中国の有力ロジスティクス企業、国内企業の海外進出で3PL事業が有望

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00598 00598 中国外運 (シノトランス)  3.80 HKD
(10/18現在)
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シノトランスはフレイトフォワーディングやロジスティクス(物流)、倉庫・港湾サービスを主力とするが、うち物流事業では国内最大手。米アームストロング&アソシエイツの調査によると、フレイトフォワーダーとしては世界5位の座にある。BOCIは中でも物流事業がこの先の成長エンジンになるとの見方であり、2016-18年に前年比16.8%、13.9%、8.9%の部門増収を予想している。一方、親会社の中国外運長航集団は招商局集団傘下に入ることがすでに決定しているが、BOCIはスケールメリットの拡大や資産注入の可能性といった点で、この再編が長期的にシノトランスに有利に働くとの見方。目標株価を17年予想PER12.4倍の水準に設定した上で、株価の先行きに対して強気見通しを示している。

国内メーカーの海外進出や政府の対外発展戦略「一帯一路」の始動に伴い、今後は中国関連の3PL(サードパーティー・ロジスティクス)需要が大きく伸びる見通し。同社はグローバル規模の物流ネットワークを展開し、海外ビジネスの経験も豊富。BOCIは3PL需要の拡大トレンドが追い風になるとして、同社の物流事業を有望視している。

一方、フレイトフォワーディング(主に不特定多数の荷主から集めた貨物を集約し、他の運送事業者のサービスを利用して輸送する事業形態)部門の売上高は主に海上運賃の下落が響き、16年通期に落ち込む見込み。続く17年、18年には小幅に上向く見通しという。16年の部門別売上構成比について、BOCIはフレイトフォワーディングが72%、物流が18%になるとの予測を明らかにしている。

BOCIは営業利益率の小幅の改善や税負担の軽減を見込み、同社の16年通期純利益が前年比8.4%の伸びを示すとみている。17年、18年に関しては営業利益率の安定推移や緩やかな増収を見込み、それぞれ同4.7%、同4.9%の増益を予想している。

親会社の中国外運長航集団は「国有企業改革」の一環として招商局集団に吸収合併される運びだが(100%子会社化)、BOCIによると、この再編によるシノトランスへの影響は短期的には軽微。長期的にはプラスになる見通しという。新たな親会社となる招商局集団は未公開の物流部門を通じて72の物流センター(総面積200平米、貨物車7500台以上)を展開しており、シノトランスにこうした資産の一部を注入する可能性がある。

レーティング見直しにつながる可能性のある同社の潜在リスク要因は、◇輸出の予想以上の低迷がフレイトフォワーディング部門の打撃となる可能性、◇物流事業の競争激化――など。

BOCIは今回、同社の事業の多様性を踏まえ、SOTP方式に基づいて目標株価を新たに設定し、17年予想PERで12.4倍相当とした。同業銘柄のバリュエーションやヒストリカル平均値から、この水準が適正とし、同社株価の先行きに強気見通しを示している。