 (フアタイ・セキュリティーズ)  18.00 HKD
(11/29現在)
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華泰証券は委託売買業務で中国国内のトップシェアを握るため、本土A株市場の売買代金の変動に対し、同業銘柄以上に敏感度が高い。この先予想されるA株市場の売買規模の拡大は、H株証券銘柄の中で同社に最大の恩恵をもたらす見通しだ。BOCIは手数料率の弾力性やオンライン売買仲介プラットフォームの一段の収益化、さらにM&Aファンド業務の収穫期入りなどから、同社の2017-18年の利益成長率がH株の同様銘柄を上回ると予想。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

委託売買市場(株式およびファンド)における同社のシェアは16年1-9月期に8.32%と、国内首位を維持した。純委託手数料率は16年上期並みの2.4ベーシスポイント。BOCIは手数料率がすでに同業銘柄の中で最低水準にあることや、大口顧客向け業務の収益化期待、顧客トランチング(優劣の区分化)システムの最適化、フルスケールの資産運用サービスの構築などに言及。料率の一段の下落余地は限られるとの見方を示した。証券手数料収入に関しては3%の伸びを予想している。

一方、投資銀行部門の売上高は16年1-9月に前年同期53.1%増の13億5000万元と、力強い伸びを維持した。ECM(エクイティ・キャピタル・マーケット:株式での資金調達)、DCM(デット・キャピタル・マーケット:債券での資金調達)の引き受け額は531億元、1034億元といずれも大きく伸びた。また、M&Aビジネスにおいても、同業銘柄を上回る12の取引案件に参加した。BOCIは投資銀行業務の17年の増収率について、前年比20%を見込んでいる。

資産運用収益は1-9月に前年同期比17.2%減の34億元。ただ、7-9月に限ると、同127.2%増の18億元を記録し、同期の営業収益(売上高)全体の38.1%を占めた。BOCIは7-9月期の突出した運用成績について、株式と固定収益商品のバランスを考慮した投資ポートフォリオの最適化が寄与したとの見方。7-9月期に見られたセカンダリーマーケットのボラティリティをうまく利用したと評価している。また、本土株式市場の回復を理由に、17年の資産運用収益の回復を予想。17-18年にはM&Aファンド業務の収益貢献も始まり、この分の上乗せが期待できるとみている。

BOCIはレーティングの見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因として、◇予想外の本土株式市場の不調、◇政策リスク――を挙げた。

同社H株は現在、17年予想PBR(株価純資産倍率)1.21倍で取引されており、これは同業銘柄平均とほぼ同じ。BOCIは17年予想PBRに基づいて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。独自のネット仲介ビジネスやM&Aビジネスが、同業銘柄を上回る利益成長を支えるとみている。