16年7-9月期に決済・クラウドなどが急成長、52%増収を達成

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00700 騰訊控股 (テンセント・ホールディングス)  196.90 HKD
(11/17現在)
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テンセントの2016年7-9月期決算は、売上高が前年同期比52%増(前期比13%増)の404億元に達し、市場予想およびBOCI予想を上回った。純利益(非GAPP)はほぼ予想通りとなる同42%増の117億元。主にオンライン決済やクラウドコンピューティングを含む「その他収入」の急増が売り上げの好調を支えた。同期にはオンライン動画事業の利益率が予想を下押ししたが、これはコンテンツ取得コストの高騰に加え、「広告+会員費」という混合型収益モデルへの移行期に当たったため。ゲーム部門ではモバイル向けが前年比87%増収を確保し、PCゲームも10%増と堅調を維持した。BOCIは同社がゲームやオンライン決済、クラウド、モバイルアプリなど、各種の既存事業・新規事業向けに投資を継続している点に言及し、着実なビジネス多様化路線を前向きに評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

7-9月期業績を事業部門別に見ると、主力の付加価値サービスの売上高は前期比9%増、前年同期比36%増の280億元と、BOCIの予想を2%上回った。売上構成比は69%。うちスマートフォン向けゲームの収入は前期比3%増、前年同期比87%増の98億元だった。BOCIは16年、17年のスマホゲーム収入について、それぞれ前年比77%増、38%増を予想。四半期ごとのARPU(加入者1人当たり月額収入)は引き続き、145-155元程度にとどまる見通しを示した。ただ、海外に比べ、中国ではゲームユーザーの課金が進んでいない現状に振れ、今後の課金の広がりが一段の増収を後押しするとみている。

オンライン広告部門の売上高は前期比14%増、前年同期比51%増の74億元(売上構成比18%)。成果報酬型の広告収入が同18%増、同83%増の44億元に上り、オンライン広告全体の59%を占めた。ほかに、ブランド広告は前年同期比21%増の31億元だった。BOCIは引き続き、中国版LINEの「微信」(WeChat)が牽引役になるとみて、オンライン広告収入が16年、17年に前年比53%、46%の伸びを示すと予想。17年の広告の売上構成比については19%を見込んでいる。

一方、同期に急成長したのは、付加価値サービス、オンライン広告のいずれにも属さない「その他収入」で、前年同期比348%増の50億元を記録(売上構成比12%)。BOCI予想を33%上回った。うち決済事業は利用者基盤を固めている段階にあり、収益化の初期段階にあるが、前年実績の小さいクラウドとともに、7-9月期の増収を牽引した。

全体の粗利益は7-9月期に前年同期比40%増の218億元と、BOCI予想を2.6%下回ったが、これはオンライン広告ビジネスの利益率が予想以下の水準にとどまったため。粗利益率は54%と、前年同期比で4.6ポイント後退した。営業利益率は同3ポイントダウンの35.8%。BOCIは利益率の悪化を反映させ、17年の予想純利益を3%下方修正し、目標株価を引き下げたものの、株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。