10月13日
9月の輸出が10%減、元安圧力がさらに拡大へ

税関総署の最新統計によると、中国の輸出は9月に前年同月比10%の落ち込みとなり、7月の同4.4%、8月の同2.8%から減少ペースが加速した(米ドル建て)。輸入は同1.9%減と、8月の同1.5%増から再びマイナス成長に転じた。BOCIによると、季節調整後では、9月の輸出は同6.9%減、輸入は同2.2%増(8月は同6.4%減、6.8%減)。輸出が苦戦する中、貿易黒字は7月の523億元、8月の520億元から、420億元に縮小した。また、1-9月の累計では、輸出は前年同期比7.5%減、輸入は同8.2%減。10月以降も目立った改善は期待しにくく、BOCIは2016年通年の輸出、輸入について前年比4%減、5.5%減を予想。続く17年に関しては同3.5%増、3.8%増を見込んでいる。

9月の輸出はBOCIの予想を下振れ、世界経済の減速や主要国の需要低迷をうかがわせた。不動産価格や人件費の高騰を受け、一部品目で中国の輸出競争力が後退していることも不振の一因。すでに労働集約型産業を中心に、ASEANなどの近隣諸国に生産ラインをシフトする動きも出ている。最新統計を見ると、中国製造業に対する外国直接投資(FDI)は1-8月に前年同期比12.8%減。その一方で、中国からの対外直接投資(非金融セクター)は同53.3%の伸びを記録した。

1-9月の輸出を国・地域別に見ると、米国、EU、日本向けは前年同期比7.8%減、4.3%減、5.5%減。韓国、オーストラリア、台湾、香港、ASEAN向けも同7.3%減、6.9%減、13%減、7.7%減、7.8%減で、インドが同1.3%増だった。品目別では繊維製品、バッグ、衣料品、靴が同3.6%減、10.9%減、7.5%減、12.7%減だったが、玩具は同9.9%増。ほかに鋼材が同14.9%減、機械設備・電子機器が同7.6%減など軒並み落ち込んだ。

一方、輸入は輸出に比べて底堅く、年初から段階的に持ち直しつつあるが、BOCIによると、これは主に国際商品相場の回復によるものであり、内需は依然低調。また、石炭などの一部品目に関しては、国内外の価格差の拡大が輸入増を後押しした。減産を背景とする年初からの国内価格の高騰で、石炭輸入量は1-9月に前年同期比15.2%増。対照的に、穀物輸入量は同30.6%減(輸入額は同38.2%減)。鉄鉱石、原油は金額ベースで同6.4%、20.6%減少する半面、重量ベースでは同9.1%、14%の伸びを示した。

米大統領選や米利上げ観測といった外部の不透明要因が残る中、中国の輸出不振は短期的に、一段の元安圧力につながる見通し。BOCIは人民元相場の緩やかな下落を見込み、16年末に1米ドル=6.8元、17年末には同6.95元との予測を据え置いている。

中国の金融政策は現在、不動産市場の過熱を受けて引き締め方向に傾いており、緩和余地は元安圧力の高まりを背景にさらに縮小する見込み。政府当局は過剰債務の是正やバブル回避に向けて穏健金融策を採るとみられ、BOCIは中国経済が17年上期に再び、減速圧力に直面する可能性を指摘している。