11月10日
建設銘柄に強気見通し、米国より国内のインフラ投資と「一帯一路」が有望

中国工業セクターの中で、BOCIは建設銘柄を有望視している。国内の公共インフラ投資の伸びや「一帯一路」戦略が背景。一方、香港株式市場ではトランプ氏勝利を受けた米国でのインフラ投資拡大観測から、循環株の中聯重科(01157)や中国龍工(03339)などが値上がりしているが、BOCIはファンダメンタルズ重視というより、むしろ思惑買いに当たるとの見方。米国のインフラ建設市場は中国より小さく、中国企業の受注機会も限られると指摘している。投資家に対しては、まずは中国国内市場や対外発展戦略「一帯一路」の進ちょくに目を向けるよう提言し、個別ではゼネコン大手の中国鉄建(01186)や中国建築国際(03311)を含む建設銘柄を選好している。

BOCIは米国でのインフラ投資拡大観測による中国企業への恩恵を疑問視し、その理由として以下の4点を指摘している。◇インフラ投資の規模そのものが中国より小さい、◇米建設市場はローカル企業重視の閉鎖型で、外国企業の参入余地が小さい、◇米国では民主的な政策決定プロセスにより、財政支出を行うまでに時間がかかる、◇米国の債務増大で、プロジェクトファイナンスの余地も限られる――。また、中国は2009年、米国との間でラスベガス-サンフランシスコ間の高速鉄道建設計画について協議を始めたが、今のところ何ら進展はない。BOCIはこうした事情から、米国のインフラ投資拡大による恩恵は、中国建設企業にはほとんど届かないとみている。

一方で、BOCIは国内のインフラ投資や、21世紀のシルクロード経済圏戦略「一帯一路」に絡む対外投資を有望視している。うち「一帯一路」の履行状況は予想以上に堅調で、例えば昆明-シンガポール間の国際鉄道敷設プロジェクトでは、中国企業が全体の6割相当の受注を獲得したという。東南アジアや南アジアのインフラプロジェクトは米国より規模が大きく、今後も鉄道、道路、港湾、発電など各分野で投資が拡大する見込み。こうしたエリアでの陸上インフラの整備は、南シナ海やマラッカ海峡を通らずに中国と中東・欧州を結ぶ陸路を形成することにもつながる。また、欧州ではハンガリーとセルビアを結ぶ高速鉄道プロジェクト(鉄道総延長は350km、時速160km)が最近、資金調達にこぎつけ、近く着工する見通しとなった。

BOCIは海外の一部プロジェクトの履行にかなりの時間がかかる可能性を指摘しながらも、中国国内のインフラ投資状況を楽観している。不動産政策が引き締め方向に転じる中、国内経済の安定成長維持には公共投資の強化が欠かせないためで、国内外全体で見れば、インフラ投資が下押しする可能性は低いとの見方だ。個別では1-9月の新規受注が前年同期比22%増を記録した中国鉄建をインフラセクターのトップピックとし、中国建築国際をその次に選好。さらに中国鉄路通信信号(03969)、中国機械設備工程(01829)の株価の先行きに対しても強気見通しを明らかにしている。