10月の新規受注は13%増、「インフラ建設」への主力事業シフトは順調

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03311 中国建築国際 (チャイナ・ステート・コンストラクション)  12.64 HKD
(11/11現在)
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中国建築国際の新規受注は2016年10月に前年同月比12.7%増と、1-9月に比べて減速傾向を示した。ただ、うちインフラ事業の新規受注は同44.7%増と、予想を大きく上回るサプライズ。政府が推奨するPPP(官民連携)プロジェクトの加速が寄与した。1-10月では、新規受注は前年同期比16.0%増。16年通期目標の830億HKドルを達成するためには、11-12月に計100億9000万HKドル(前年同期比39.9%増)の受注が必要であり、ハードルはかなり高い。ただ、BOCIは不動産引き締めを余儀なくされた中国政府にとっては、景気下支えに向けた公共インフラ投資の拡大や対外発展戦略「一帯一路」の強化が不可欠になるとみて、建設セクターの先行きを楽観している。また、同社の足元の受注状況が予想をやや上回るとした上で、17年予想PER10.5倍をあてはめ、目標株価を上方修正。株価の先行きに対する強気見通しを継続している。

10月にはインフラ新規受注が前年同月比44.7%増加したが、この分の受注の40.3%を占めたのが92億HKドルに上る山東省濟寧市のPPPプロジェクト。これに山東省シ博市、湖南省湘潭市のプロジェクトを合わせたPPP3件が10月の受注の計89%を占めた(投資内容は地下パイプラインや道路、病院建設など)。こうした力強いPPPの受注状況を見る限り、「保障性住宅」整備プロジェクト、PPPインフラ建設プロジェクトへの主力事業のシフトは今のところ順調に進んでいるもよう。BOCIによると、主力事業の転換を成功裏に行うための基盤を固めつつあるという。

1-10月の累計では、新規受注は前年同期比16.0%増。うちインフラ建設受注は同18.9%増。同社は8月、16年の新規受注目標を780億HKドルから830億HKドル(前年実績比18.4%増)に上方修正しており、10月末時点の達成率は87.8%となった。

同社は09-14年に年率平均38.7%の利益成長を達成したが、これは中国政府が住宅価格抑制を目的に実施した「保障性住宅」整備事業のBT(建設・移管)受注の貢献だった。ただ、政府のマクロ政策は李克強首相の下で変化し、保障性住宅事業はその後停滞。同社はインフラ建設へのシフトを迫られる形となった。ただ、この先のインフラ投資を支えるべきPPP事業は事前の調整の必要性などから時間がかかる傾向にあり、建設会社の多くは慎重姿勢を維持している。こうした状況下で、同社はPPP依存度が相対的に高く、BOCIはその遅れによる同社のダメージが同業他社を上回る点を指摘している。

BOCIは現在株価が17年予想PERでわずか9.5倍と、ヒストリカル平均値を下回る点に言及。主力事業が引き続き転換期にあり、不透明感が残るとしながらも、経営陣が信頼度回復に成功しつつある点を前向きに評価している。また、PPPの本格始動に伴う受注増を見込み、17年3月までインフラセクター全体に対して投資機会が続くと予想。同社株価の先行きに対する強気見通しを据え置いている。