公共インフラ投資の先行きを楽観、短期的な上値余地は限定的か

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01186 中国鉄建股フン有限公司 (チャイナ・レールウェイ・コンストラクション)  11.38 HKD
(11/15現在)
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建設セクターに対する支援材料が相次ぐ中、中国鉄建の株価は短期間に26%余り値上がりしたが、今後はこうした材料が減る可能性が高く、BOCIは一段の上値余地は限られるとの見方。短期的な好材料は株価にほぼ反映されたと見て、同社をトップピック銘柄のリストから外した。ただ、中国本土の建設セクターに対しては引き続き楽観的。同社の目標株価を据え置き、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

BOCIは9月半ば、同社をトップピック銘柄に選んだが、その理由は建設セクター全体に関して複数のプラス材料が浮上したため。具体的には、◇2016年7-9月期の新規受注が市場予想を大きく上回るサプライズとなった、◇国内の鉄道建設計画を一手に担う中国鉄路総公司(CRC)が起債に動いた、◇「一帯一路」戦略の下、中国企業連合がマレーシアでの鉄道建設を受注した、◇ハンガリーの鉄道プロジェクトが始動した、◇12月付で同社のH株指数(HSCEI)採用が決まった、◇米国でのインフラ投資拡大期待が広がった――など。これにより、香港市場では建設銘柄の株価が軒並み上昇。中でも同社株価がセクター全体をアウトパフォームした。

ただ、支援材料はこの先減少していくとみられ、10-12月期の新規受注も前年同期実績の高さから減速する可能性が高い。ちなみに15年10-12月期の新規受注は前年同期比49.3%増を記録。15年通年の新規受注の41.4%を占めた経緯があった。

それでも、中国経済の安定成長を維持するためには公共インフラ投資の強化が不可欠であり、BOCIはこの点から、引き続き建設セクターを楽観視している。インフラ部門の固定資産投資は16年1-10月に前年同期比17.6%増と、その他部門を大きく引き離す高い伸びを示した。同社は国内の2大ゼネコンの1社であり、建設セクター全体の好況がそのまま追い風となりやすい。

BOCIは新規受注の好調が収益に反映されるまでには約3年を要するとし、短期的な利益への影響は限られるとの見方。目標株価を据え置いた上で、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。建設セクターは、現時点でほぼ唯一の推奨セクターになるという。

なお、BOCIは同社と中国中鉄(00390)という2大ゼネコンのファンダメンタルズがほぼ同じであると指摘し、建設銘柄の株価上昇局面においてはどちらも選択肢になり得ると付け加えている。両社ともに国内建設業況を真正面から反映する存在であり、国内だけでなく海外市場でも高成長を遂げているとの共通点がある。その他の銘柄に目を向けると、インフラ銘柄の上昇局面におけるもう一つの有力な選択肢は中国建築国際(03311)。ゼネコン大手がEPC(設計・調達・建設)プロジェクトを主要収益源とするのに対し、中国建築国際は政府が奨励するPPP(官民連携)プロジェクトやBOT(建設・運営・移管)プロジェクトへの依存度が高いのが特徴となっている。