16年7-9月期も堅調持続、成長力と質の両面で高評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02318 中国平安保険集団 (ピンアン・インシュランス)  40.50 HKD
(10/28現在)
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中国平安保険の2016年7-9月期決算は各事業部門の堅調を受け、市場コンセンサス予想を上回った。1-9月期では、主力の保険事業の新契約価値(VNB)が前年同期比48.1%増と、力強い伸びを記録。厳しい事業環境の下、同17.1%の増益を確保した。BOCIは16-18年の利益見通しを5-19%の幅で増額修正し、多様性の高い同社のビジネスモデルや代理店の優秀さなどを前向きに評価。成長性、事業の質の両面から、同業銘柄を上回ると指摘した上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

1-9月期の新契約価値は前年同期比48.1%増の353億5000万元に達したが、これは主に、製品ミックスの改善や利益率の拡大によるもの。中でも7-9月期の新契約価値は同60.7%増を記録した。BOCIは事業の多様性に加え、長期生保商品の保証利率の低さといった製品構成上の強みを指摘。17年には生保各社の資産運用収益の落ち込みが予想される中、同社のEV(エンベデッドバリュー:企業価値を示す指標)や新契約価値が同業他社より底堅く推移するとみている。

部門別に見ると、生保業務を手掛ける子会社・平安人寿の純利益は、1-9月に前年同期比18.7%増の229億8000万元に達した。収入保険料は同26.6%増。中でも利幅の大きい代理店経由の新規収入保険料は同39.5%増を記録した。一方、損保部門について、BOCIは成長力、質の両面から高く評価。事業環境が厳しさを増す中、1-9月のコンバインド・レシオ(損害率と事業比率を合わせた損保の収支指標で低いほど良好)が94.9%と、前年同期比で小幅の悪化に踏みとどまったことなどに言及している。

一方、銀行部門も予想以上に好調で、傘下の平安銀行(深セン000001)の1-9月期の純利益は前年同期比5.5%増の187億元。7-9月の純金利マージン(NIM)はポジティブサプライズとなり、新たな不良債権の発生にも歯止めがかかった。不良債権比率は1.56%へやや上向いたものの、不良債権引当率は164.4%の高水準に達している。

このほか、同期の純投資収益率、総投資収益率は全体で6.0%、4.9%と、競合の中国人寿保険(02628)を大幅に上回った。支払い余力を示すソルベンシーマージン比率は大半の子会社で200%超(コアベース)と、健全レベルを維持した。

BOCIは利益見通しや新契約価値予想の上昇修正に伴い目標株価を引き上げ、同社株価に対する強気見通しを据え置いた。強気の理由として、事業の多様性や製品構成の優位性のほか、各種金融ビジネスをスピンオフする可能性を挙げている。また、現在株価の16年予想P/EV倍率(株価EV倍率:株価をEVで割った値)が1.0倍に上る半面、同PBR(株価純資産倍率)、同PERがそれぞれ1.5倍、9.5倍にとどまる点を指摘(17年予想ベースでは順に0.8倍、1.3倍、10.9倍)。同社を保険セクターのトップピック銘柄としている。